本編

7


 関口さんとの出会いから2年が経った2037年の夏休み。中学2年の成長期を迎えていた俺は、関口さんに続いて俺のターニングポイントとなるもう一人の人物に出会った。
 その年の夏休み中は関口さんの都合で丸々操縦士訓練の予定がなかった為、俺は単身で三重県蒲生村の田舎に遊びに行っていた。
 しかし、父親の蒲生吾郎は現役の三重県警警部をしており、俺とはろくに顔を合わせる時間もなかった。
 祖父母はいたが、もっぱら俺は幼少期に遊び場にしていた家の蔵に篭っていた。蔵の中は様々な骨董品などが乱雑に放置されており、中学生の好奇心をくすぐるには十分であった。しかし、それも二三日で飽きてしまい、もっぱら奥に敷かれた畳に寝転んで、本棚に置かれた本を読みふけっていた。

「凱吾、おやつにしましょう………。あらあら」
「ん? 婆ちゃん、どうかした?」

 祖母は、俺が寝転んで和訳版の旧約聖書を読んでいる姿を見て笑っていた。

「いえね。凱吾がそうしていると、銀河君を思い出してね」
「銀河? ……あぁー、父さんと母さんの友達だっけ?」
「あら? 銀河君のこと、聞いてないの?」
「うん。名前くらいしか知らない」

 頷いた俺に、祖母は少し驚いた様だ。

「私はてっきり銀河君の真似をしているんだと思ったわ」
「その銀河って人は、よくここにいたの?」
「そうよ。大御祖父ちゃんがまだ生きていた頃にね。銀河君は大御祖父ちゃんの弟子というのかしらね? 昔あった事件以来、そういう関係だったの」
「昔あった事件……って、もしかして「G」が現れたっていう、あの?」
「それは知ってたのね。……じゃあ、銀河君のことだけ触れない様にしてたのかしら? あら私、余計なことを話しちゃったかしら」
「いいよ。教えて! 婆ちゃんが話してくれなくても、俺は自分で調べる」
「そう。……いいわ。私が話すわ」

 そして、祖母は俺に後藤銀河という爾落人について話してくれた。

「じゃあ、たまに噂で聞く真理の爾落人って、その銀河さんのことなのか?」
「そうらしいわ。まぁ私は2010年に村を旅立った時までの銀河君しか知らないのだけどね」
「後藤銀河………」

 祖母の言葉を聞きつつ、俺は後藤銀河という爾落人がどういう人物なのだろうかと考えていた。




 
 

 翌日、俺は鬼神クマソガミが封印されていたという洞窟を訪れていた。
 古びた観光用の看板が立てられているが、あまり整備されていないらしく、洞窟内の電灯は所々切れていた。

「今時、白熱灯が現役かよ………」

 汗が伝う額を拭うと、俺は洞窟の奥に達した。
 一枚岩の壁が破られ、その奥にある小部屋に電灯は続いている。
 俺は、小部屋に足を踏み入れた。

「!」
「あ……どうも」

 そこには先客がいた。綺麗な女の人だった。日本人じゃないとすぐにわかった。中東系といった顔立ちだ。頭につけた金のカチューシャが白熱灯の光を反射している。

「………」

 彼女は黙って俺を見つめていた。
 俺も何か話す必要がなかったので、そのまま黙ってクマソガミが封印されていた跡である穴を覗き込んだ。

「うわぁ……結構深いなぁ」

 その深さに思わず言葉が漏れた。ここに全身が入っていたということは、クマソガミは2メートル近くあったようだ。

「それを倒したのか……凄いな、銀河さん」
「え?」

 俺が呟いた言葉に先ほどの女性が驚いた表情で声を上げた。
 俺はつられて顔を彼女に向けた。

「ん?」
「あなたは、銀河殿を知っているのか?」
「知っているというか、知らないというか………」

 一瞬悩んだが、別に隠すことでもないと気づき言葉を続けた。

「俺の両親の友達なんですよ。その銀河って人」
「! ……すると、あなたの母上は蒲生元紀殿か?」
「えっ! 母さんを知っているの?」
「はい。存じています。……成程、あの時にいた子か」
「俺を知っているのか?」
「直接会うのは今日が初めてだ。……申し遅れた。私の名は、ガラテア・ステラ。銀河殿と同じ、爾落人だ」
「爾落人………!」

