第二章 ジラクノオモイ
2027年5月
「という事があった……って……」
いつもの事務所の光景だ。世莉は事務所の中の茶菓子を出し、テレビを見ながらそれを食べていて、桐哉は桐哉で、書類を作成している。
「お前ら、人の話を聞いていたのか?」
「ああ……要は、お前とあの加島が昔からの知り合いだったという事だろ?」
「すみません。全く聞いていませんでした。」
「ハァ……ま、昔そういう仕事もあったという話だ。」
「翔子、その菜奈美という爾落は今どうしているんだ?」
「さあな。あれから一度も会っていない。勿論、川崎と渋川にもな。」
「人と「G」の共存か……ここに舞い込む事件を見ていると、絵空事のように思えますよ。」
「円藤、ここはそういう仕事を請け負う場所なんだ。私も、可能な事とは考えていないが、あの爾落人がどう出るかが楽しみだよ。」
そう言いながら、仕事の書類を整理する翔子。その時、デスクの電話が音を鳴らした。
「はい、もしもし。あ、汐見さんですか?」
To Be Continued