Z -「G」own path-




 北海道千歳市にある防衛設備庁千歳試験場。航空機等の性能試験を行う試験場であるが、特車の車両定地試験施設があり、日本で唯一の戦闘車両評価専用のテストコースを有している。
 その登坂路の頂に二連の単連式の車軸装甲が現れた。そして砲台を擁する本体が現れた。砲台は20ミリチェーンガンが中心部から伸びているが、それよりも後部の多目的発射台に搭載された6連装地対地ミサイルと大型ビームキャノンのシルエットが印象的な装甲戦闘車両がその全体を現した。

「登坂性能試験、クリア」

 自衛官の発報が聞こえた。
 防衛設備庁と開発委託を受けた企業のスタッフがそれぞれパソコンの数値を確認しながら小声で話し合う。
 それをチラリと見つつ、Gフォースの麻生将治環太平洋地域司令は試験場の試作機を見つめる。

「次、旋回性能試験」
「旋回性能試験開始」

 勾配を降り、半径50メートルの円形整地に車両が移動する。全体的に10式戦車より若干大きいが、それを問題としないスペックをこの試験車両は有している。もっとも、それはあくまで机上の想定性能の話だ。

「麻生司令、あの前輪部はランドモゲラーの腕を参考されているそうですよ」

 隣に座っていた防衛大臣が耳打ちしてきた。30年以上も前の兵器の話を持ち出すのはどうかと思うが、彼の年齢を考えると丁度ロボットやメカに憧れを抱く少年時代にMOGERAを見た事で印象的なのだろう。確かに、ダメージによるトラブルが従来機よりも少なく、Gフォースの開発兵器としては完成度の高い最初の機体だったといえる。
 それに換装を想定した多目的発射台の採用と無限軌道の代わりに採用された多脚立対応の駆動部の実用投入がこの試作機のコンセプトで、その副産物として前方に飛び出る形となったのが2本の前部車軸だ。寧ろ、この部分が可動部となってしまった為、弱点を増やしているといえる。無限起動なら追加装甲で横からの攻撃による損傷を防ぐこともできるが、本体から飛び出ていることで強度低下は否めない。
 手元にある薄型タブレットに目を落とす。配布された機体情報が細かく記載されている。
 試作機の仮称はガンヘッド。開発経緯を見ると10年近く前から構想が始まり、本体を委託された民間企業の他、日本を代表する各企業がそれぞれの部分を開発している。他にもここに将治が代表者として参加しているようにGフォース、G対策センターも当然協力しており、CIEL社の名も入っている。
 とはいっても、いずれも驚くことでもない。この試作機自体がGフォースに多数配備されてきた92式メーサー戦車と90式戦車の後継として開発を進められている存在であり、「多目的」を強調して汎用性の高くしつつ局地運用を重視したある意味欲張りな仕様を目指した次世代特車で、つまり目指すは二足歩行もできる装甲車両なのだ。現在試験を行なっているのはタンクモードと呼ばれる従来式の車両形態だが、スタンディングモードと呼ばれる二足歩行四点支持駆動形態への可変式だ。構想段階から大臣の言う通り、MOGERAが意識されたのは明らかだ。
 わざわざ可動部を増やすことを選んだ脚部だが、当然ながらモーター駆動で全て独立した回転も可能とある。つまり、旋回性能どころかその気になればフォークリフトの様な小回りを効かせることができるほか、真横への水平移動も可能ということだ。

「これ量産化できるのか?」
「ん? どうかされましたか?」
「いえ、なんでもありません」

 つい口に出してしまったらしい。大臣に聞き取られなくてよかったが、気をつけなくてはいけないと将治は自嘲した。
 勿論、量産を前提としている筈だ。これがプロトタイプの試作機と考えると、とりあえず手当たり次第試作開発したものを盛り込んだという可能性が高い。本来、90式と92式の後継機というなら装備が変な組み合わせだ。主砲よりも後部武装に力を入れている。六連ミサイルはあえて重量を増やして試験を行う為と理解できる。
 しかし、あの大型ビームキャノンはまだ自衛隊に採用されていない武装だ。間違いなくこの機会にプロモーションしようと抱き合わせしたものだろう。
 少なくとも隣に座るスポンサーは少年の様な顔で試験を見ているので、その目的は成功したと言えるだろう。

