Z -「G」own path-

あとがき

まずは読了ありがとうございます。
初期は短編くらいの気持ちだったのが、予想外にボリュームアップし、まさかのnext「G」本編で書いた「G」の軌跡よりページ数のある大長編になってしまいました。
1ページのテキストが大体2000文字平均かなと思うので、(3500~4500のページもチラホラあるけど、300文字とかもあるので)原稿用紙450枚くらい? うん、多分500枚いくと思う。自覚はあります。

さて、そもそも何があったかを説明しますと、睦海のイメージドンピシャのイラストを見たことで本作の執筆欲求が爆発しました。
アプリ『放置少女』の千年に一人なキャラクターイラストがそれなのですが、そこから睦海の全力疾走を描きたい! となりました。
最初のイメージは全力坂をやってる睦海です。
そこから色々と掘り下げて行くうちにどんどん設定が膨らみ作品となりました。あらゆる点で納得のできる内容の作品に仕上がったというのが感想です。

タイトルの意味としては、「Z」はそのまま怪獣の名前で、ゾンビモノをZ級とも呼びますし、これが本当に最後のnext「G」という意味も含めました。(まぁ、最後と言ってて続編をまた作ってるタイトルもよく見ますし、その程度の最後です)
サブタイトルの「G」own pathのGは、色々と当てられる様にしてますが、ぶっちゃけgirl。つまりは睦海ですね。なので、睦海の進路になります。この睦海の進路やそこに至る葛藤は長いので、後で纏めて書きます。
それ以外としても、名探偵ムツミンや賞金稼ぎJKなど悪ノリで色々な睦海の顔を惜しみなく出しました。名探偵ムツミンは作者が勝手に名付けました。
本編では健の為に!という感じの少女でしたが、一年経ってかなり成長しました。健とは相変わらず仲良し父娘ですが、今回は母娘をメインにしました。(健だとゴジラ共々主役になろうとするので)ですが、結果的に主題を描きやすくなりました。

ちなみに実在する地名に存在しない施設や大学、村一つを好き放題に作ってます。うち一つは島を消滅させてますし。
土佐清水市はほぼ通過したことしかない場所ですのでよくわからないです。そして千尋岬は天然記念物の化石がある場所です。(霊園と集落を三つも作ったけどね!)土葬文化のあった地区とはかなり離れているっぽいです。そもそも高知県は解放運動と平成の大合併の影響でほとんど古い集落が残ってないみたいですし。
土佐大学は千尋岬と足摺岬の真ん中の市街地に拠点を作りたかったので、都合良く海上保安署の裏を整地してるみたいだったから大学にしました。
ムーン島は実在します。Gフォースの基地作って下さいみたいな立地だったので、ボストン市から国連が買い上げました。そして消滅しました。

ここからは項目別に分けてまとめました。


項羽とバハムート
気づいてる人も多いと思いますが、アニゴジのメカゴジラシティとヴァルチャー、そして機動戦艦ナデシコとエステバリスです。バハムートの高機動型から強襲型へのパージは劇場版ナデシコのブラックサレナです。
順序が可笑しいですが、項羽と艦載機を考えてそれぞれのメタを張った設定を考えたらブラックサレナでした。なので素直にブラックサレナを外装に、本体をヴァルチャーにしました。項羽は四面楚歌とバハムートを艦載させる為だけを考えた機動要塞でデザインを考えました。
具体的に描写がありませんが、別に全く怪獣が現れていない訳ではなく、ほぼ人為的な原因ながらオリハルコン怪獣は現れており、実戦配備からの約2年で実戦も経験しており、戦果を挙げています。高機動型での実績はほぼ皆無ですが。(パージして回収できないと困るのと、強襲型が優秀で、そもそもマッハ10が凄まじ過ぎてそうそう使えない)
ちなみにマッハ10であんな感じになるのかはわからないです。見たことないので。


