Time axis of「G」


2009年



「彼らは再び暴走しているようだ。」

 弥彦村に怪獣が現れたニュースが流れている。それは、あの時エマーソンが不注意から生み出してしまった怪獣マジロスだった。それ以外にも怪獣が現れた。自分以外にオリハルコンを手にした者と言えば、I-Eしかいない。

「仮にあの怪獣が私が生み出してしまった怪獣だとしたら……」

 その時だった。研究所のドアをノックする音が聞こえてきた。エマーソンはテレビを消し、ドアの向こうにいる人物に応える。

「……入りたまえ。」

 ドアが開き、1人の男が入ってきた。マジロス出現の報を聞いたエマーソンが依頼した国際捜査官。藤戸拓也だ。

「国際捜査官の者です。日東の記者に動向を追われていて手こずりましたが、例の物は入手しました。」

 拓也が差し出した袋。その中に入っていたのは、αが弥彦村に落としたオリハルコンだった。

「…………!」
「これで、間違いありませんか?」
「ああ……これこそ、怪獣をも生み出す太古の『神器』だ……!」

 エマーソンは考えていた。怪獣による災害を食い止める事ができるのはGフォースしかいない。しかし、I-Eを破壊する事は考えていなかった。

「最後の望みを……」

 エマーソンは小包の準備を始めた。オリハルコンをどこかに送ろうとしているようだ。

「博士?」
「藤戸君。確か、Gフォースの前司令官は麻生孝昭という名前だったな?」
「ええ。」

 送る先は、Gフォースの麻生の元らしい。エマーソンは小包の準備を終えると、それを拓也に渡した。

「結局また、次世代の人間に押し付ける事になるのか……」
「博士……」
「これをGフォースに届くように手配してくれ。それと、それが終わってもここには来ない方がいい。」
「…………」
「いずれ、彼らは私を消しに来るだろう。全て君らに託した。頼むよ。」
「……博士。」

 エマーソンの表情、言葉。それは諦めというより、全てを受け入れているようだった。運命とならば、それに従うのみ。エマーソンはゆっくりとコーヒーに手を伸ばす。

「……失礼します。」

 エマーソンに最後の別れを告げ、拓也は研究所を去った。

「……ヨン。私は後悔はしていない。結果として研究は世に残るのだから……」
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