「大臣、後部の発射台は93式の高射メーサー砲の換装も想定されているみたいです」
「ほうほう! なら、Gフォースへの配備ではそちらの方が良さそうですな」

 既に完全に虜になっている。一人の国民としてコイツが防衛大臣で大丈夫かと思いつつ、将治もその立場に見合った運用方法を考える。
 メーサー武装は基本運用となるだろう。また、かつての教訓から冷凍兵器の換装も考えられる。そして、六連ミサイルが換装できるならば、地対空ミサイルも換装できるだろう。
 そうしていると将治の部下が背後に近づき、肩からインカムを差し出した。
 将治はそれを受け取ると、一応隣の大臣に会釈をして耳に装着する。

『項羽が到着しました。全方位索敵の許可を』
「許可する」
『了解。対象の発見次第、報告します』

 通信が切れた。
 一応、隣の大臣にも伝える。

「項羽でサーチを行います」
「うむ。まぁその辺は昨晩ウチもあちらさんもそっちに一任したから。宜しく」

 色々と注文をつけてくるよりはマシだと思うことにする将治であった。



 

 Gフォースは1992年に発足したG対策センターの軍事部門としてスタートした。文字通り、ゴジラを主とした対怪獣の多国籍実力組織であるが、度重なる怪獣の襲来に対応する形で配備が進んだメーサー兵器等が急速に日本の軍備強化を諸外国に印象づけてしまった為、その解消が本当の理由と云われている。事実、Gフォースに投入されたその多くが自衛隊からのものであり、黄金時代といえる初期は世界最強の軍隊と評されていた。
 しかし、それも一時の栄光である。ゴジラ抹殺を第一に掲げているものの、相手がゴジラである為、多額の開発費を投じたメカゴジラやMOGERAはその開発自体によって各国が得られたメリットこそ大きいが、実際の戦績は芳しくなかった。
 そして、人類に対する脅威とならない温厚な今のゴジラへの理解はこの20年間で進んだ。ゴジラを無警戒でいられるほどではないが、人類は慣れる生物でもある。ゴジラはアドノア島で今も存在しているが、何も人類に被害を及ぼさないならば、次第にその脅威としての認識は甘くなる。
 年々Gフォースへの予算が減り、母体であるG対策センターも部門の縮小や組織再編を余儀なくされるのも自然なことであった。
 そして形骸化した組織は腐敗もする。表には出ていないが、Gフォースにも不祥事があった。それによって、一つの支部が閉鎖になり、その影響で新兵器開発部門は大幅に縮小された。数年前の話だ。
 オリハルコンによる怪獣はゴジラなどの100メートル級よりも50メートル以下の小型、中型の怪獣の頻度が高く、また主に人為的な流出が原因ではあったが、世界各地で怪獣の出現が確認されたことを受けてGフォースの組織再編が行われた。これにより、つくばの本部は環太平洋地域司令部も兼ねることになり、アメリカ合衆国にも大西洋地域司令部が設置された。しかし、悲劇はこの支部で発生した。
 その後の縮小と予算削減を目的にした再編によって、Gフォースは世界中に支部を設置しつつも独自の保有戦力はつくばのみとなり、結局怪獣が現れた時は法的、外交的問題を避けて対処する都合の良い存在として扱われ、責任と経費を擦りつけつつそれぞれの保有戦力を貸し与えて対処させるという運用で落ち着いてしまった。
 もっとも、そのような運用がそれぞれの自国の軍事費用を怪獣駆除に消費せずに済むという本音を引き出し、Gフォース不要論が根強い昨今でも存続し続けられている最大の理由となっている。
 しかしながら、既に開発まであと一歩というところまで進んでいた未来の決戦兵器デルスティア開発計画が今も尚凍結状態になっているのは、開発部門の実質的な閉鎖と開発予算の削減による弊害に他ならない。
 現在、Gフォースの独自開発された保有戦力は本部のある環太平洋地域司令部に所属する項羽とその艦上機6機のみとなっている。
 項羽は2009年以降ほぼ実戦を経験せずに老朽化した大戸号を解体し、開発された新造の母艦であるが、名称の通り日米露でなく、中国が開発を主導した。当時中国は戦争のあり方すら変える画期的なシステムの開発を進めていたが、どうしてもGフォースの持つ技術を必要としていた。更に既に核兵器は抑止力として当初想定されていた懲罰的抑止に加えて、怪獣発生の原因となるという意見が一般化したことで核保有が自国民の支持を下げる現象を生み出した。その為、新たな抑止力と優位性を持つ兵器の開発が課題となっていた。そんな中、中国がその開発に舵を切ったのは当然の話であった。
 それこそ四面楚歌と名付けられた全方位索敵システムだ。有効範囲内の文字通り全てを立体的に捕捉する脅威のシステムで、試作を成功させると早々に自国で実装させた。勿論、国連の一組織であるGフォースは全方位索敵システムを日本を含めた各国に技術提供を行なっているが、既に中国はそれを行い多額の資金を調達している。もっぱら今の兵器開発競争は隠密戦から情報戦、そして起動戦にシフトしている。全方位索敵システムはステルスを遺物にしたのだ。
 有効範囲内の全てを捕捉できる以上、捕捉されても構わない兵器か捕捉されてもそれを敵とマーキングされないような小型の兵器、または有効範囲外からの攻撃で対象しきれない速さを出す機動性の高い兵器となる。しかし、皮肉なことに機動性に優れた最速の兵器は他ならぬ項羽の艦上機であった。

