Time axis of「G」
「……ここは?」
あの場所、エマーソンを追いかけようとした研護だったが、誰かに呼び止められた。その直後、研護は意識を失った。
「お目覚め?」
研護を起こす声。女性の声だ。研護は体を起こすと、辺りを見渡した。
「ここは……」
小型機のような?そんな乗り物に乗せられているらしい。前の方には、2人の人間が座っている。1人は女性、もう1人はがたいのいい男性のようだ。
「桐城研護さん……ですね。」
女性は立ち上がり、研護の方に向かってきた。そして、通路を挟んだ反対側に座る。
「私はエミー・カノー。名前は聞いた事あるかしら?」
「エミー・カノー……確か、23世紀の未来人……昔寺沢に聞いた事ある。」
「あら!寺沢さんの知り合いなの!?」
嬉しそうな顔をするエミー。懐かしい人物の名前を聞いたからだけのようには思えないが。
「しかし……ジャーナリストというのはよくこういう事に巻き込まれるものなのね。」
「え?」
「あなた、歴史をねじ曲げるような事に首突っ込んだわ。」
エミーから言い放たれた言葉。にわかに受け入れにくい言葉だ。
「歴史をねじ曲げるって……」
「あなたが目撃したのは、人類で最初に行われたタイムマシンの実験よ。」
「タイムマシンの実験?」
「巨大な爆発が起こり、1人の科学者が太古の昔より帰ってきた。」
「……あの爆発……いやそれより、あの科学者は怪獣を作ったんだ。あれは間違いなく怪獣だった!間違いない!」
「怪獣?マジロスの事ね。」
「マジロス?」
初めて聞く怪獣の名前。研護は自分が見た事の恐ろしさがだんだん分かってきた。
「あの科学者が、人類にタイムマシンというものを与えた人間という事になる。けど、恐らくあの科学者は自分がした事の重大さが分かっていないようね。この時間軸はあくまで今の私達が乗っている方舟にしか過ぎない。それを進める術も引き返す術も、私達は手に入れてはならなかったのよ……」
人間がタイムマシンを手に入れた瞬間に立ち会った事になる研護。事の重大さがやっと理解できたようだ。
「けど、あの科学者は何が何でも目的でタイムマシンを?」
「オリハルコンを手に入れる為。太古の昔、人類が使用していた神器。」
「オリハルコン……」
「博士はオリハルコンを使ってなにかをするつもりなのよ。それを阻止するには、恐らくあなたの協力が不可欠になる。」
「俺の……」
「そう。この時代の人間であるあなたのね。私と彼だけでは事態を収集できそうにないから。」
「彼?」
エミーが指したのは、操縦席に座っている男性……というより、アンドロイドの事だった。アンドロイドMー11。左手を上げながら、ちらっと研護に目をやった。
「……本当に……」