「G」という名の絶対者


 未希の一言が司令室の雰囲気を変えた。一斉にモニターに目を向ける一同。

「あれ……北米の怪獣反応は確か、4つだったな?」

 北米には、ワシントンとニューヨーク、シアトルとロスに出現していた。だった今、ワシントンの反応が消えた。

「米軍が倒したというのか?」
「分からない。けど、そうは感じないの。」
「あっ!」

 今度はニューヨークの反応が消えた。

「現地の映像を!」

 メインモニターに映るニューヨークの様子。そこには、バラバラになっているゾエアと、その前に立つ身近のロボットの姿があった。

「あのロボットは一体?」
「さあ……」

 ロボットは全身から光を発し、一瞬でその場から姿を消した。その様子を見て、翼が叫んだ。

「兄貴!あんな感じですよ!女が睦海さんをさらっていった様子のまんまだ!」
「本当かみどり?」
「ええ………」
「まさか……おい、シアトルかロスを出してくれ!」

 新城の読みは当たっていた。今度はロスで、ロボットとドラーグンが戦っていた。

「あのロボット、我々に味方しているのか……」

『おじちゃん。聞こえる?』
「睦海!?」

 突如として入ってきた通信。睦海の声で健に呼びかけてきた。健はマイクのそばに駆け寄って応えた。

「本当に睦海なのか?」
『少し待ってて。コイツらを倒したらすぐに日本に行くから。』
「じゃあ、あのロボットはお前なのか?」
『そう。決戦兵器Delstia』
「デルスティア……」




クェェェェン


 ドラーグンがデルスティアに向かって触手を伸ばしてきた。デルスティアは後ろに振り向いて、尻尾を触手に向ける。

『食らいな!』

 デルスティアの尻尾の先にある斧が、ドラーグンの触手を切り刻む。

「ナイス!やっぱり操縦系統を直接繋いだのは正解だったわね!」
『亜弥香、はしゃがないで。ちょっとうるさい。』
「ごめん……」

 デルスティアは続けて、目からレーザーを放った。レーザーは爆発を起こさず、ドラーグンの本体にじわじわとダメージを与える。


クェェェェン


 耐えきれなくなったようだ。内部に蓄積したダメージがドラーグンの本体を崩壊させた。

『さっきと同じ。あっという間に終わっちゃう。』
「とりあえず、残りは一体よ。次元転移開始!」 

 デルスティアは再び、光と共に姿を消した。メインモニターはシアトルの映像を出す。




シィァァァァァァン


 今度はフォライドだ。フォライドはデルスティアが現れた瞬間、霧を発生させた。デルスティアに対し、かなり警戒心を高めている。

「気をつけて。向こうからは丸見えのはずよ。」
『なら……』

 デルスティアは、上部のミサイルハッチを開かせ、ミサイルを放った。熱源追尾のミサイルはフォライドに向かって直進した。


シィァァァァァァン


 思惑通り、ミサイルは全てフォライドに直撃した。爆発により、現在地を把握したデルスティア。


シィァァァァァァン


 しかし、只で終わるフォライドでは無かった。デルスティアの頭部に飛びかかり、頭を掴んだ。
『くっ……』

 フォライドは、デルスティアの頭を本体と引き離そうとしている。

シィァァァァァァン


 フォライドはデルスティアの頭を地面に叩きつけた。それに引かれて、デルスティアも前に倒れる。

『この!』

 デルスティアは両手の銃口をフォライドに向けた。そして、レーザー機銃を放つ。しかし、フォライドが頭を放す様子は無かった。

『仕方ない……』

 デルスティアの尻尾が、大きく振り払われた。フォライドは、斧を避けるためにやむを得ず、デルスティアを放した。

『一気にけりを付ける!』

 デルスティアの両肩が光る。フォライドはそれを阻止するべく、口から光線を放つ。しかし、デルスティアを止めるのは不可能だった。

『デストロイ・キャノン。発射!』

 デルスティアの両肩から放たれた光線砲は、一瞬の内にフォライドを消し去った。フォライドは、声を上げる間も無く、塵となった。

『やったわね。とりあえず、私たちの勝ちよ。』
「行こうか。あなたの大切な人の所に。」 




『全てやられてしまったか…………まあいい。最終段階は奴らの知らない所で着実に進んでいる。』
『……次の指示を。』
『まだ、連中の駒は出揃っていない。オリハルコンもまだこちらの手にある。唯一の気がかりはDO-Mだが。』
『最終段階の完遂へ。』
『もう1つ。ゴジラをDO-Mに向かわせなかった存在。』
『仰せのままに。』
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