「G」の去った夜に









――・・・ってて・・・ゃん!






――・・・まって・・・ル・・・!






――・・・タケル!








弥彦村の中心地郊外にある、静かな林。
そこに、ふと1つの人影が現れた。
木に背中を預け、動く気配の無い人影は十数歳程度と思われる容姿をしており、その正体を木漏れ日が写し出す。



「・・・」



白く照らされる肌に銀色に瞬く髪、遠い国の少女としても整い過ぎているとすら感じる顔立ち。
こうして眠っている少女はこの一帯では全くと言っていい程見掛けない、外国の少女だった。



「・・・!」



目を覚ました少女はゆっくりと立ち上がり、一歩一歩確かめる様に足を進める。
やがて林を抜け、目の前に見える全壊した弥彦村の中心地を見つめた少女はこう呟いた。



「・・・わたしは・・・シエル。
シエル・・・シス。
ここは・・・どこなの・・・?
わたしは・・・・・・だれ・・・?」










前編短編・完
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