ジュリアに執心











どうも。
あたくしはグレイス家に務める、メイドが1人・・・ローリ・T(タウ)・コンキスタです。
既にご存じだと思いますが、当家にはゆくゆくはグレイス家当主となる1人の乙女・・・ジュリア・R(ラント)・グレイス様がいらっしゃいます。
2012年6月30日に産まれてすぐ、このグレイス家・・・厳密には分家の一つである蘭戸家の象徴たる四神・マンダこと青龍と交感した事で、産まれながらの当主候補一位となったジュリア様は、その小さな身体に見合わぬ責任と期待を双肩に背負い、日々当主となる為の英才教育を受け続けながら、年不相応なまでに立派に成長なされ・・・今や、10歳となったジュリア様は益々そのあざと可愛さを増しながら、一人前のレディへと邁進しております。




・・・えっ?そうは見えない?
ちょっと何言ってるか分からないのですが、そんな寝言をぬかす・・・仰るのならば、僭越ながらこのあたくしがジュリア様がいかにたまら・・・素晴らしい女性なのか、特別にご教授しようではありませんか?
まず、見て分からないのがおかしいジュリア様の外見的魅力についてですが・・・





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いや最強でしょ、ジュリア様最強でしょ?  ろりきょぬーとか凄いでしょ! アメ公女子が手も足も出ねぇぇ! 古手華をいたぶる感じ! 全JSが圧倒される! モラル跳ね返した! 0歳で巫子になった女って他にいるか? 島を1つ占領とかスゲェェ! 黒髪ぱっつんパネェェ! 顔日本人なのに瞳は青いって何気にとんでもないと思うの。 コラ!ただのハーフとか言わない!
それで・・・





※以下、怪文書がひたすら続くので割愛。










・・・ゴホン、ひとまずジュリア様語りはこれくらいにしておきまして。
そんなあたくしにとって、ずっと気に入らない・・・いや、それを通り越して許せない存在が三つあります。
一つ目は、ジュリア様の腹違いの兄にして当主候補二位の男・・・ベオ・R(ルプス)・グレイス。
見てくれはオオカミ系金髪イケメンですが、ジュリア様を明らかに敵視している・・・と言うより、僻(ひが)んでいるのがあたくしからすれば丸分かりと言いますか、卑屈な性格がさりげなく顔に出てるんですよねぇ・・・どうせジュリア様の存在によって、当主候補二位に落ちたからだと思いますが、なんと女々しくて見苦しいのでしょう!
まっ、そもそもレイモンド兄さん、いやニーチェンなんかを側近に置いている時点でお察しですけれど?
当然、ジュリア様を敵視する者は誰だろうがあたくしの敵です・・・断じて口には出しませんが。
二つ目は、ジュリア様と昔から仲良くしている使用人にして分家の男・蘭戸弦義。
後入りのボディーガードの癖に、ジュリア様の誕生後すぐに会って懐かれたと言うだけで、まるで幼馴染みのように仲良くして、いつもハグして貰って、プライスレスな時間を一人占めして・・・羨まし過ぎるッ!
それまではベオ様と親しくしていたのですから、ベオ様と男の友情なりBLなりな関係を築いておれば良いのです!
・・・まぁ、無愛想なのと何故かサムライじみている事以外は、優秀でかつ余計な言動はしないのでまだ許せますし、令嬢と使用人が結ばれるだなんてフィクションに過ぎませんから、その点も構いません。
問題は、三つ目にして最も許すまじ存在・・・そう、グレイス家看護長の古手華!
蘭戸弦義と一緒に島に来て、最初は失敗ばかりで前看護長にしてあたくしの恩師・マイヤー様からそれはそれはイビられ、毎日のように泣きベソを掻きまくっていた分際で、蘭戸弦義と共にジュリア様と出会ってから急にメキメキとメイドとしての腕を上げ、先輩のあたくしを追い抜いた挙げ句、マイヤー様を蹴落とす形で現看護長の座に収まった、厚顔無恥で地味顔な貧乳ナイフ女・・・!
それだけでも絶許案件ですが・・・何より許せないのが、この女が蘭戸弦義と並び立つ程に、ジュリア様と異常に仲が良いと言う事実!
実質、ジュリア様専属メイドのような扱いでジュリア様といつも一緒にいて、あのまもりたい笑顔を独占し・・・ジュリア様にいつもいつもハグして貰って、あのけしからん発育の触感を堪能し・・・ジュリア様の服の採寸をチェックすると言いながら、あのスベスベとした白肌とヤバい裸体を舐め回すようにいつもいつもいつも見て・・・時々ジュリア様とお風呂に一緒に入って、あの髪も瞳も頬も手も肩も背中も腹も乳房も脚も尻も(自主規制)も合法でいつもいつもいつもいつも・・・(省略)