その他の兵器
ガンヘッドもデルスティアもまだ完成してません。戦力過多になるのを避けるのが一番の理由です。
その他にもちょいちょい登場してますが、基本的にvsシリーズらしい兵器のイメージがゼロペースでカッコいいものを考えて後から現実的な設定を組み込んで落とし込んでいくスタンスで考えてます。なので、色々とツッコミどころのある(というか将治がツッコんでる)量産や実用配備考えているのかよくわからないモノが沢山ある訳です。
まぁ過渡期にありがちな試作、ワンオフのバージェス進化爆発状態です。実際の歴史でも自動車や戦闘機開発の過渡期も今なら爆笑モノの試作がゴロゴロあるので、良しとしました。
ガンヘッドは陸自のトップが優秀過ぎる方なので、確実に歴代防衛相の心を掴んで実用配備に持っていきます。


睦海
今作の主題でした。10周年記念作で無事にシエルから桐城睦海として新しい人生をスタートさせた訳ですが、そうなると新たな問題が生まれました。それが本作での葛藤です。
睦海も両親も悩んでいましたが、作者も悩みました。悩みながら書いたので、ある意味リアルになりました。
健の想いは作者自身の想いです。あんな辛い世界と決死戦のような戦いを乗り越えて平和な世界での暮らしを勝ち取った睦海をまた戦わせる道に進めたくなかったんです。
とはいえ、一般企業でOLをする姿というのも想像できず、睦海がどうなれば自分の選んだ道に納得し、それを自身が認められる自己肯定感の高い人生になるかと考えて、結論を出しました。
能力を最大限発揮するのはGフォースで間違いないですが、彼女が最も彼女らしく生きるのはその力を使わないで済むようにすることで、もし使うとすればそれは誰かを救う為だとするなら、その思想は防衛力のそれであり、自衛隊となりました。
多分、Gフォースの出向も勧められているんでしょうが、災派現場でガンヘッドを睦海以上に操れるスキルを持つ人材がいないこともあって、本人が希望しない限り出向もないのだと思います。
後、広報が睦海を放っておく訳もないので、自衛官募集のモデルなどもやっていて桐城家の壁にはそのポスターが飾られてます。
結婚は……まぁするんじゃないですか? パパは認めませんが!怒


茉莉子
睦海が特殊なので、普通のヒロインが欲しいというのと、それ故に睦海との対比になるかと思い、もう一人の主人公的な位置付けで考えました。
基本的に睦海とは逆を狙ってます。怪獣も祖父からゴジラの話は聞いているし、授業やニュースでも目には入っているものの、怪獣やテロ、戦争に対してそこまで身近に感じてはいません。そして、将来や自分の生き方についても深く考えてはおらず、大学進学をして何となく就職が上手くいけばいいくらいで進路を考えてます。文系です。
(ちなみにイメージ的に睦海は理系科目全般と英語、体育が得意で、歴史は改変の影響もあって苦手。他の文系教科も成績は悪くないけど得意とまではいえない)
加えて、少女漫画みたいな幼馴染のイケメン秀才のレイモンドと再会し、きゅんきゅんしてます。恋愛脳とまでは言わないけれど、アオハルな感じです。
まぁ、後半はゾンビ映画のヒロインですが。


レイモンド
そもそもエミーは寺沢さんの子孫ってよく知ってたなぁという話。家系図がある様なお家柄か、野比家みたいにどう見てもご先祖様だよ! って代々何某カノーとかわかりやすいかエミーの親までずっと寺沢健太、健之助、健十郎……となる訳で。仮にゴジラ誕生の作者を追ってたら実は200年以上前のご先祖様と気づいたというと、ぶっちゃけ赤穂浪士が実はご先祖様っぽいとか、一休さんの親戚っぽいというレベルになる訳で……端的にもう少し指標になる人間を4親等以内におきたいからレイモンドにしました。レイモンド以降は、〇〇・カノーとかカノー〇〇とか。で、レイモンドは先の世でその道の方々からはよくありがちな「〇〇の父」的な感じで呼ばれていて、エミーも加納レイモンドの子孫ってのは知っていて、「ゴジラ誕生」の寺沢を調べたら、孫娘が「〇〇の父」の加納レイモンドの妻!?となれば、「うわー私の遠い遠いご先祖様じゃん、マジヤベェ。うちの血筋マジパネェ」ってなって、キングギドラのラストの台詞に至ると。
まぁレイモンドが何の父なのかはよくわらないですが、研究者というか実業家みたいな存在になります。大河ドラマになる日本資本主義の父みたいな。M-LINKシステムとレプリカントを元に将来市販されるフルダイブ式のVRデバイスの開発、CIEL社のBABYを完成に導いた鍵であるユビキタス技術の開発といったサイバーパンクに必要そうな技術の普及に大きく貢献した人物として名を残します。



