「G」という名の絶対者


 デルスティアは再び戦闘体制に入った。邪魔者を全て排除したと思っていたガダンゾーアには想定外の出来事だった。

 デルスティアはガダンゾーアに向かった。ガダンゾーアはデルスティアに光線を放つ。

「同じ技なんか喰らわねえよ!」

 横に飛んで光線を回避したデルスティア。今度はデルスティアがミサイルを放った。

 ガダンゾーアは光線でミサイルを撃ち落とした。しかし、その隙にデルスティアの接近を許してしまった。

「受けてみろ!」

 デルスティアのパンチが、ゴジラがガダンゾーアに付けた傷口に命中した。悲鳴を上げるガダンゾーア。

「ゴジラ……お前が決めないでどうするんだ……」

 密かにゴジラを待っている健。ゴジラはまだ上がって来ない。


カクゥゥゥゥゥン


 瓦礫に埋もれていたモスラが、健の言葉を聞いたかのように飛び上がった。ゴジラのいる場所に向かう。


カクゥゥゥゥゥン


 ゴジラの真上で光り輝くモスラ。どこかで見た事があるような光景だ。

「ゴジラとモスラが会話してる?」
『みどりさん分かりましたか。ゴジラとモスラは今、互いの意思を疎通しています。モスラはあのゴジラが、かつて自分たちが倒そうとしたゴジラでは無い、人類の味方となるゴジラだと認識しました。』
「あの時みたく、共同戦線を展開するんだな……」

ゴァァァァァァァァォン


 全身を光らせ、ゴジラが起き上がった。ゴジラはガダンゾーアに向かう。

「そらぁ!」

 デルスティアはガダンゾーアの肩の触手を捕まえた。そして、その顔面を殴る。

『桐城!その触手は切断できる!やれ!』
「根拠はあんのか?」
『ゴジラの作った傷口は修復していない。多分、あの細かい触手だけがオリハルコンになるんだ。』
「よし!」

 掴んでいる触手を無理やり引きちぎろうとするデルスティア。ガダンゾーアは背後から触手でデルスティアを狙う。

「こいつめ!」

 健の渾身の力がこもった。触手は本体が引きちぎられ、ガダンゾーアは大きな悲鳴を上げる。


ガグゥゥゥゥゥゥゥゥン


 デルスティアは更に、尻尾の斧でもう片方の触手を切り落とした。

『おじちゃん見て……』
「あれは……」

 切断面からガダンゾーアのエネルギーが流出した。エネルギーは全てゴジラを取り巻き、吸収される。

ゴァァァァァァァァォン


 ゴジラは赤い熱線を放った。赤い熱線はガダンゾーアの触手を跡形も無く焼き払う。

「よし!ゴジラの本気よ!」

 ゴジラは赤い熱線をガダンゾーアに向かって乱射した。燃え上がるガダンゾーア。しかし、まだ倒れそうには無かった。


カクゥゥゥゥゥン


 モスラがガダンゾーアに毒鱗粉を放った。ガダンゾーアの回りには、ある種のエネルギーフィールドが発生した。


ゴァァァァァァァァォン


 ゴジラの熱線は増幅され、ガダンゾーアの全身に当たる。ガダンゾーアの光線は跳ね返され、自身に直撃する。

「よし、俺たちも!」
『最後の力を見せる!』

 デルスティアが放ったのは、何発も連射されたデストロイキャノンだ。ガダンゾーアを襲うエネルギーの波。

「あれは……」

 大戸の船内で起き上がった新城と佐藤。ゴジラ、モスラ、デルスティア、ガダンゾーアの戦いがモニターに映っている。

「あの鱗粉……」
「功二、ゴジラ達押してるんじゃないか?」

「なら加勢しましょう。」

 新城と佐藤が戦闘に見入っている間に、黒木が大戸号を浮上させていた。既にエネルギーチャージも始まっている。

「ブラズマレーザーとアブソリュート・ゼロを同時に放ちます。」
「けど、そんな事したら……」
「恐らく、大戸号は二度と空を飛ぶ事は無い。メインエンジンがそのエネルギーに耐えられませんからね。しかし……」
「我々の命に支障はきたさないし、兵器が残る未来よりはここで使い果たしてしまうのが得策という事ですね。」
「あのメカニック博士には申し訳ないが、兵器生産するような人間じゃないからな。」

 黒木はガダンゾーアに狙いを定めた。全く気づいていないガダンゾーア。

『桐城君!君の最大級のデストロイキャノンを同時に撃つぞ!』
『はい!睦海!』
『OK!!』

 ガダンゾーアに向かって構えるデルスティア。

『これで最後になる……』
『長かったな……』
「行くぞ!アブソリュート・ゼロ、三連ブラズマレーザー!」
「「デストロイキャノン!」」
「「「発射!」」」

 デストロイキャノンとアブソリュート・ゼロ、三連ブラズマレーザーが一度にガダンゾーアを飲み込む。ガダンゾーアを爆風が包み込んだ。


ガグゥゥゥゥゥゥゥゥン


 ガダンゾーアはまだ健在だった。いや、しかしアブソリュート・ゼロが利いたのか、ガダンゾーアの体があちこち凍っていた。


ガグゥゥゥゥゥゥゥ……


 デストロイキャノンによって胸の傷口が更に開いていた。もう、ガダンゾーアには反撃手段は残っていない。


ゴァァァァァァァァォン


 ゴジラの最大級の一撃。赤い熱線がガダンゾーアの腹をえぐった。


ガグゥゥゥゥゥゥゥゥン


 絶対的悪魔の断末魔。ゴジラがガダンゾーアを打ち破った。ガダンゾーアはその身を燃え上がらせ、地に服した。



「や……やった!やったぞ!」
『よっしゃぁぁぁ!!』

 皆、我を忘れて喜びにふけった。握手を交わす孝昭と北川、ガッツポーズを見せ合った新城と佐藤と黒木、飛び跳ねて喜んでいる翼と美歌、安心して、その場に立ち尽くすみどり。

『見事だった……最高だよ……』

 ヘルメットを取り1人敬礼する将治。

『これで、終わったんだな。睦海。』
『未来は無事に守られた。これ以上の事は無い……ありがとう……』


ゴァァァァァァァァォン


 天高く咆哮するゴジラ。そして、ゆっくり海へと歩み出した。

「ゴジラ……やはり帰るのね。」
「帰るって?」
「あそこ以外に無いですよ。ベーリング海、」
「アドノア島!」

 何も分かっていなかった孝昭だが、未希と梓はすぐにわかった。

「あの子はやっと帰れるのね……自分の故郷に。」
「……よかったね。ジュニア……いや、ゴジラ。」

カクゥゥゥゥゥン


『皆さん、ありがとうございます。』

 いつの間にか姿を消していたコスモス。テレパシーで語りかけているらしい。

『モスラも故郷に帰ります。私達も、いつまでもモスラを見守ります。』
「そう……元気でね。」
『はい。』

 モスラはインファント島に向かって飛び立った。

『さて、俺たちも帰るか。』
『うん。』
『ちょっと待ってくれ桐城!僕も一緒に頼む!』
『我々も頼めないか?大戸号はもう飛べそうに無い。』
『大丈夫か睦海?』
『平気だと思うよ。』

 将治を右手に持ち、左手て大戸号に触れたデルスティア。そのまま、つくばまで瞬間移動した。
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