本編

17


「……! こ、ここは?」

 銀河は気がつくと、薄暗く湿った場所に寝かされていた。
 ウルフに運ばれている間に意識を失ったらしい。

「気がついたか。ここは古い地下道だ。恐らく緊急時用の武器輸送路だったのだろうが、老朽化して今は閉鎖された。……そんなところだろう」

 朱雀が地下道の奥から歩いてきて言った。

「ウルフは?」
「今、上の様子を見に行っている。光学迷彩とやらもまた使えるらしく、それでだ」
「そうか」
「ウルフから大体の事情を聞いた。……聞きたいか?」
「あぁ、お願いします」

 朱雀は頷き、自分も銀河の対面に腰をおろすと、ウルフから聞いた話を語りだした。
 プレデターの惑星でブラックとの戦いの後、ウルフは和夜を狩る為に古代文明の宇宙船で地球を目指したのは凡そ2000年前のことであった。
 しかし、それは和夜の罠であった。和夜はブラック自身であり、消滅したと見せかけたその身をウルフと同化させ、ウルフと宇宙船を利用して地球を目指したのだ。
 ウルフはその事実を知らず、地球へ到着したのは凡そ100年前。大気圏へ突入した宇宙船内で、突如ウルフの身体を破り、和夜がその姿を復元させ、宇宙船の制御装置を破壊して脱出。瀕死のウルフは宇宙船を制御できず、そのまま地上に落下して事実上死骸となったという。
 しかし、ウルフの体内には悪魔ノ血という「G」が宿っており、やがて何らかのきっかけでその力によって彼の身体は復元され、意識も再び戻り、彼は改めて和夜を狩る為に数ヶ月前から放浪しているのだという。

「やはり、和夜は確かにあの戦いで消滅したが、同時に銀河系外の星で転生したってことか」

 話を聞き終えた銀河は、下唇をかみ締めて言った。

「その辺りの事情は知らぬが、恐らくお前が考えている通りなのだろう。……しかし、問題は今のこの状況を如何に脱するかだ。……どうだった?」

 朱雀は闇の奥から聞こえてくる足音だけでウルフだと気づき、声をかけた。
 ウルフは光学迷彩を解きながら答える。

『来る』
「そうか。……後藤、動けるか?」

 朱雀は立ち上がると、銀河を見た。

「あぁ。身体だけは昔から頑丈なんでな?」
「よし。ウルフ、突破は可能か?」

 銀河が立ち上がるのを確認すると、朱雀はウルフに聞いた。
 ウルフは黙って、左腕のガントレットを右手で触れた。ガントレットに赤い記号が点り、その上にホログラム映像が表示された。赤い点を中心に緑色の点が複数光っており、それらがそれぞれ周囲の影を映している。

「それぞれの点の周りに引かれている線が壁か?」

 朱雀が聞くと、ウルフは頷き、一つの点を拡大させた。
 移動する影が通過した。

「それが敵か? 一人?」

 再びウルフは頷き、握った手を広げた。

「探査機能付きの爆弾ってことか?」

 銀河が聞くと、ウルフは頷いた。
 そして、次の点に影が通過した瞬間、爆発が起こった。
 すぐさま三人は身を伏せる。爆風が彼らの頭の上も通過した。

「結構な威力だな?」
「問題は、これで仕留められたかだ」
『………』

 三人は立ち上がり、硝煙の漂う地下道の奥を見つめた。火が点々と残っている中、何かがゆっくりと近づいてくる。
 ウルフは顫動音を立てながら、マスクの三点レーザーを照射し、すぐにロックオンを出来るようにする。
 朱雀も腰にさした颯霊剣を握る。銀河もとりあえず、護符を取りだす。
 地下道の中に機械のギミック音が響く。
 遂に、敵がその姿を現した。