元々はかなり昔に考えたvsメカゴジラの頃にアメリカのGフォースがヘドラと戦う話を考えた時の主役の名前です。
大西洋地域司令部の設定や3年前のZの話は、この没案のイメージを引き継いでいます。劉の設定もほぼ同じです。
その没案自体はとっくに消去してしまっているので、詳しくは覚えてませんが、大体3年前の事件の大筋は同じです。レプリカントでなく、確か無人パワードスーツとかで、最後劉が装着してヘドラと戦う様な感じでした。
ちょっとくらいおかしいスペックの奴がいても良くね? という軽いノリで設定を盛りました。ただ、睦海が既にスペックおかしいので、機械化させました。機械化したなら、シエルと戦わせたくなって、やらかした国以外に黒幕とかもいなかったので、黒幕にしました。敵国に罪をなすりつけつつ、個人的な復讐も果たせるというナイスな動機もあったので、アレ? コイツは元々黒幕だったんじゃない? というくらいハマり役の黒幕になりました。
ラスボスは健andゴジラであっさり解決させたので、実質的なバトルの見せ場は劉に任せました。
多分台湾はちょっと危ない立場になったかもしれませんが、そこで調子に乗ってコイツ悪い!台湾ヨコセ!って言う国に対して全世界から、お前が言うなや!と怒られて有耶無耶にするしかない展開だと思います。(とてもよく似た話をここ2年で聴いたなぁ……)


その他登場人物
過去作のメンバーはなるべく登場させつつ、20年が経過しているので、無理のない人物だけ登場させてます。なるべく名前だけでも出すようにしました。前編のゲストだった筈の瞬がめちゃくちゃ重要な役に収まっているのは、黒木さんはもう幕僚クラスだろうから出向する訳ないという理由から。そのお陰でガンヘッド開発は順調ですが。婆羅陀魏さんの本家主人公は職業とフィジカルが完全上位互換の研護お爺ちゃんに役を奪われました。
マッチョやチョイ悪系のお爺ちゃんってカッコいいと思う。ダブルお爺ちゃんのコンビのノリは言わずもがな、あぶない刑事。
従兄弟なんかはもう少し登場させたかったけれど、小学生くらいなので限界がありました。
また、新キャラでゲストにしたのは、私の勢いだけで書いた「アルマゲドン」より綾瀬マリク艦長。他の妻子とゴキブリ研究家の婿は出せませんでしたが、孫が産まれたらしいです。
後の新キャラは基本的に音を意識して、しっくり来た名前にしています。見事に腐ってる梨沙は素晴らしいキャラに育ちました。一部、妻を元にしているので、完成度高くなるのも当然なのですが。
逆に茉莉子サイドのキャラが普通過ぎて印象が薄い……。まぁ、上記の通り、睦海との対比もあるので仕方がないのと、睦海と梨沙が強烈過ぎるのが原因なので途中で諦めました。
そして、最も今回意識したのが、原作からの登場人物は演者さんの台詞回しに合わせたことです。まぁ、ほぼ中の人ネタになりましたが。最も顕著なのが、雅子おばあちゃんです。パンと化粧品のCMのイメージが…。
みどりについても、執念で米澤さんの数年前の台詞ありのシーンを見つけ出して雰囲気を掴みました。といっても、既に別人状態なので勝手に色々やらかしてます。
ちなみに、オンバーン女史は能力こそ弱い設定ですが、ポスト三枝的な立ち位置なので、一応東宝シンデレラの福本莉子さんをイメージしてます。本家超能力少女を出す展開になって、現実だったらプロデューサーが血を吐くようなチョイ役になってしまいました。
(じゃあ、茉莉子は誰だ? と言われるとウーム。何か割といそうな感じなので、アイドルグループの真ん中辺の人気の人かな? ※マジで顔が同じ見えて妻に呆れられる人)
睦海は超絶美少女のゲームイラストのイメージではありますが、コレくらいは言わせても良いかな? という匙加減を考える時はイラストの中の人の台詞回しを思い浮かべて判断してました。(アルアル言ってる役は全く参考にならないので、主にかぐや様の方です)
それから漁師の野沢達也は若い頃、バンドでドラムを叩いたり、農業や大工なんかもやってたみたいです。アルコール依存症はどこでも入手できてしまう分、ある意味薬物依存より厄介です。そして、Z化した後は声が宇宙最強の戦闘民族っぽいイメージになります。
あと余談ですが、精神科学開発研究学会の人々はここで出したい人達を一気に入れました。まず細野夫人は高嶋ファミリーでまだゴジラ出演されていなかった寿美花代さんにも出て欲しいという願いで差し込みました。センター長をご存命で出すのもいいかと思ったのですが、こっちの方がセンター長の笑顔が見れる気がしたので。同じ超能力者で小沢芽留がいないのは、彼女がアメリカの能力開発に属しているから日本の精神科学開発に携わっていない為。また、細野夫人の付人である大河内良子のモデルは大河内明日香の中の人の継娘です。一昨年ちょいちょいその関係でメディアに出てました。良子の名は小学生当時本人的に満足だった役らしく、隣で自慢をしていたのが印象に残ってたので使い回しました。



