Time axis of「G」



2029年



「ここが……」

 ある廃墟のど真ん中。小さな腕時計型の端末を付けている1人の女性が光と共に現れた。
 遠野亜弥香。この時代より、100年以上も先の未来からこの時代にやってきた。とは言っても、既にアメリカに立ち寄った後ではあったが。

「この街がこんな姿になって、もう20年経つんだ…………燕三条……新潟県。間違いないの?」

 簡単に信じられる筈も無い。亜弥香はこれまでに何度となく次元転移を行い、日本中の都市を見て回った。どこも同じ光景なので、正確な現在地の把握に困っている。
 唯一、駅などで地名を確認せずに済んだのは東京タワーのある東京くらいだ。

「高性能アンドロイドなんて本当にいるのかな……それに……ゴジラはどこに……」

 亜弥香の時間軸で数日前、世界からゴジラが消えた。それどころか、全く別の存在が現れた。亜弥香はその調査のためにこの時代に来た。

「最有力候補地……弥彦村か……」

 亜弥香が次元転移装置を取り出した瞬間だった。地響きと共に地面が割れ、2本の巨大な触手が伸びてきた。

「あれは……G!?」

 触手の先は、虫の頭ような形をしていた。けたたましい鳴き声を上げ、辺りを蹂躙する触手。

「まさか、アンドロイドより先にお目にかかるとはね……けど、Gに対抗できる手段は無い……」

 亜弥香は触手に睨まれたままだ。やむなく、次元転位装置に手をかけた。

「こんな短時間の使用は……」
「つかまれ!」

 その時だった。一台のバイクが亜弥香に向かって走ってきた。バイクの方に振り向いた亜弥香。ライダーは手を差し出している。

「フッ!」

 亜弥香も手を差し出した。ライダーはそこを走り抜けながら、亜弥香をつかみ上げ、バイクの後ろに乗せた。

「しっかり捕まってろ!」
「ねぇ!!あれ一体何なの!?」
「悪魔だよ……」

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