「G」という名の絶対者

『遂に現れたな………』


…………まだ終わっていないぞ。DO-Mを持って来るのだ。

…………仰せのままに。


ゴァァァァァァァァォン


 向かって来るゴジラにG-1はガトリング砲を放つ。しかし、ゴジラはそれをものともせず突き進む。


ゴァァァァァァァァォン


 ゴジラはG-1のガトリング砲を掴み、ビルに向かって投げ飛ばした。ガトリング砲を掴んだまま、倒れているG-1を踏みつけるゴジラ。

『私は負けない。』

 G-1はもう片方の手をチェンソーに変形させた。それをゴジラの体に押し付ける。


ゴァァァァァァァァォン


 傷こそは付かなかったが、痛みに耐えかねたゴジラはG-1を離した。G-1は立ち上がり、ゴジラに再びガトリング砲を放った。

『加勢するぜゴジラ!行こう!睦海!』
『うん!』

 ゴジラとG-1の戦いに、デルスティアが割って入った。デルスティアがガトリング砲を掴み、その間にゴジラがG-1との距離を詰める。

ゴァァァァァァァァォン


 ゴジラはG-1のもう片方の腕に噛みついた。G-1は肘の部分から噛みつかれている為、腕の変形での対処が出来なくなっていた。

 G-1はゴジラの方を向く。そして、目から赤い光線を放った。ゴジラは思わずG-1を離した。

『その程度で……!』

 G-1は更に、ゴジラから解放された腕をカマに変形させ、それをデルスティアの体に突き刺した。

『アァァァァ!』
『睦海?』

 デルスティアもG-1を離した。G-1は距離を取ると、両腕をバズーカに変形させた。

『おじちゃん……私はいいから、それより!』
『あ……ああ!』

 G-1が放った2発のバズーカ。デルスティアはそれをデストロイ・キャノンで撃ち落とした。

『お前、もしかしてデルスティアのダメージをそのまま……』
『いいの。構わないから、思うままに戦って……!』
『睦海……』

ゴァァァァァァァァォン


 ゴジラはG-1の背後から、尻尾を首に回した。そしてそのまま引き倒し、G-1の首を絞める。

『……お前は憎くないのか。自らを生み出したこの人間達が。』

 G-1はカマを尻尾に突き刺した。尻尾を離したゴジラ。G-1はその隙に立ち上がり、両腕をマシンガンに変形させた。


ゴァァァァァァァァォン


 ゴジラが放った熱線を、G-1はマシンガンで弾いている。しかし、若干ながらゴジラの熱線が押していた。

『時が来るまで倒れていろ。』

 G-1は片腕を巨大ライフルに変えた。片腕はマシンガンのままゴジラの熱線を防ぎ、片腕でゴジラの体を狙って砲弾を放った。


ゴァァァァァァァァォン


 ゴジラは熱線を止めた。G-1はその隙を突きゴジラに接近し、ゴジラを抱え上げた。そして、そのまま近くのビルに向かって放り投げた。瓦礫に生き埋めになったゴジラ。

カクゥゥゥゥン


 今度はモスラが出た。モスラはG-1の背後から超音波光線を当てた。爆発で前に倒れたG-1。モスラは倒れたG-1の足を掴み、そのまま海まで引きずって行く。


カクゥゥゥゥン


 海際までG-1を引きずったモスラ。最後にそれを持ち上げ、自分を回転させて、G-1を海に投げ飛ばした。

『無駄……』

『何だありゃ!?』

 G-1は海に落ちなかった。水面に足をつけ、立っている。

『どこまでも不可思議な奴め……』
『時既に遅い。DO-Mは再び我らの手に。』
『何だって?』
『功二さん!』

 本部からの緊急通信。未希からだ。

『どうした?』
『γの体がまた動き出したの!保管室のDO-Mを奪って逃げ出したわ!』
『何だと?』

『人類が生み出した物は排除する。不用になったゴジラも例外ではない。DO-Mのオキシジェン・デストロイヤーによって消え去る。』
『貴様……』
『ゴジラはDO-Mで始末する。他は私が始末する。』

