本編


瀬上が二課に戻ってすぐに特捜課は改めて「G」ハンターの情報を収集した。瀬上が訪ねる以前に特捜課はそれなりにマークしていたのだ。


「宮代君。「G」ハンターの力について、真新しい情報はあった?」
「さっき調べましたが、今まで調べあげた以外の現象は報告されてないね。」
「獲物の宝石の方は?」
「これも特には。ただ評判が良くて展示された博物館の客足が断トツに増え、客の中には追っかけもいたようで。」
「展示物の追っかけ…ね。」


特捜課は予告の日に備えて新たな「G」ハンターの情報を確認していた。


「「G」ハンターの能力について、説明できる人は居る?」
「はい。」


凌は軽く挙手する。


「はい、東條君。」
「電脳と幻惑の類だと思います。複数の力を持つ能力者かと。」
「赤外線や電子ロックは電脳に近い能力で突破、姿が消えるのは幻惑による錯覚という事ね。」
「はい。」
「宮代君、電脳の力で電子ロックと赤外線警備装置を解除できる?」
「できますよ。システムにさえ侵入できれば可能です。ただオフにした場合、オフにした時間経過の履歴がが残ってしまうけど。」
「でも電脳ならその履歴すら改ざんできるでしょ?」
「恐らくは。「G」ハンターがそこまで頭が回る奴なら改ざんされているかもしれない。」
「そういう事で東條君の仮設はいい線だけど、パトカーが実際に浮いて落下する説明にはならないわね。」
「…はぃ。」


凌は参った様子で発言の粗を認めた。


「そういう私も、何の能力か検討もつかないわ。やっぱり捕まえて本人から聞き出すのが手っ取り早いわね。」


綾は不敵な笑みを浮かべると回転椅子に深く腰掛け、背もたれの軋む音が響いた。
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