 生まれて初めて見た爾落人は、全く人間と区別の付かない姿をしていた。
 そして、これが俺と師匠との出会いの瞬間であった。



 


 

 洞窟を出た俺達は、彼女から後藤銀河の事を色々と聞いた。

「……以上が私の知る銀河殿だ」

 話を終えた彼女の顔はとても輝いていた。話している間の様子からも、彼女が後藤銀河のことが大好きなのだとわかった。

「成程ね。……で、ガラテアさんは銀河さんのことが好きなの?」
「え?」

 俺の質問に彼女は一瞬虚を突かれた表情を見せたが、すぐに微笑んだ。

「うむ。確かに、私は銀河殿のことが大好きだ。……だけど、それは凱吾殿が考えている好きとは少しばかり違うと思う」
「というと?」
「凱吾殿は元紀殿のことが好きか?」
「そうだな……。俺達のことを放って仕事ばかりで嫌なことはあるけど、やっぱり好きだな」
「それと同じだ。私の好意は、異性ではなく、父親への愛に近い。事実、そういう存在であったからな」
「それ、本当?」
「ふふっ。凱吾殿はなかなか聡いな。確かに、一時は恋愛感情に限りなく近い感情を銀河殿に抱いた時期もあった。……でも、やはり気がついたんだ。彼は私の父であり、主殿だと。すると、心の中がスーッと晴れた」
「それって、失恋?」
「そうかもしれないな。……でも、私は心の底から銀河殿を信頼し、愛している。そして、彼も私を信頼し、実の娘の様に愛してくれている。それがわかってから、私は今の関係が本当に幸せだと理解できるようになった」
「ふーん……」

 彼女は何故俺がそんなことを聞いたのかを問わなかった。気づかなかっただけかもしれないが、やはり彼女の纏う雰囲気は俺の心を見透かしている気がした。
 俺の期待していた答えは得られなかった。
 俺は脳裏に浮かぶ女性の姿を掻き消すと、話題を変えた。

「ところで、ガラテアさんは爾落人っていうけど、強いの?」
「能力ではなく、強さを問うか……。そうだな、能力の性質上、戦闘に特化していると言える」
「その能力って?」
「変化だ。あらゆる変化を操る力と説明すれば、わかりやすいか? ……この様に、爪も伸ばせれば、火も起こせる」

 彼女は俺に自身の爪を鋭利に伸ばし、その先から火を出してみせた。

「すげぇ!」

 俺は全身がゾクゾクと興奮しているのがわかった。
 それに彼女も気がついたらしい。

「凱吾殿は力を求めているのか?」
「そうかもしれない。……いや、強さを求めているんだ。力は必要ない。俺には誰にも負けない力があるからな」
「力?」
「そうだぜ!」

 俺は自慢げに天才操縦士の素質がある事や、ガンヘッドを使った訓練などをしている事などを話した。

「そうか、ガンヘッドを………」
「知っているのか? ガンヘッドのこと」
「あぁ、以前に。凱吾殿が話していた天才操縦士にも会った」
「本当か? そいつ、強かったか?」
「………あぁ。強い男だった。彼らは本当の意味の強さを知っていた」
「どういうことだ?」
「彼らは自分の力の使い方を知っていたし、その力に驕らず、それぞれの信念の為に力を行使した。そして、行使する為に力を強くさせていた。……凱吾殿は兵器の操縦ができて、何をするつもりだ?」
「そりゃ、「G」を倒すに決まってるだろ?」
「なら、あなたは私を殺すのか?」
「あ………」

