本編
構成員は人込みを押し退けながら人目の少ない路地裏に入る。凌は現在位置の報告と応援要請しながら同じ路地裏に進入した。
構成員は棄てられた自転車や廃棄物を通りすがり様に倒しながら逃亡するも、追っていた凌にとっては大した障害にはならない。逆に凌は距離を詰めていく。
さらに凌にとっては運良く、構成員の進行方向上に捜査員が現れた。
「退け!」
構成員は自動小銃を出すと前方の捜査員に向ける。凌はその前に、銃を威嚇として真上に発砲し構成員はそちらに気を取られた。
捜査員は構成員に肉薄するとそのまま構成員を大外刈の要領で投げ飛ばす。もがく構成員を追い付いた凌が取り押さえたところで捜査員が手錠を掛けた。
「公務執行妨害、それと銃刀法違反。文句ないな?」
「は、離せ!」
凌は構成員を立ち上がらせると武器を隠し持ってないか確認した。すると、ポケットからナイフが出てきた。しかもそこらの闇ルートで手に入るものでもない、軍用のそれだった。
「……」
そこらの犯罪者ではない、本当のテロ組織の脅威が間近に迫っていると感じさせた。
数分後、公安部員が身柄を引き取りに訪れ、構成員は連行されて行った。
これからは厳しい尋問が待ち受けている。この先公安にどのような扱いをされるのか想像に難くないが、同情の余地はなかった。