本編

「10時の方向、狙えるな?」



菅波の隊も突入だ。まずは侵攻の障害となる歩哨を狙撃班に始末させる。歩哨の装備は確認できる範囲で分かるのはSMGと防弾ベスト。
歩哨は数瞬後にも自分が殺されるとは思ってもないらしく、欠伸をかいている。治安を脅かす組織に属している以上、同情の余地はない。



「撃て」



命令と同時に狙撃される歩哨。防弾ベストはライフル弾の前には意味を持たず、歩哨は崩れ落ちた。
それを確認した菅波は手信号で前進を促す。



「……」



菅波は歩哨の遺体から無線機を奪おうとしたがやめた。例えGROW間の通信を傍受できようともそこで交わされるロシア語を理解できる者はいない。



放棄されたトラックの前を通過すると、先行の隊員が【止まれ、敵発見、数5】の手信号を送った。
すかさず菅波は狙撃班に指示を送る。



「1時の方向、狙えるか?」
『2人が死角です』
『同じく、全員は狙えません』
「やむを得ない。狙えるだけ射殺しろ」
『了解』
『了解』



菅波は【各自、アクション後応戦せよ】そう手信号をし、タイミングを伺う。



「…撃て」



菅波のタイミングで狙撃班は次々と兵士を狙撃、頭をピンポイントで狙い撃つ。死角にいて偶々生き残った兵士が仲間の異変に気付いた時には、突撃した隊員に撃たれた後だった。
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