「G」の去った夜に







翌日、G対策センターの一室に、1人の女性の姿があった。
耳に見慣れない紋章が刻まれたピアスを付けた、40前とは思えない美しい容貌をしたその女性は窓から外の風景を見ていたが、その様子は何かと交信している様にも見える。



「・・・行きましょう。」



そう言うと女性は机に置いてあるラジカセと何かの資料と思われるファイルを持ち、部屋を出た。
廊下を歩く彼女の胸にはネームカードが付けられており、そこには『サイキックセンター 主任』と書かれている。
彼女こそが、かつて先代のゴジラと深い関わりを持った超能力者・三枝未希であった。



「きっと近い内、何かが起こる。絶対に止めないといけない、恐ろしい事が・・・」






同刻、何処とも知れない暗い闇の中で、赤い一つの閃光が走った。
閃光は周りにある機械の隙間に流れ込み、まるで波紋の様に輪を描いて広がって行く。
それと呼応し、暗闇から無機質な体をした二体のアンドロイドが現れた。
そして暗闇に、機械的な声がこだまする。



『・・・遂に我々の計画が実行される時が来た。今から第一段階実行の合図を伝える。αは既に潜入計画を進行中。βは至急指示した地点へ向かい、計画を実行せよ。γは・・・分かっているな。』
『了解。』
『御意。』



声が止まり、アンドロイド達は何処かへと去って行った。
アンドロイドが去ってから暫くして再び閃光が走り、「声」の主が何かを話し始める。



『・・・現時点で計画を阻害すると思われる最大の不安要素・・・それはゴジラ。
だが、それでも我が計画が頓挫する事は無い。我には「絶対者」が在るのだから。
その再焉に導く事こそが我が計画の成功であり、愚かなる人類の終わり。今こそ、人類に贖罪の時を・・・』
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