『!』
「馬鹿な、あいつは死んだはずだ!」
「ロボット?」

 彼らの前に現れた敵は、屋上でウルフが首を切り落とした男であった。
 しかし、その顔は皮膚の一部が剥がれ、骨の代わりに銀色の金属が露出し、手足は完全に機械の素体が露わになっていた。

「………」
『!』

 ウルフは照準を合わせ、容赦なく肩のプラズマ砲を放った。
 男は閃光を上げて吹き飛び、仰向けに倒れた。

「やったか?」

 銀河が恐る恐る呟いた。
 しかし、男は操り人形の様に不自然な動きで首を上げると、口を開いた。

「戻ってくるぞ……」

 男がそれ以上口を開く前に、ウルフのプラズマ砲によって完全に破壊された。
 ウルフはそれを気にも留めず、歩き出す。

『行くぞ』
「あ、あぁ。……容赦ねぇな?」
「ふっ……。後藤、それよりもあの男の言葉、気になる」
「戻ってくるぞ、か?」

 三人は謎の機械の男の事を気にしつつも、やがて地下道から抜け出した。





 

「ほぅ。T‐800が二体もやられるとは、なかなかやるなぁ……」

 一面を複数のモニターが埋め尽くす空間の中央に置かれた椅子に座る老人が擦れた声で言った。
 椅子の傍らには灰皿があり、彼の吐く紫煙が周囲に漂う。

「ただの「G」か犯罪者崩れの爾落人かと思ったが、久しぶりに面白いじゃねぇか」

 老人は指を鳴らし、枝の様に細い左手を宙で叩いた。指が叩かれた空間が光り点灯する。
 彼は煙草を口に咥えると、両手でキーボードを叩く様に空中で、慣れた手つきで指を弾く。
 モニターの一つが拡大され、銃器が表示された。

「レールガン、イレイザーを相手にどうするか、見物だ」

 そして、老人は不敵に笑うのであった。その背後には、巨大な球体状の装置が沈黙を守っていた。





 

 地下道の出口は使われていない古い整備場に繋がっていた。

「メーザー殺獣光線車だな?」

 銀河が蜘蛛の巣と埃に覆われたパラボラが砲台についた車輌を見つけて呟いた。
 朱雀が銀河に聞く。

「知っているのか?」
「同じものじゃない。これの試作品を……2000年くらい前に見た。あんまり進歩してないんだな?」
「いや、ならばこれはその復刻版だろう」
「なんでだ?」
「砲台はわからないが、車輌は現在も「帝国」内で製造されている型だ」
「誰かが研究用にでも作ったのか? ………ん?」

 銀河は車輌の下に落ちている紙に気づき、それを拾った。

「指名手配書だな? ……こいつは!」
「どうした? ……! ウルフ!」

 手配書の内容を見た朱雀は、周囲を警戒するウルフを呼び戻した。

「こいつを見ろ」
『敵』

 ウルフは一言呟く。
 手配書には、先ほどの男と老人の写真が載せられており、手配理由はコロニー内での破壊工作とされており、高額の賞金も与えられると書かれていた。

「そうだ。ターミネーターと渚ユウジか」
「渚ユウジ? ……もう一度見せてくれ」

 銀河は朱雀から手配書を受け取った。渚ユウジは、コロニーの壁にあったプレートを作った男と同じ綴りの名前であった。

「あの男はターミネーター。この渚という男が量産製造したT‐800という人型兵器らしいな」
「渚という老人、爾落人かもしれない」
「知り合いなのか?」

 朱雀が聞くと、銀河は眉を寄せて首をかしげた。

「なんとなくどこかで会った気もする……が、そうでなくコロニーの壁に同じ名前のプレートがあったんだ。恐らく、250年前の」
「なるほど」

 話していてふと銀河はある疑問に気づいた。

「……ってことは、今追われているのは俺達だけじゃないということか?」
「そうなるな。追跡者かと思っていたあのターミネーターという者もこのコロニーで敵と見なされている」
「それを追っているのは当然、このコロニーの警察や軍だな? そして、俺達はボス達にも追われているというわけか?」
「あぁ。4つの存在があるが、さして複雑な事情ではない気がするが」
「だといいんだけどな? なんとなく……」