 そうだ。彼女も「G」なのだ。

「いや、私と戦っても凱吾殿に私を倒すことはできない。強さとは、技術も必要だが、心身の鍛錬を積んだ者にしかその本質は理解できない。そう私は考えている」
「心身? ……武道って事か?」
「本質的には同じではないのか? 兵器を操る力も、技を操る力も」
「それは………」
「何故、凱吾は戦う? その理由がなければ、それは人ではなく、兵器そのものだと思うぞ」
「俺は人間だ! それに、俺にだってどんな敵と戦ってでも守りたいモノがある!」

 俺が拳を握り締めて言うと、彼女は微笑んだ。

「そうか。……ならば、それを守る為だけの力を身につけろ! それが、強さだ」

 そして、彼女は俺に背を向けて山を降り始めた。

「待ってくれ!」
「ん?」

 俺は咄嗟に彼女を呼び止めた。
 そして、今思ったことを躊躇なく声に出した。

「ガラテアさん! 俺に戦い方を教えてくれ! 弟子にしてくれ!」
「随分と唐突だな? ……それは何故だ?」
「確かに俺は兵器を操縦する才能があるらしい。だけど、それがどれほどに強大な力なのか、さっぱりわからない。……強い力ってのが、どういうものなのか。それを俺はこの体で知りたいんだ! 「G」と戦って守るってのが、どういうことなのか、俺は知りたい!」
「………私は厳しいぞ? それでもいいか?」
「あぁ。いや、はい! 師匠!」

 頭を下げた俺が顔を上げると、師匠はまたもや微笑んでいた。


 


 

 それから一夏の間、俺は毎日蒲生村の山で師匠から「G」との戦い術を学んだ。
 成長期であることもあり、俺はすぐに師匠の立ち回りができるようになったが、それは形だけで実際には師匠の足元にも及ばなかった。

「はぁ……はぁ……はぁ……」
「もう疲れたか? 実戦では、その隙に「G」に殺されるぞ!」
「はぁ……はぁぁぁぁぁぁあああっ!」

 俺は指の間に挟んだ四本の小型ナイフを師匠に向けて切り裂いた。
 しかし、師匠はいとも容易くそれを回避する。

「間合いが甘い!」
「うわっ!」

 師匠は鋭利に伸ばした爪を俺の喉元ギリギリに突き立てた。

「これで凱吾殿は死んだぞ?」
「はぁ……はぁ……もう一回っ!」
「その意気だ! 来いっ!」
「うぉぉぉおおおおおおおおっ!」
「遅いっ!」

 切りかかる俺の右手のナイフの刃を師匠は爪で切り落とした。

「今だっ!」
「何っ!」

 俺は左手のナイフを振り上げた。
 師匠はギリギリのところで身を下げたが、その頬に二本の傷がついた。

「私の肌を傷つけたとは………大した根性だ」
「根性かよっ………。実力だ!」
「ふっ。……私に隙があったのは認めよう。しかし、その程度では私に再度傷をつけることなどできないぞ!」
「なら、もう一度成功したらどうする?」
「凱吾殿は何を望む?」
「俺をもっと強くしてくれ。心と技で「G」と渡れるようになっても、体は結局生身の人間だ。なら、人間の極限まで俺を強くしてくれ!」
「成程な。……考えておこう。だが、そんなことは無駄だがな!」
「どうかな?」

 俺は再び師匠に切りかかった。




 
 

