本編


「特別警戒態勢、ですか」



庁舎会議室のテレビ電話で警備部長と会合するSATの隊長格。事案は言うまでもなくGROWの件だ。



『GROWの計画とザルロフ国内潜伏の事実は一般市民と報道機関に伏せられている。故にパトライトを装備した特殊車両が移動手段の警備部の大半の部署は、今は動けない。名目ができるまでは待機だがテロリストの居場所が割れた場合はSATに全力で仕事をしてもらう』



SATは任務にいつも全力で取り組んでいる。現場のプライドを無視したお偉い方の言葉は、SATの隊長達の反感を買った。



『ザルロフは殺すな、身柄を確保しろ。以上だ』



警備部長の命令を以て会議は終了した。イヤホンマイクを置いた八重樫は真っ先に椅子から立ち上がる。



「殺すな、か。八重樫と菅波は守れそうか?」



SAT制圧三班隊長の堤が2人に聞く。菅波はすぐに大丈夫だと言ったが、八重樫はすぐに口を開かなかった。



「殺しはしないが…」
「…その間はなんだ?」



堤は八重樫に注目する。



「逃亡の恐れがある場合はこの手で殺してしまうかもしれない」
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