 嫌な予感がする銀河であった。
 そして、それは次の瞬間、現実のものとなった。
 コロニーの内部で大規模な爆発音と地鳴りが響いたのであった。

「「『!』」」

 三人はすぐさま、格納庫の屋上へ通じる階段を見つけ、駆け上がった。





 

 屋上に飛び出した三人の目に飛び込んできた光景は、夜空に黒煙がのぼり、弾光が行き交う戦場がボスの屋敷周辺で繰り広げられているというものであった。
 更に、彼らの眼下の道を、サイレンを鳴らした警察車輌が次々に屋敷とは違う方向へ走っていく。
 次の瞬間、警察車輌の進む方向で爆発が起こり、タンカーがロケットの如く宙を飛び上がった。

「やっぱりな? 時期に勢力は三つになるぞ?」
「どうしてだ?」

 銀河が言うと、朱雀が聞いた。
 銀河は屋敷を指差し、そのままもう一箇所の事件現場に動かした。

「ボスとターミネーター。お互いの標的は俺達、んでその邪魔をする敵はこのコロニーの治安維持組織。利害が一致するだろ?」
「だが、手を組む保証はないと思うが」
「俺のこういう時の予感は、能力関係なしによく当たるんだ。……嫌な予感しかしねぇ!」

 銀河の言葉を裏付けるかの様に、両者は次第に近づきつつある。
 ウルフは、それをじっと見つめていたが、突然身を翻した。

『行く』
「どこへ?」
『敵』
「……どうする?」
「あの二つが万が一にも手を組めば、この第二東岸領は完全に戦場と化す。その火種になったのは俺達だ。放っておくわけにもいくまい………」
「だな? ……剣か、その代わりになりそうなものってあるか?」

 銀河が朱雀に問いかけた。
 しかし、彼は銀河に答えてから呆然と空を見つめていた。

「どうした?」
「……なんでもない。空耳だ。武器だったな? あいにく持ち合わせていないが、下の格納庫に何かしら残っているだろう」

 朱雀の態度が気になりつつも、銀河は格納庫内で見つけた工具箱を持って戦場へと向かった。





 

 「帝国」第二東岸領の中央に築かれた城内では、領内以上に混乱していた。
 現在第二東岸領は、極北領壊滅の連絡に続き、突然の侵入者、指名手配犯の渚ユウジらの出現とマフィアの武力介入により、軍、警察は全てが出動する事態となっている。
 しかし、最たる混乱の原因は、それらを指揮する領主が先日の極北領壊滅にともない中央領へ呼び出され、不在だからだ。
 指導者不在の司令塔は喧々囂々と各部の上官達が各々の主張を言い合っていた。
 そこへ、二人の男が入ってきた。
 瞬時に場がしずまった。
 彼らは軍と警察のそれぞれ最高指令であり、領主に次ぐ地位に当たる。

「領主不在の間、僕達二人が指揮を執ることになった。軍は警察に協力し、内部で起こっている戦闘鎮圧を行う」

 白人の若く痩せた青年の容姿をした爾落人が言った。
 軍の上層部達は彼の言葉に頷く。
 続いて、全身が機械の装甲で覆われ、頭部もヘルメットを被り、顎のみが素肌を晒している男が警察幹部達に告げる。

「以上のように軍は我々に協力し、事態の収拾にかかる。我々警察は周辺域の交通および避難誘導班と、鎮圧班に分かれる。交通および避難誘導班は、最悪の事態を考慮し、「G」襲撃ガイドラインに沿って、軍の指示で全民衆の脱出ルート確保を平行して進める。したがって、残った者が軍と共に鎮圧班となる」
「避難の指揮は僕がここで行なう」