「バハムート、全機準備完了」

 全身にケーブルが繋がったスーツを着用した男が球体状の空間の中心に立った。

「了解。バハムート管制システムを起動!」

 男の声を受け、球体状の壁面に無数に存在するレンズが光った。彼の周りの空間にモニターが次々と出現する。
 そして、彼の前に六機のロボットの立体映像が出現した。

「M-LINKシステム接続。アイダをアルファに設定。他の五機をバハムート管制システムに接続。自律設定は50」

 真ん中の一機の色が変わる。そして、残り五機もマーキングされる。

「システムトラブルなし。通信状態良好」
「よし。指示あるまで待機」

 男の名は劉宇翔(リウ・ユウシャン)。世界最速の機動兵器、バハムートの管制官だ。



 

 全方位索敵システム四面楚歌開発以前から各国はパワードスーツや無人の小型汎用ロボットの開発を進めていた。前者は純粋な歩兵戦力の強化であるが、後者はGフォースの開発部門も意欲的であった。その理由は二つあった。一つは出現怪獣の小型化に伴って従来の対怪獣兵器や特殊車両や航空戦力の攻撃の費用対効果が合わなくなってきたこと。もう一つがM-LINKシステムだ。
 Gフォースの兵器開発史の原点は、未来人の遺したメカキングギドラといえる。厳密にはガルーダが存在するが、今日の対怪獣戦で活躍している兵器の多くでメカキングギドラから得た技術が何らかの形で利用されている。そして、その最終ステップで残された技術こそM-LINKシステムだ。大部分が生体であったサイボーグのメカキングギドラすら制御した彼のシステムは、次世代の操縦システムであった。
 単純に連動させるだけならば、そこまで問題ではない。しかし、人には存在しない部分をも感覚操作が連動するシステムは課題が多くあったのだ。
 それでもデルスティアという第二の未来兵器がその実現の足掛かりとなった。デルスティアは実物こそ現代に残されなかったが、様々なデータとして残され、多くのヒントを残した。それが別の操作ユニットによる中継を介した操縦だ。
 直接人間が行う感覚操作、または動作の連動では人間の動き以上の操作はできず、単なる遠隔操縦と大差がなかった。
 しかし、その入力先を人工知能を有する制御系ユニットにし、実際にはそのユニットが本体を操作することで、行動予測や人間以上の動きの補正、人間には存在しない部位の動きの変換を瞬時に行うことに成功した。
 また一方で人工知能による無人機開発の課題にある人間による殺人等を含む戦闘行為を躊躇うことが困難であることを解消した。
 これによって完成した機動兵器がバハムートである。バハムートは端的にいえば、人の乗れないパワードスーツだ。生身の人間では操作、制御以前に衝撃やGに耐え切れない理論上、設計上の上限の高速機動による運用を有人機と同じ感覚的判断を含めて多様な戦闘で可能にしたのだ。
