Time axis of「G」


1万2千年前

インファント島



「着いたか……」

 ここがどういう場所なのか。エマーソンは分かって足を踏み入れた。エマーソンはI-Eの入ったコンピューターを手に持ち、山の中を歩き出した。

「素晴らしい……地形は全く現代と変わっていない。丸友がいじった部分も元の自然のままか……」

 エマーソンは確信していた。現代に置いては、丸友に伐採され、更地になってしまっている場所に、彼の目的地がある。

『……現代の地形にこんな場所は無い……人間が手を加えた結果か……』

 インファント島の地形は、I-Eの入ったコンピューターの中に記録されている。I-Eは起動されていないその地図を勝手に読み取っていた。

「着いたぞ。」

 密林を抜け出した場所にあったのは、神殿のような建物だった。古代人が建てた建物には違いない。しかし、あまりに立派過ぎる。

「こんな建物、よく丸友は破壊できたな……」

 エマーソンは何の迷いも無く、神殿へと入る。I-Eはこうしている間にも、神殿のデータを採取していた。

『カメラ付きのコンピューター……好奇心と共にこの博士に授けられた私の眼……』

 エマーソンが入った部屋。何かの儀式を行う部屋らしい。その正面には、何本もの柱が立っていて、その真ん中の柱には、誰かが柱をくりぬいた跡が残っていた。柱の石をくりぬく……I-Eには理解できない事だ。

「間違いない。ここがオリハルコンの神殿……」
『オリハルコン?』

 エマーソンの目的はこれだった。神殿の柱を形成している金属。それがオリハルコンだった。

『これが……エマーソンの目的なのか……』

「見ていろI-E……私はこれを研究するためにここまで来たんだ。伝説の金属、オリハルコンは確かに存在したのだよ……」

 エマーソンは鞄の中に入れていたつるはしを取り出し、柱を削りはじめた。

『神殿……それは聖域……それを汚すのが……人間?馬鹿な!?私の生みの親がそんな愚を?』

 エマーソンは1つ、また1つと、オリハルコンの欠片を取り出していた。全部で6つ。エマーソンの体力ではこれが限界だ。

「よし。行こうか。」

 オリハルコンを鞄にしまい、コンピューターを抱えて神殿から出るエマーソン。

『オリハルコン……私はその力を理解できるのか……』
「I-E……伝説の金属オリハルコンを現実にする為に私はこの世界に来た。だが、帰ってからが本番だ。君はこれに秘められた力を解析するんだ。できるな?」
『……オリハルコンの力……伝説の金属に秘められた力……』
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