受け継がれし「G」の名
翌日、何処とも知れない研究所の扉の前に、1人の男が立っていた。
黒い礼服を来たこの男は昨日、弥彦村の中心地にいた男だ。
男は扉の横のセンサーに顔を近付け、センサーは男が不審者で無い事を確認すると扉のロックを外した。
扉を開けた男は真っ直ぐ研究所の奥へ向かって行き、やがて古びた扉の前に辿り付いた男は扉を軽くノックした。
「・・・入りたまえ。」
中から皺枯れた声が聞こえ、男は扉を開けて中に入った。
中には様々な実験道具が置かれており、奥の椅子には歳老いた科学者が座っている。
「国際捜査官の者です。日東の記者に動向を追われていて手こずりましたが、例の物は入手しました。」
そう言うと男は胸ポケットから小振りで透明な袋を取り出し、科学者に差し出した。
袋の中には男が中心部で拾っていた、謎の金属が入っている。
「・・・!」
「これで、間違いありませんか?」
「ああ・・・これこそ、怪獣をも生み出す太古の『神器』だ・・・!」
科学者は袋を受け取って中から金属を出すと食い入る様に見つめ、震える手でそれを掲げていた。
一方、何処であるかも分からない、光も見えぬ暗闇の中で三つの何かが動き始めていた。
無機質な体は人に似た形をしており、それは所謂アンドロイドと呼ばれる物だった。
『・・・今こそ問うのだ・・・私と言う存在を産み出した・・・人類に深き業を・・・!』
アンドロイド達を導いているのは、この機械的な声の様だった。
無論、その正体は暗闇と共に深い謎の中だ。
『贖罪の時を・・・!』
夜、家に帰った健は自分の部屋の机に作文用紙を広げていた。
ここ最近色々とあったが、彼もようやく落ち着いて作文を書く余裕が出来たのだ。
作文用紙の横には散々健が欲しがっていたゲームソフトが置いてあるが、封は切られていない所を見るとどうやら作文が終わるまでは開けない様子だ。
とは言えど、ゴジラと直に出会っている健にとっては例え苦手な作文でも怖いもの無しであるが。
「さて、と・・・!」
こうして健は、作文用紙に一行目を書き始めた。
一行目に書かれた、そのタイトルは・・・
『ゴジラは、すげぇ!』
前編・完
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