 それから数週間が流れたが、俺は再度師匠を傷つけることができずに、気がつけば蒲生村に滞在する最後の日になっていた。

「今日で最後だ。私も本気で行くぞ。……この一ヶ月間の成果を見せてみろ!」
「言われなくても!」

 俺はナイフを指の間に挟み、構えた。
 師匠も爪を伸ばし、構える。
 一瞬の静寂が、周囲に流れた。それを木の葉から垂れた水滴が石に打ちつけて破った。

「っ!」

 先に動いたのは師匠だった。右手を振り上げ、俺を牽制しつつ攻撃した。
 俺はすばやく身を屈めて、回避する。そのまま間合いを詰め、師匠の懐にもぐりこむ。

「今だっ!」
「遅いっ!」
「なっ!」

 俺が刃を突き立てる前に、俺と師匠との間に木が生え出した。

「話したはずだ。私の能力は変化だと!」
「苗木を成長させたのか? ……本気って、そういう事かよ。………おもしれぇ!」

 俺は師匠にナイフを一本投げた。
 師匠はそれを業火で一瞬にして溶かす。
 その隙に俺はその身を木の影に隠す。

「隠れても無駄だ!」

 師匠は地面に向かって炎を放ち、熱風を周囲に浴びせた。

「熱っ!」
「そこか!」

 師匠は爪を構えて飛び掛ってきた。
 俺は隠れていた木を蹴り、地面を転がって攻撃をかわす。
 師匠の追撃が続く。襲い掛かる爪を回避しながら、俺は隙を伺う。
 しかし、全く隙がない。それは幾多の戦いを経験した師匠の強さを体現していた。

「なら、作るしかない!」

 俺は身を屈め、切りかかる爪を見定めると、右手のナイフでそれを受け止めた。
 同時に、左手のナイフを師匠の脇腹にめがけて振り翳す。

「二度も同じ手はきかん!」

 師匠は爪でそのナイフを切り落とした。

「今だっ!」

 俺は覚悟を決め、爪を受けていた右手を離し、師匠に向けて伸ばす。受けがなくなった爪は俺の右肩を切り裂いた。

「うがっ!」
「!」

 刹那、師匠の表情の色が変わった。一気にはっきりわかる殺気がその全身から発せられる。
 咄嗟に切り上げた師匠の左手の爪は、ナイフでなく、俺の右手を切り裂いた。勢い良く右手から血が噴き出した。

「ぎゃぁぁぁぁぁああああああっ!」
「しまったっ!」

 俺の悲鳴に師匠の殺気が消える。
 隙が、生まれた。

「ふぉがぁぁぁぁぁっ!」

 俺は血が噴き出す右手に挟んでいたナイフを口で咥えると、そのまま師匠の右頬を斬った。

「勝ったぜ………」

 俺はナイフを口から離し、師匠に倒れ掛かると、耳元で弱々しい声で囁いた。
 そして、俺はそのまま気を失った。



 

 

 気がついた時、俺は蒲生村にある唯一の診療所のベッドの中にいた。
 聞くと、診療所の前で倒れていたらしい。
 当然、負傷した俺がそんな距離を歩けるはずもなく、師匠が運んでくれたのだとすぐにわかった。
 傷は既に塞がっており、既に薄皮ができている状態であるらしい。それも師匠の変化の力によるものなのだろう。

「師匠………」

 俺は、滞在が一日伸びた蒲生村の夜空を窓から見上げつつ、呟いた。
 刹那、一陣の風が吹いた。熱帯夜にはあり得ない冷たい風が部屋に流れ込んできた。

「師匠?」

 しかし、周囲に師匠の姿は見当たらなかった。
 俺は落胆しつつ、視線を掛け布団に下ろした。

「え?」

 そこには、『凱吾殿へ』と書かれた便箋が置かれていた。
 俺は慌ててその便箋を開いた。

『凱吾殿、負傷をさせてしまい申し訳ない。しかし、あの時の私は紛れもなく本気だった。その私から、自らの身を犠牲にする事で隙を作り出し、傷をつけた。あなたの勝利だ。
 約束は守る。しかし、凱吾殿の希望を丸々叶える訳にはいかない。叶えてしまえば、凱吾殿自身が「G」になってしまうからだ。だから、凱吾殿の体の組織に僅かばかりの変化を与えるに留めさせてもらった。人には生まれ持った素質がある。凱吾殿は比較的身体能力が高い方ではあるが、特筆している訳でない。それを、人間として最も高い素質になる様に組織を変化させた。
 これは可能性を与えたに過ぎない。この可能性を極めるか、埋もれさせるかは凱吾殿次第だ。
 では、また会う日まで。ガラテア・ステラ』

