本編
『拘束した構成員を尋問した結果、アジトの位置を吐いた。SATに仕事をしてもらうぞ』
警備部長直々の指示で、待機中のSATに出動命令が下った。八重樫と菅波は部下を召集させつつ、目標の地図を使いながらブリーフィングを行う。
「狙撃班と支援班が工場を包囲、俺の隊が正面から突っ込む。菅波は複数壁を爆破して侵入、挟撃する」
「良いのか? 奴らだって馬鹿じゃない。正面から行けば無事では済まないぞ」
「危険だからこそ、優秀な隊が先攻してSAT全体の生存率を上げるのさ」
「ハッ…成る程な」
菅波は笑う。危険な役回りを嫌がるどころか、むしろ余裕の態度で請け負って遂行するのが八重樫の頼もしさだ。
「この際、幹部格以外の構成員は殺す。一々下っ端を拘束していたら菅波の奇襲が意味を成さなくなる」
「それは仕方ないな。…そろそろ行こう」
「た、大変です!」
ブリーフィングを切り上げようとした時、ここの庁舎の管理人が慌てて割り込んできた。矢継ぎ早に街が一部消失、砂漠化した事実を八重樫と菅波、堤に伝える。
「チッ…テロか」
「爆弾は確保したはずだ」
「まだ別に仕掛けていたんだろう。クソッ!」
菅波は毒づく。
「起きたものはしょうがない。今は次が起きる前に根元を排除するしかない」
そう言う八重樫には「G」の仕業だと確信があった。事件発生の瞬間に強力な「G」を捕捉したのだ。
だが今は現状を確かめに赴けない。歯痒いが仕方がなかった。
「各員準備はいいな? 行くぞ!」
八重樫、菅波、堤は部下の人数と装備を確認すると隊を率いて大型バスに搭乗、出発した。