 青年が言った。
 すぐさま、一人の警察幹部が手を上げた。

「しかし、現場は混乱しております。鎮圧班を再構成しても現場の指揮がまとまりません」
「それは私が行なう。私が現場に出て直接指揮を執り、戦闘鎮圧を行なう」

 警察最高指令官の男が言い、青年に後を任せると司令塔を出て行った。
 全身が機械装甲のサイボーグである彼の名は、ロボコップ。
 本名は遠い昔に捨てている。
 現場に向かう彼を見送りながら、青年は彼がどのような思いで現場に向かったのかを考えた。気づくと下唇を噛みしめていた。




 
 

 一方、銀河達は避難する住民達がひしめく通りを避けて、発砲や爆発の音を頼りに狭い路地を進んでいた。

「まるで20世紀初頭のニューヨークみたいだな? 路地が迷路のようになってる」

 銀河が路地に捨てられたゴミに足をとられながらぼやいた。

「爾落人というのは本当に長生きなのだな。21世紀中期からこの時代に飛ばされたのだろう?」

 朱雀が足元を走るネズミを殺気で払いながら言う。

「まぁ……俺の場合はちょっと事情が違うけどな?」

 銀河が苦笑混じりに答える。
 その顔の前にウルフの腕が飛び出し、彼の前進を制する。
 すぐに銀河も朱雀も何かに気づく。

『伏せろ!』

 ウルフの声に二人は瞬時に反応し、身を屈める。
 刹那、彼らの眼前の建物が吹き飛び、路地が壁を突き破った警察車輌でふさがれた。

「! 大丈夫か?」

 車内に人がいることに気づいた銀河は、素早い身のこなしで瓦礫をどかし、フロントガラスを叩く。ドアは変形して開きそうもなく、瓦礫が積み重なっており開くことのできる余裕もない。フロントガラスも全く割れそうもない。

「超強化ガラスってところか? 畜生!」
「どけ!」

 拳を握り締める銀河に朱雀は離れるように命じると、彼は颯霊剣を握り締める。

「零式、改っ!」

 一陣の風が吹いた。いや、空気が切り裂かれた。
 次の瞬間、フロントガラスもろとも車輌は真っ二つに切れた。
 一時呆気に取られた銀河であったが、すぐに気を取り直して、車内にいた女性を救出する。

「おい、しっかりしろ! こんなことで死ぬな!」

 銀河は真理を失っていることを忘れて女性に叫ぶ。
 しかし、女性の脈も呼吸も止まったままだ。脳裏にCPAの文字が浮ぶ。

「ちっ! 何年ぶりのCPRだっ!」

 銀河は素早く女性の気道確保と身体状況確認を行い、マントを脱ぎ捨て胸骨圧迫を始めた。
 そして、朱雀とウルフを睨みつけるように視線を向けて叫んだ。

「何か蘇生技術はあるか? なければ、人を呼べ!」

 銀河の言葉に、ウルフはじっと女性を見つめた。
 彼のマスクに映る視界が変更され、女性の身体状況を分析する。

『どけ』

 ウルフが胸骨圧迫を続ける銀河の肩に手を置くと、怪力で銀河を女性から引き剥がす。

「うわっ!」

 銀河はゴミ箱を倒して転がるが、ウルフはそんなことを気にすることなく、拳を振り上げ、それを女性の胸に振り下ろした。
 女性の身体が衝撃で跳ね上がる。

「……がはっ! はぁ……ふーふーふー……」
「蘇生した? ……殴った衝撃だけで除細動したのか?」

 心肺が蘇生した女性を見つめて、離れるウルフに銀河は問いかけた。

『殴ればまだ動く。……角度が重要』
「……それって、ブラウン管テレビの蘇生法じゃねぇか?」

 銀河がつっこむが、ウルフは何も返さず、そのまま瓦礫を乗り越えて路地を出ようとする。

「お、おい! この人、頼んだ!」
「おい!」

 銀河はマントを被り、工具箱を掴むと朱雀に女性を任せ、後を追う。
 仕方なく、朱雀が女性を抱きかかえ、後を追う。
 路地を出ると、ウルフは既に光学迷彩で姿を消して見えない。
 代わりに、銀河と朱雀の前に一台の警察車輌が停車した。