 手紙を読み終えた俺は、自分の手を見つめていた。
 見た目には全く変わった様子はない。
 しかし、確かに変化しているはずなのだ。

「師匠。ありがとう!」

 俺は、包帯の巻かれた拳に師匠への礼と、操縦士の訓練と共に心身の鍛錬を行うことを決意した。




――――――――――――――――――
――――――――――――――


 

『王の守護者って、まさか……あのガラテア・ステラかよ』

 ジンが顔を一層に引きつらせて言った。

「あぁそうだ」

 俺は頷いた。
 そこへライムが通信を入れてきた。

『お話中にすまないわね。……来たわよ!』
「!」
『!』

 俺とジンは同時に大西洋を見た。空から何かが飛んでくる。
 それはプロトモゲラとメカニコングの間に落下した。

「首?」
『なっ!』

 地面を陥没させて転がったのは、自由の女神像の首であった。
 自由の女神像から埠頭までは結構な距離がある。それを飛ばしてくる程の強大な力を持つ「G」と俺達はこれから戦う。
 それを察した。

「マジかよ……」
『怖じ気づいたか、日本人?』
「いいや、武者震いがしてきたぜ」

 俺は小刻みに震えるレバーを握る両手に一層の力を込めた。
 俺達の視線の先にある海面を割く一筋の波が埠頭に迫る。その奥には、黒煙を上げる複数の戦艦の姿が見える。
 波は埠頭に近づくにしたがって、盛り上がる。
 いよいよ、敵が来る。

『その場から逃げて!』

 突然、見知らぬ少女からの通信が飛び込んできた。俗にいうところの美少女だ。
 しかし、なぜこんな少女がこの通信に入ってきたのかと一瞬思ったが、直ぐに状況から予想がついた。

「爾落人か?」
『そうよ。時間の爾落人』
『ほぉー、随分とキュートな「G」も居るんだな』
『私のことはいいのよ。今すぐその場から逃げて!』
「………未来を見てきたのか?」

 俺は彼女の能力名を聞いて察した。

『そうよ。だから、さっさと逃げて! あの「G」はジラなんかとは比にならない! ニューヨークは壊滅するのよ!』
「だから、死ぬ前に尻尾を巻いて逃げろっていうのか?」
『そうよ!』

 俺はじっと画面の美少女を見つめた。彼女の必死な目から、未来のニューヨークの惨状がどれほど酷いものであるのか想像ができた。
 もう眼前の「G」は埠頭に迫っていた。確かに、逃げるなら最後のチャンスなのだろう。
 不意に、武者震いが止んだ。自然と口元が緩む。

「なぁ。名前、何て言うんだ?」
『私? 桧垣菜奈美だけど……』
「菜奈美、忠告してくれてありがとう。……だが、俺は例えこの町の未来が決まっていても、引き下がらない」
『でも!』
「俺はとっくに死ぬはずだった人間だ。それでも今こうしてこいつに乗って、俺はここにいる。何故だか分かるか?」
『………』
「それは、俺が戦うことで守れる命があるかもしれないからだ! 菜奈美、そのメッセージはこの町に残っている者達に伝えろ!」

 埠頭に達した波は、堤防を越えて周囲に広がった。波に洗われた埠頭には、プロトモゲラとキングコングと幾つかのジラの死骸だけが残った。
 そして、俺達の眼前にグロテスクな灰色の表皮を纏う細く長い腕を持つ破壊者、クローバーがその姿を露わにした。
 俺は、その巨体を見上げながら言った。

「俺はコイツと、戦う!」
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