 G-1は再び陸に上がる。そして両腕を変形させ、巨大ミサイルボットを出現させた。

『あんなものまで……』
『墜ちろ、オリハルコンの亡霊。』

 ミサイルを放ったG-1。標的はモスラだ。


カクゥゥゥゥン


 超音波光線でミサイルを撃ち落としたモスラ。しかし、ミサイルの爆風もモスラを巻き込んだ。モスラは爆風に吹き飛ばされ、ビルに激突した。ビルの瓦礫がモスラの上に覆い被さる。

『モスラが……』
『いえ、モスラはまだ平気です。それより、DO-Mが届く前にG-1を!』
『そろそろ我々も見せないとな。麻生君!』
『はい!』

 大戸号とガルーダⅡは冷凍ミサイルをG-1に向かって放った。G-1の足に命中した冷凍ミサイルは、G-1の動きを奪った。

『アブソリュート・ゼロ用意!麻生君!君の超低温レーザーもスタンバイしてくれ!』
『え?』
『DO-Mを無力化する事も考える必要がある。八神が死んだ今、正確な弱点はわからないが、可能性はあるはずだ!』
『はい!』
『悪あがきはよせ。』

 氷を砕き、再び動き出したG-1。今度は両腕を普通の腕に戻した。しかし、小指から肘にかけてのラインからは刃が飛び出している。

『睦海、俺はこれ以上お前に痛みを与えはしない。』
『私なら平気。最後まで戦うよ。』
『睦海……』
『おじちゃん、見せてやって。得意の喧嘩の拳ってやつを。』
『喧嘩の拳、か。』
『でも、私は知ってる。おじちゃんは常に、誰かを守るために戦ってた。自分の中では無意識だったとしても。』
『ああ。理由なく喧嘩するような奴はただ身勝手な奴なんだ。あいつみたいに。』

 G-1を睨みつけながら言う健。

『そういう奴には、一発かましてやるんだ。睦海、大丈夫って言ったんだ。最後まで付き合ってくれよ。』
『うん!』

 その拳を握りしめ、構える健。デルスティアの姿は、弥彦村で腕を振るっていたいつもの桐城健そのものとなっていた。

『行くぜ!』

 デルスティアは真っ直ぐG-1に向かい、まず一発G-1の腹にパンチを入れた。しかし、それと同時にG-1のパンチも顔に受ける。

 G-1は続けざまに足で蹴り上げようとした。しかし、デルスティアはそれを両手で阻む。そのままG-1の足を掴んだデルスティアはG-1を投げ飛ばした。

『人間の分際で!』

 G-1は近くにあったビルの球体をデルスティアに向かって投げた。デルスティアは後ろに振り返りながら球体を蹴り返した。

 蹴り返された球体を受けて倒れるG-1。デルスティアはG-1の上に馬乗りになった。そして、片手で首を押さえながらもう片方で顔を殴る。

『喧嘩番長、桐城健の本領か……』

 その様子を眺めている将治。不思議な感覚だった。戦い方は不良の喧嘩でしか無いが、健とG-1の間には何か別の感覚を感じられた。

『桐城……』

 割って入ってはならない、1対1の勝負。ただの喧嘩ではない真っ向勝負。

『この!』

 苛立ちを見せたG-1。片腕をミサイルボットに変え、空に向かってミサイルを放った。ミサイルは反転し、デルスティアに降り注ぐ。

『させるか!』

 すかさずデルスティアはG-1から降りた。デルスティアに向かっていたミサイルはそのままG-1に命中した。

『馬鹿な。私が負ける?違う、私は目的を全うする為の完全な存在だ。私は負けない。』

 G-1は腕の形を戻し、拳の先を鋭く尖らせた。

『睦海、この一撃で決める。一緒にぶちかましてくれ!』
『わかった!』

 デルスティアとG-1。互いに最後の交差となる。デルスティアの、G-1の腕が交差した。しかし、互いに命中させる事はできず、交差点を中心に双方共に体を回転させる。

『食らえ!』

 体の回転を利用し、デルスティアはG-1の顔に裏拳を決めた。G-1の頭は半壊し、その場に倒れる。
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