決着の日~2028~


凌は験司に同行してメンバーの捜索にあたっていた。翔子には験司の指定する座標に転移させてもらい、捜索。幸い敵との遭遇も全くなく、験司を護衛しながら進むと難なくメンバーを発見したのだ。その際に少し戦闘になったが問題のない範囲。


「リーダー!」
「お早い到着で!」
「いくらなんでも早すぎないかしら」
「まぁ瞬間移動みたいなもんだ。気にすんな」
「気にしますよ…」
「皆怪我はないか?」
「蓮浦が…」


驚いた表情の験司。蓮浦は丈の肩を借りていたがいつも通りの事務的な口調で答えた。


「自分は大丈夫です。出血もありません」


験司は引田へ目配せするが彼女も頷いて肯定した。


「そうか、まぁ無理すんなよ。それにしても全員連絡がつかねぇのはどういう事だ?」
「ジャミングじゃないんですか」
「違う。現にオレの端末は問題なく使えるぜ」
「変ね。私達全員の端末は電源すらつかないわ。プライベート用のスマホもダメなの」
「皆のが一斉に壊れちゃったんですか」
「どういうこった…?」


皆思慮するがこの場では結論には至らず、通路から敵を警戒していた凌が出てきた。


「皆さん移動しましょう。長居は無用です」
「凌さん?!」
「そうだな。考えるのは後だ。金はかかるが北条を呼ぶか」
「それが南極組と音信不通で、ここのゲートの強行突破も難しいみたいです。なんでも能力者が二人と爾落人が一人いるとか」
「敵の戦力もオレ達と同等以上の見込みか。こりゃマズい状況だな」
「ここから脱出できる隠し通路はありませんか?」
「ない。都市伝説はあるが地下道なんてデマだ。だが脱出方法にアテはある。八重樫にはあのままヘリポートに待機させてろ。こちらも今から合流する」


そう言うと験司はある人物に連絡を入れると、一同は時折遭遇する生存者や警備と合流しながら八重樫のいるヘリポートを目指した。
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