Time axis of「G」


「戻った事は戻ったが……」

 タイムマシンのカウンターを見るエマーソン。インファント島にいたのは2時間ほどだったが、こちらでは3日も経ってしまった。

「うーん……完全にタイムコントロールするのにはまだ難があったようだな……」

 実用化したとは言え、不完全な状態には変わりない。全く同じ時間にタイムスリップするのは不可能なのかもしれない。

「まあいい。誰にも見られていない。オリハルコンも手に入れた。さて……」

 その時だった。エマーソンの鞄からオリハルコンが1つこぼれ落ちた。オリハルコンは地割れの中に落ちていった。

「ああ!」

 手遅れだった。地割れの中に落ちては拾う事はできない。

「……仕方ない。地割れの中なら誰かに拾われる心配も無い。それでは……」


グヴァアアアアアアウン


「何!?」

『まさか……そんな事が?』

 何かのうめき声と共に地面が揺れだした。足元がおぼつかなくなるエマーソン。とにかく、オリハルコンとI-Eを確保するのを第一にしている。

「あれは!?」

 一部始終を見ていた研護も、我が目を疑った。何の前触れも無く、いきなり怪獣が現れた。これをどう説明すればいいのか?


グヴァアアアアアアウン


 4足歩行の怪獣。今までに確認されていないタイプの怪獣だ。研護はその怪獣を写真に納めるべく、カメラを構える。

「こんな怪獣が現れた。スクープなんてものじゃないぞ……」

 スクープを目の当たりにした驚きから、研護はそばにいるはずのエマーソンの事を一瞬忘れていた。


「このままでは……」

 I-Eのコンピューターにオリハルコンを抱えたエマーソン。年のせいもあるが、うまく走れない。怪獣に潰されるのも時間の問題だった。


『……今この場で怪獣を消さなければ、私の存在も危ない。怪獣を消すには……』

 I-Eはコンピューターのスピーカーから、何かの音波を放った。それは、人間には聞こえない周波数の音波だったが、怪獣には不協和音のように聞こえた。


グヴァアアアアアアウン


 怪獣はエマーソンに背を向け、地面に潜って言った。音波が聞こえなかったエマーソン、そして研護には、何が起こったのか分からなかった。

「……助かったのか?」
『危険だ……実に危険だ……』

 I-Eの機転で難を逃れたエマーソンだった。しかし、研護という目撃者を作ってしまった事は計算外だった。

「何という事だ……あの人間はあの石で怪獣を……」

 研護にはそう見えた。エマーソンが故意に石を地割れに落とし、怪獣を呼び出したように。

「あの人に何か聞かなくては……」

「待ちなさい。」
「え?」
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