本編


綾から逃れた「G」ハンターは外への非常口のある北通路に差し掛かる。
このまま外に出て逃げ出せば早い話だろうがそうはいかなかった。


何かに気付いた「G」ハンターは何もない空間にレーザーを発射する。すると何もない筈の空間に光の壁が発生しレーザーを防いだ。


これで確信を得た「G」ハンターは例の空間に手をかざす。すると凌が姿を現した。


「!」
「姿を消すのは俺の専売特許だ。真似するな。」


「G」ハンターは姿を消すと指先から電撃を放出した。凌は円形の光シールドで防御してやり過ごすと両手を銃に模した形に形作る。彼は光弾を手当たり次第に乱射した。だが手応えはない。


「どこを狙っているんだ?」


「G」ハンターはあっさり姿を現すと凌に問い掛ける。


「お前も能力者だから俺のアレが効かなかったのか?」
「あのスタンガンもどきならさっきのシールドを応用して防がせてもらった。それに俺は爾落人だ。」
「…お前、やっぱり爾落人だったのか。」
「そんな事はどうでも良いだろ。大人しく…捕まれ!」


凌は手銃で「G」ハンターに光の鎖を射出するが、それは「G」ハンターを貫通した。
同時に誤作動させられた警備用シャッターが下り始め、凌は通路に閉じ込められる。その瞬間、「G」ハンターは消滅した。


「悪いな、お前とは戦っている年季が違うんだ。さよならだ爾落人。」


ここで初めて凌は「G」ハンターの幻影を相手にしていた事に気付く。
「G」ハンターに騙され、逆に通路に閉じ込められた凌にはかなりの屈辱だった。


凌は毒づくといつもの光刃を利き腕である左側に発生させる。彼はシャッターに光刃が貫通するように押し当て、人1人が通れる円形を描き始めた。


「G」ハンターは去り際にシャッターの異変に気付いた。何とシャッターから突き出た光の刃が円形を描いていたのだ。


やがて完成した円を蹴破ってできた穴からシャッターを突破した凌。「G」ハンターはレーザーを放つも凌の光刃によってそっくりそのまま跳ね返される。


「うぉ!?」


自分に跳ね返ってきたレーザーを慌てて回避した「G」ハンターは凌に再び電撃を放つが、光刃に受け止められすぐに振り払われた。


「面白くなってきたが時間がないな……」


「G」ハンターは壁に付けてあった電子装置に直接触れると先程と同じように誤作動を引き起こし、凌との間にシャッターを下ろし始めた。
しかし凌は右手の手銃による光弾で電子装置を破壊してシャッターを止めた。


その隙にも「G」ハンターは博物館から脱出する。
凌もすぐに追って博物館を出たが、彼に向かってパトカーが高速で射出されてきた。


凌は咄嗟に全身を使って光刃を縦に振り下ろし、三日月状の斬撃波を放つ。
パトカーは斬撃波に両断され、凌を避けるように博物館の外壁に激突した。


危機を脱した凌が辺りを見回すも気絶した捜査員しか見当たらない。先程のアクションで「G」ハンターを完全に見失ってしまったのだ。


「……クソッ!」


凌は人生最大の地団駄を踏んだ。
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