第二章 ジラクノオモイ
「…………」
市内のファミレスに、隆文と蘭子の姿があった。この街の住人では無いが、相手が相手だけあって、それなりの期間、この街にいる事は覚悟しなければならなかった。
「もう、スープはいいのか?」
「食べ過ぎはよくないから……」
このところ、蘭子の元気が無かった。それを案じた隆文ではあったが、体調が悪い訳でも無いだけあって、対策のしようが無かった。
「やっぱり、気にしてるよな。」
「…………」
「……確かに、俺がやろうとしている事に否定的なのはよく分かる。でも、それでも俺は……」
「いいの。私、隆文と一緒にこの街に来て、覚悟を決めたから。それに……やっぱり今の私では……」
「いや、それは違う。俺は……」
「ごめんなさい、今はよしましょう。」
「……そうだな。」
一通り食べ終わり、時間を確認する隆文。時間は9時を回った。
「行くか。」
「時間?」
「ああ。」
「場所、どこだった?」
「灯台だよ。街外れにあったあの大きい灯台。」
「昼間は、観光客にも開放してる場所よね?」
「つまり、夜である今なら平気なんだ。あの灯台はコンピューター制御で、基本的に夜は無人だからな。」