誓い〜for NEXT「Generation」〜


「見届けたぞ。桐城」

 途中からはもう見届ける必要はなかった。こんなにも簡単なことだったのかと今思えば振り返られるが、それを容易にすることができるのは結局当人同士だけなのだ。
 将治は周囲に誰もいないことを確認し終わって、小さく呟いた。

「ここまでが任務だったんですか? 亜弥香さん」
「え、よく分かったわね」

 木の陰からするりと身体を表したのは、未来人の遠野亜弥香。十年前と変わらない姿で将治の前に歩み寄ってきた。

「一度タイムカプセルを掘り返して、あの手紙を仕込んだんじゃないですか? あの桐城の困惑した顔は、あるはずのない物を見る目だったように思えたんです」
「すごぉい」
「もっと言うと、青木翼君に入れ知恵をしていた可能性も考えられるんですが、その点はどうです?」
「正解。ちょっとやりすぎたかと思ってたんだけど、やっぱり君はごまかせなかったか」
「睦海に関する情報量があまりに多すぎるような気がしていましたから。やっぱり、あの二人が結ばれる必要があったんですか?」
「その点については、翼君と君が推察したとおりよ。本当は十年前の睦海ちゃんで終わるはずだったのに、それが桐城君に無駄なプレッシャーをかけただけだったとは思わなくってね。自分の失敗は自分で取り返すわよ」
「あそこまで恋愛下手だったと思わなかったと仰るのならば、心から同情します」
「ありがと」
「今後はどうされるんです?」
「もう大丈夫でしょう。さっき、誓いの言葉を聞いてきたから」
「それくらいは二人の秘密にしてあげるべきだったんじゃないですか?」
「苦労人の特権だと思って許してよ」
「まあ……良いでしょう。お疲れさまでした」
「麻生君も、ね」
「いえ、まだまだほったらかしにするには危ない二人ですから、これからですよ」


[ガキの頃の俺。
 どうだ。俺は理想の俺になってるぞ。親父を見返すくらいに強くなって、世界を守るために、大切な人を守る為に戦って、勝てる強さが何なのかが分かったぞ。みどりを見返すくらいにも強くなった。
 いや違うな。本当の強さって何なのかを俺は大切な友達から教えられたんだ。
 そして、俺は今新しい誓いをたてる! 
 俺は今から、手塚みどりを、一生愛し続ける!]



14/14ページ
スキ