 そして、現在Gフォースで運用されているバハムートは項羽艦上機として配備された六機のみで、追加の予定はない。量産化の課題は概ね解決していたが、予算削減の影響を受けたことと運用上の課題があり見送られている。
 バハムートは特定の作戦条件下であればエネルギー切れの心配をすることなく連続戦闘が可能である。この特定の条件が課題となった。重量を減らす為、燃料はほぼ皆無で10分と単独で動くこともできない。活動可能なのは項羽の全方位索敵システムの有効範囲内だけなのだ。範囲内であれば項羽の莫大なエネルギーが底をつくまで半永久的に活動可能となる。
 そして、項羽以外での運用モデルは強襲で、超音速飛行で燃料切れの前に作戦地域に行き、同時にエネルギーフィールドを展開するエネルギータンク、または補給装置をミサイルに載せて発射して同地点に到達したバハムートは高機動用装備をパージした強襲型形態となり、補給をして作戦行動をするというものであった。
 項羽の様な全方位索敵システムを無意味とする強襲型運用は一定の評価を受けたが、バハムートである必要がないという理由でGフォース以外が配備をすることはなかった。
 なお、この強襲型運用モデルはより小型かつ安価で運用のできる遠隔無人操作に対応した兵器をミサイルなどに載せて射出する方法で多くの国で導入されている。そもそも人型を模した兵器で戦争転用はコストパフォーマンスが合わず、Gフォースのワンオフ機扱いとなっている。これはデルスティア開発が予算切れになった原因の一つでもあった。
 そして、それはバハムートを運用する上でも問題となっていた。

『劉。アイダ以外の五機は高機動用外装なしで待機になった』
「! ……またか。了解。バハムート、準備完了まで待機」

 出撃準備を整えたところでの艦長ストップ。今日が初めてのことではない。むしろ外装付きで待機指示が出ることのが稀だ。
 理由は単純だ。バハムートの高機動用外装は装甲としても製造コストが高い上に試験機以外では他に例のない最速マッハ10の低層空域での超音速飛行を可能とする為の冷却と空気抵抗軽減の為の超電導電磁フィールドを発生させる装置が内臓されている。それを実戦ではパージするのだ。陸上であれば回収の可能性もあるが、洋上ではサルベージは不可能。つまり、艦上でパージするか、付けないで出撃するかの二択なのだ。
 劉は嘆息し、その場で首を鳴らして欠伸をした。



 

 格納庫で五機の艦載機の外装を外す作業が進められている一方で、ブリッジでは全方位索敵システム四面楚歌が起動されていた。
 項羽のブリッジは前身の大戸号を踏襲し、さながら宇宙戦艦の様相である。司令室のようにブリッジの奥に艦長席が高い位置に設置され、副官の席がその一段下に設けられ、その他の砲撃、通信などの座席がコの字型に配置されている。そして中心部には巨大な立方体のクリスタルがあり、この中に三次元立体映像投影をし、四面楚歌の真価を最大限に発揮する。

