第二章 ジラクノオモイ


「どう思う?」
「分からないわ。あの子達と私達では、置かれている状況が違うから。」
「ああ。このまま見逃してよかったのだろうか?きっと来るはずだ。俺達みたいに、「G」であるために苦しむ日が。俺達は、もっと忠告するべきじゃなかったのか?」

 この時から、蘭子は自分達のやっている事に疑問を持っていたらしい。その事を聞いたのは、その年の夏だった。
 蘭子曰わく、忠告されていたのは俺達だったんじゃないかという事だ。あの2人は、俺達がこの後見いだす事になる、人間と「G」の共存の可能性をいち早く実現させていた。そして、「G」を殺し、蘭子を戻す事に躍起になっていた俺が、実はそれによって蘭子を苦しめていた事も。

 あの日の翌日、俺達は街を出た。今思えば、憐太郎と紀子がいたからこそ、俺は時間の爾落人を殺さずに済んだのだろう。

 これは、2020年の1月。俺達の中に、僅かな可能性が生まれた日の話だ。


 
To Be Continued
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