「……データなし。お前が侵入者か? 爾落人」

 ドアが開かれ、車内から現われたロボコップが銀河に問いかけた。

「違う! 俺達はこの争いを止めたいんだ!」

 銀河は足から拳銃を取り出したロボコップに叫んだ。
 しかし、真理が失われた今、彼の言葉に強制力はない。
 朱雀も女性を抱えているため、すぐに剣を抜けない。
 一同に緊張が走る。

「……その女性警官を救護したのは、お前達か?」

 ロボコップは淡々とした口調で問いかけた。
 ゆっくりと頷く銀河。

「……名前と所属は?」
「後藤銀河。所属はありません」
「朱雀火漸。同じく今は流浪になっている」

 二人とも余計な情報は言わず、簡潔に答えた。

「彼女は我々が保護する」
「わかった」

 ロボコップに朱雀は素直に女性を引き渡した。銃を足に戻した彼は、女性を抱え、車に乗せるとドアを閉めた。
 車は自動的に動きだし、彼らから離れていく。
 それを見送ったロボコップが再び二人に問いかけた。

「事情を聞く。答えろ」
「あぁ」

 銀河は頷き、ロボコップに事情を説明した。
 しかし、全ての説明を終える前に隣のブロックで爆発が起こり、ビルが倒壊した。





 

 同じ頃、銀河達のいるすぐ隣のブロックでは対空地艦ミサイル砲を搭載させた装甲車と武装したマフィアの集団が進行していた。
 一同、皆暗視赤外線機能付きサングラスを装備している。

「ボス! 見つかりましたぜ!」

 手下の一人が装甲車に乗るボスに叫んだ。
 それを受けてボスは純金製の杖を振りかざして叫んだ。

「ヤロウ共、うてぇ!」

 刹那、対空地艦ミサイル砲が発射され、前方のビルが吹き飛ぶ。
 光学迷彩が解けたウルフが彼らの目の前に着地する。
 その背後で爆撃を受けたビルが土煙を上げて崩れる。

「モードを切りかえろぉ!」

 ボスの掛け声で、一同はサングラスの機能を放射線・超音波探査モードに切り替える。
 煙幕の中でも構わずマフィアはウルフを狙って銃撃を行なう。

「ガハハハハ! どうだ! 電磁加速装置付き自動小銃と探査機能付きサングラスはマフィアの常識だぁ!」
『笑止』

 応戦するウルフのプラズマ砲は正確に手下達の銃に命中し、彼らの戦力を奪う。

「なかなかやるなぁ! 面白い狩りだ!」
『否……我、狩猟者』

 装甲車に飛びかかったウルフがボスにスピアを突きつける。
 しかし、ボスの喉を貫く前に、ウルフの脇腹を高速の銃弾が貫いた。
 スピアはボスの喉をかすめ、ウルフもろとも地面に倒れる。

「誰だ? わしの邪魔をしたのは?」

 ボスの姿が消え、装甲車の中から装飾が施されたメーザーライフルを片手にするボスが蛍光緑の血飛沫を被ったおぞましい形相で現われた。
 先ほどのボスは探査偽装を施した特殊ホログラムであり、ウルフがその首を貫いた瞬間に本物のボスがウルフを撃つ予定であった。
 煙幕の奥から、両腕に巨大なレールガン、イレイザー二丁を構えたターミネーターT‐800が悠然と現われた。
 立ち上がったウルフとボスが、ターミネーターを見つめる中、彼は口を開いた。

「戻ってきたぞ……」
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