「庚、帰ったら孫のお食い初めなんだ」
「……艦長。作戦行動中にそういうのはやめて頂きたい」
「相変わらずだな」

 最近、寸暇を見つけると綾瀬マリク艦長は旧知である瞬庚副艦長に孫自慢をする。他の部下に艦長としての威厳を保つ為にどこかでガス抜きをしたいのだろうが、少し話に付き合うと自慢だけでなく瞬のことまで世話を焼き始める為、素っ気ない対応をするのが最善と結論づけている。
 そして、その間に全方位索敵システム四面楚歌が完全に起動した。中央のクリスタルに項羽を中心にした半径50キロの球状の範囲は全て掌握された。この海域は水深2000メートルで地中内部までは見ることができないが、海底までの全てが見える。精度は海中を浮遊するプランクトンすらも認識可能だが、それでは肝心の対象を見つけられなくなる為、調整を行う。現在は1~2メートル程度の精度で、これでも小型の船や魚群も視認可能だ。勿論、既に周辺に船舶などはなく、魚群や大型の生物が認識されている。そして、それぞれの領海域内に当たる有効範囲の端の洋上に日中それぞれの大型艦が待機している。

「海洋中で魚群を除外しろ」
「魚群を透過率50%に設定します」

 マリクの声に応じて、魚群が次々に薄くなる。自動でフィルタリングも可能だが、基本的には見落としを防ぐ為に手作業で行われる。それでも訓練された隊員の処理は早く、瞬く間に海中の状況はクリアになった。

「いませんね」
「時間の経過で移動した可能性もあるが、地中に潜っている可能性も高いな。……誘き出すか。肉食怪獣用の撒き餌を放流し、哨戒予定範囲を移動する」
「了解。放流します」

 マリクは事前情報から指示を出す。
 Gフォースへ提供されている情報は少ないが、それでも対象を探す上で有益なものだ。
 昨日午後、この海域を航行中の日中それぞれの船舶から救難信号があった。双方ともに民間船舶でなく海上警察と海上保安庁の船舶で、その情報から既に領海侵犯の疑いのある潜水艦、または怪獣と推定された。日本側は慎重な姿勢であったらしいが、人民解放軍海軍は早々に哨戒を開始。海上自衛隊も派遣して哨戒を決定したが、中国側が日本の領海域近くまで哨戒を行ったことを受けて日本からの強い要請によってGフォースへ引き継がれた。経緯は世界中の怪獣絡みの話で過去に何度もあった話で、恐らく今頃は日中ともに公式の場でこの経緯は公表している筈だ。
 大切な情報は哨戒中に発見されたそれぞれの船舶の破片から得られた情報だ。生存者はなく、破れた衣類の一部のみが破片と共に発見された。その破損状況から爆破よりは衝突。より具体的には怪獣が襲った際に確認される破損状況に酷似しており、最も可能性が高いものが獰猛な肉食怪獣の襲撃である。
 怪獣対応で最も多いのは、出現後の怪獣災害対応と駆除だ。つまり、後手に回るパターンだ。
 それを打破する為にGフォースは項羽を開発した。四面楚歌によって、これまで生物である怪獣の索敵には限界があった海中でその姿を高解像度で補足し、対処できるようになった。そこで有用性を発揮したのが、怪獣の誘引だ。音、臭い、振動、光など推定される怪獣の傾向に合わせた方法で四面楚歌の範囲内に誘き出すのだ。

「あとは釣りだな。獰猛な肉食怪獣である可能性が高い以上、保護は難しい。予定通りの駆除を第一とする。対象を発見次第、作戦行動に移る。魚雷攻撃を基本とし、洋上戦はバハムートとミサイル迎撃で対応する。送れ」
「了解」

 指示を出し、各隊員が復唱を始めた。
 ここからは根比べだ。夕食前には釣れて欲しいと思いつつ、マリクは艦長席に深く腰を落とした。
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