「G」が導く未来 ~「GODZILLA」VS of FINAL~







それからしばらく経った、12月24日のクリスマスイブ。
新潟県某所の結婚式場の外で、一つのブーケが宙を舞った。



「「「結婚、おめでとーう!!」」」



ブーケを投げたのは、純白のウェディングドレスを着た美歌であり、彼女の隣には白い礼服を来た翼が、ブーケの行方を見守る。
そう・・・これは、夫婦になった翼と美歌の挙式だ。



「・・・あっ。ブーケ、受け取ってしまいました・・・!真ちゃん、どうする?」
「どうする、って・・・これ、次はおれ達の番・・・って事だろ?さくら。」



翼と美歌の結婚を祝って集まった、2人の家族・友人・知人達の列に投げ込まれたブーケは三つ編みの女性・・・かつて「バラガミ」伝説を体験した美歌の友人、嵯峨野(さがの)さくらの手に渡った。
彼女の連れで、現在さくらと交際中の麻野道真(おのみち まこと)と一緒に動揺する彼女を周りが囃(はや)し立てる中、翼と美歌が歩み寄って来る。



「おめでとう、さくらちゃん。真君と幸せになってね。」
「あ、ありがとう。美歌ちゃん。」
「真君、このブーケを無駄にしない為にも頑張るんだよ。」
「は・・・はい。翼さん。」



「「結婚おめでとう、美歌ちゃん!」」
「娘みたいな感じの知り合いの子が結婚するって、こんなに嬉しいんだな・・・!よし、次の本は結婚関係の話にするぞ!」
「あなたったら、何でも仕事に結び付けないの。あっ、何か困ったらいつでも私達に相談してね。夫婦の先輩として、相談に乗るわ。」



「夫婦の先輩なら、私達も頼ってね。翼君。美歌ちゃん。でも、翼君はこの歳でたくましい感じあるから、うちの旦那はあまり参考にならないかな?」
「こんな場で酷いよ、優・・・まっ、人生相談ならたくさん経験しているから、猫の手も借りたい時は相談して来てね。」



「美歌ちゃん、結婚おめでとう。翼君を想い続けて、こんなにも愛に満ちた、最高の瞬間を迎えられたね。あの時貴女を助けて、本当に良かった・・・翼君は美歌ちゃんと、さくらちゃんは真君と、幸せにね。」



「今や腐れ縁の恐竜ボウヤの息子が結婚すると聞いたら、俺も行かないわけにはいかないよな。君は父親と違って、鍛え甲斐がありそうだ・・・気が向いたら、いつでもG対策センターに来るんだぞ!翼君!」
『一馬チルドレンノ、ハッピーウェディング!コレゾマサニ、オメデ鯛!!2人デ末永ク、オ幸セ日暮里!!』






「まさか、健より先どころか美歌と結ばれるなんてな・・・でも、こんな息子なら大歓迎だよ。おめでとう、美歌。そしてこれからよろしくな、翼君。」
「はい。兄貴の一番弟子として、師匠のように思っていました・・・美歌は必ず幸せにします、お養父さん。」
「私は研護さんと一緒に、お婿さん候補一位は翼君だと思ってたから・・・嬉しくてたまらないわ。美歌、翼君といつまでも仲良くするのよ。」
「うん・・・お父さんもお母さんも、ありがとう・・・!」






「翼・・・お前はもう、立派に羽ばたいた。俺もあっちゃんも嬉しい・・・だから美歌ちゃんを乗せて、何処までも一緒に飛ぶんだぞ・・・そう、翼竜のように!」
「もう、あなた。そこは私達みたいに仲睦まじく、と言うところでしょ。でも、私も翼が産まれた日の時を思い出して、胸がいっぱいで言葉にならないわ・・・とにかく、私と一馬さんが言いたい事は一つ。」
「「おめでとう、翼。これからよろしくね、美歌ちゃん。」」
「親父、お袋・・・ありがとうしか、言えないよ・・・!」
「お義母さん、お養父さん・・・私、翼とずっと一緒にいますね・・・!」



寺沢健一郎・千晶夫妻、三神小五郎・優夫妻、妃羽菜遥、佐々木拓也Gフォース航空隊特別顧問、セバスチャン・ジョックス博士・・・そして、それぞれにとって義理の父と母になった桐城研護・和美夫妻と、青木一馬・梓夫妻。
様々な切欠と縁の形で繋がった、彼らからの祝福の言葉は翼と美歌の涙腺を容易く刺激し、自然と涙を流させる。
そんな2人に次に寄って来たのは、将治とみどりだった。



「僕からも、お祝いの言葉を・・・結婚おめでとう。翼君、美歌ちゃん。まさか、あの電話をした日に美歌ちゃんにプロポーズしてたなんて・・・兄貴とは違う方向で最近の君には驚かされるよ、翼君。」
「ほんと、今更付き合おうとか言って来た何処かのバカに、翼君の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいわ。あたしもまさか、美歌ちゃんに先を越されるなんて驚きだけど、これも美歌ちゃんが大人の女性になったって証明なのね・・・2人共、本当におめでとう!」
「ありがとうございます、麻生さん。みどり姐さん。おれ、兄貴とみどり姐さんの結婚式に早く行きたいです・・・!」
「麻生さん、みどり姉さん・・・ありがとう・・・!」



将治の電話の一件から、アドノア島での梓と未希のさりげないサポートと、ゴジラに背中を押された健はみどりを連れて弥彦村に帰郷。
そのタイミングを狙って亜弥香が密かに弥彦山のタイムカプセルに仕込んだ、幼稚園の頃の健が書いた「手紙」が最後の決め手となり、晴れて健とみどりは交際を開始した。
だが・・・この騒動の発端になった男がここにいない事に、翼は気付く。



「・・・やっぱり、兄貴はいませんね。」
「えっ、健兄さんまだ来てないの!?妹の晴れ舞台に来ないとか・・・最悪なんですけど!だからいつまでもみどり姉さんを待たせときながら警察官の後輩と付き合っててその挙句に振られるなんて、ありえない事が出来るのよ・・・!!」
「まぁまぁ落ち着いて、美歌。」
「僕なんかの言葉じゃフォローにならないかもしれないけど、あの破天荒を形にしたような男が、ただ無神経なだけでも、普通にお祝いのメッセージだけ言って終わるような男でもないと思うんだ。」
「流石麻生君ね・・・正解よ。あいつは、アドノア島で翼君と美歌ちゃんを待ってるわ。2人の都合がいい時にいつでも連れて行くけど、どうする?」
「・・・じゃあ、今年中に行きます。」
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