「G」が導く未来 ~「GODZILLA」VS of FINAL~







夕方になり、弥彦山を下りて弥彦保護区域を出たマサルは次に弥彦総合病院に行った。
本当は行くつもりは無かったが、ゴジラと「あの男」について考えている内に居ても立ってもいられなくなり、この病院に入院している曾祖父から「あの男」についての話を無性に聞きたくなったのだ。



「なぁ、ひいおじいちゃん!師匠の話、またオレに話してくれよ!」
「やれやれ・・・これでマサルに話すのは、何度目かのぅ・・・分かった、話してあげよう・・・」
「よっしゃー!」



右手首に点滴の管を付けてベッドに横たわり、か細い全身はシワだらけで、歯も髪も全て無くなり常に目は閉じたまま、声も弱々しく・・・だが、不思議な力強さを感じる、マサルの曾祖父。
御年113歳もの長寿であり、妻も友人達も22世紀を迎える前に亡くなり、いつ死ぬかも分からない状態故に入院生活を強いられる彼にとって最大の楽しみは、週一回のペースでやって来るマサルに「あの男」の話をしてやる事であった。



「むかしむかし・・・かつてこの辺りにあった『弥彦村』と言う村に、1人の破天荒な少年がおった・・・」



既に天国に逝った妻の血の影響か、「その男」の面影を感じるマサルに、何度目か分からない件の話・・・老化の影響で遠い昔の記憶が消えて行ってもなお、全く色褪せる事無く記憶の中に刻まれ続ける、自分が生涯に渡って心から慕い続けていた、自分の義兄・・・桐城健の話を始める曾祖父・青木翼。
そう、彼は今も見届け続けていたのだ。
健から自分へ、
自分から我が子へ、
そして今、マサルに継承された「意思」のバトンを。



――・・・美歌。健にいさん。
わしらの思いを受け継いだマサルは、今日も元気ですよ・・・



翼の頭の中にはその男・桐城健が、弥彦村で不良達とケンカをせんと啖呵を切るあの日の姿が、鮮やかに甦っていた・・・











「・・・聞きてぇか?なら、聞かせてやるよ!
俺の名前は桐城健!!天下無敵の喧嘩番長、桐城健様だぁっ!!」










新世紀超怪獣大戦
~the next 「G」~








the END
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