「G」vsディアボロス


〈起点時間軸②〉


「そうして私は彼女に助けられた。これが私と師の出会いだ」

 黒い背広に黒いサングラスをかけた口周りから顎のラインに沿って黒く縁取るように生える無精髭を携えた男は、ソファーに腰を降ろして傍で目を輝かせて話を聞く少女の頭を撫でる。

「パパ、お師匠様はどんな人だったの?」

 少女の問いかけに「そうだな……」と顎の髭を撫でながら男は思案する。

「誉れ高き女性だった。怪獣に街が壊され、誰もが逃げることしかできない中、ただ一人勇敢に戦いを挑んだ。私が師と出会ったのは既にかなりの高齢で引退をしていた。だが、現役の誰よりも彼女は機体を操り、私を弟子として引き取り育ててくれた」
「パパのババ?」
「そうだな。親の様に優しく、厳しく。私にとっての親、亜弥香にとっての私と同じようなものだったといえなくはない。……とても厳しい師だったが」

 男はサングラスをかけて表情のわからない状態のまま天井を仰ぎ、少女の頭を撫でる手はブルブルと震わせる。
 少女は「?」という顔に浮かべて、そんな男を見つめた後、更に彼が師と呼ぶ女性の話をせがむ。
 そして、彼は尊敬する彼女の思い出や伝説の数々を語った。



 それが、遠野亜弥香にとって最も鮮明に覚えている古い彼との思い出である。
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