これについてもvsシリーズらしい斬新さをイメージしました。
元々睦海を走らせたい。走る映画といえば、パニックもの。パニック映画といえばゾンビ。ということで、初期から敵はゾンビで決めていました。
ただ、全く怪獣の方のイメージは膨らませていなかったので、アブジェの皆さんから意見を頂き、Zの設定に辿り着きました。
バイオハザードなどのゾンビをイメージしつつ、実はゾンビというより設定的にはアンデットなんですよね。なので、言葉を発するゾンビがラスボスになりました。
一番のポイントは厄介だけど、インフレが起きない敵。弱点も多く、本体は超弱い。これを意識しました。
理由はただ一つ。怪獣とかは現れることがあるけど、かつての戦いに比べるとそこまでの戦いじゃないとすることで、睦海達には大きな事件でも世の中からすると、何か高知や奄美に怪獣が出たみたいだよ、ってくらいの認識にし、数ある怪獣が現れた事件の一つにして、過去作でガダンゾーア倒した! もう平和! となった事実を否定しないようにしました。高知は割と人的被害出てますが……。


Z寄生体
縛り設定が多いZで唯一自由が許されるのが集合体による巨大化。
統率者なしだと同種でくっついてただの巨大化って感じになりますが、統率者がいると戦術的な集合体を形成します。
大体のイメージはバイオハザードですが、コレはこうしたら良い感じ? という合成でビジュアルイメージは構築しました。
鱗の巨人はエルディアの巨人兵器じゃありません。どちらかと言うとガイラです。って、ガイラも人を食う巨人か。
ガイラの方向のラスボスを始め考えましたが、新しさと人間の欲深さが足らない(巨人でいえば進撃よりも戦鎚寄りにしたい)と思い、ラスボスは欲張ったデザインになりました。堕天使とバイオハザードのタイラントと戦鎚の巨人と巨神兵とエヴァを混ぜてゾンビにした感じというのがコンセプトですが、まさかのコングとネタ被りするとは……。
武器っぽいの無いなぁと思ったらバハムートがいたので、武器にしました(笑
モスラと項羽は苦戦したけど、相手が健とゴジラじゃ敵いませんが。


最後に謝辞。
唐突な思いつきによるわがままを快諾して下さいました。他のメンバーの皆様、ありがとうございました。
一度完結させた作品に追加エピソードを入れるのはどうなのかと思うところはありましたが、我儘を通させて頂いて本当に良かったです。お陰で後悔のない出来映えになったと思っています。

また、この後にいくつかおまけを入れています。所謂、得点サービス的なモノですが、もし宜しければご覧下さい。

では、お付き合い頂き、誠にありがとうございました。


2021.2.4 宇多瀬与力
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