・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・失礼。
つまり、古手華がジュリア様を性的な意味で狙っているのは確定的に明らか、と言う事なのです!
きっとジュリア様に信用されている事をいい事にあの女、密かにジュリア様に(自主規制)や(自主規制)をしまくっているに違いないのですから!あたくしならそうしますから!
なんと不健全なのに色々貧相な女が看護長になってしまった事に嘆きつつ、ジュリア様の事を妄そ・・・案じながら、悶々とした日々を過ごしていたのですが・・・ここに来て、ようやく!あたくしにチャンスが巡って参りました!
古手華と蘭戸弦義が隣島の大戸島へ行く事になったと言う事で、代わりにあたくしがジュリア様のお昼の砂浜お散歩の同行を任されたのです!
ベオ様は基本的にジュリア様に近付く事はありませんし、臼井戸響人とか言うメガネ小僧も、アイン・S・クーとか言う適当な教官男も、別件があって確実に来ない・・・つまり、ジュリア様とあたくしの間を邪魔する者は、何人たりともいないと言う事ッ!
この最大のチャンスを、決して逃してはなりません・・・必ずやこのお散歩を完遂し、ジュリア様を手込めに・・・いやいや、距離を縮めてみせます、絶対に!!






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『あっ、ろーりだ!久しぶり~!』
『・・・』
『・・・んっ?どうしたの?わたしのかおに、何かついてる?』
『・・・はっ!い、いえ。まだまだ暑いのでジュリア様の顔色が大丈夫か、確かめていただけでして・・・では、久々に参りましょう。』
『うん!じゃあ行こ行こ~!』





・・・危ない、約413日振りに至近距離で見たジュリア様の顔を、穴が空きそうな程に見てしまっていました・・・
しかし、まともに会うのは約413日振りだと言うのにまだあたくしの名を覚えて下さっていたとは・・・流石はジュリア様・・・!
思えば約6年前、まだ4歳だったジュリア様と初めてお会いし、あたくしにハグして下さったあの日から・・・あたくしは身も心もジュリア様の虜となってしまいました。
あの時のジュリア様の、マシュマロ以上のやわらか過ぎるイケナイ感触は・・・命尽きるその時まで、決して忘れはしないでしょう。
誠に残念ながらその時以来、ジュリア様からハグされる機会は訪れませんでしたが・・・今のジュリア様によるハグはきっと、どんな者でも骨抜きにするさながら「人をダメにするジュリア様」なのでしょうねぇ・・・じゅるり・・・!
まぁ、それもさもありなんでしょう・・・あの服の上からでも分かる果実の様な双房を、身体で味わえるのですから・・・!
そう、禁断の果実の前では如何なる人間であろうとも抗える訳が無いのです!だからちょっとそのドレスの中身を・・・




『・・・ろーり?』
『・・・はっ!?い、いえいえ、ちょっとおやつの時間に食べるジュリア様が喜びそうな果実が無いか、考えていまして・・・』
『そうなんだ~。きょうのおやつ、たのしみだね!』




・・・危ない危ない、つい頭の中でジュリア様の服を剥いて悦ばせてその身体を美味しく頂くイマジネーションを・・・
いけませんねぇ、いくらジュリア様が青い果実のようなむしゃぶり付きたいわがままボディだからと言って、身体しか取り柄の無いビッチのような扱いをしては・・・ジュリア様の良い所なんて、筆舌に尽くし難い程にあると言うのに!




『あっ、カモメがいっぱいいる~♪わ~いっ!』




そう、この鈴を転がしたかのような可憐な声も、ジュリア様の魅力の一つ・・・
この声を聞いているだけで、あたくしの日々の嫌な事は全て吹き飛び・・・この声で名前を呼ばれるだけで、あたくしの鼓動は激しく高鳴り・・・この声で「らめぇ」とか「あぁん」とか言っているのを想像するだけで、あたくしのムラムラは最高潮に・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・
ちなみに使用人達が言うには、ジュリア様の声は悠木碧なる声優の声によく似ている、との事です・・・あたくしは声優には詳しくありませんので存じ上げませんが、つまりその声優の声が脳内再生出来るならば、ジュリア様に(自主規制)と言わせたり、はたまた(自主規制)と言わせる事が・・・




『・・・ろーり、ろーり!』
『コンバインッ!!
・・・はっ、申し訳ありませんジュリア様!』
『ねぇ、さっきからどうしたの?わたしとのおさんぽ、たのしくない?』
『そ、そんな事は断じてありません!413日振りにジュリア様とご一緒出来たこの喜びを噛み締めながら、どうすればジュリア様に楽しんで頂けるかと考えているだけで、間違いなく楽しいです!むしろ楽し過ぎます!』
『ふ~ん。まっ、いっか!あ、そうそう!ろーりに言いたいことあるから、ちょっと耳かして?』




・・・こ、これはもしや、ナイショ話!?
ジュリア様があたくしだけに言いたい事・・・つまり、秘め事!?
ど、どんなマル秘な事をあたくしに囁いて下さるのか、考えるだけで・・・危ない危ない危ない、とりあえず耳を貸さなければ・・・!




『は、はい。どうされましたか?』




あぁ・・・ジュリア様のアロマセラピーのような心地良い匂いが、髪飾りに付いた蒼い勾玉が光るツヤツヤとした黒髪が、ベビーパウダーのようなうっとりとする白い玉肌が、直近でキャンディか何かを食べたのが分かる少し甘い吐息が、すぐ近くに・・・!!
はぁ、はぁ、はぁ・・・どうする?もうこのままハグしちゃう?何ならそのままヤっちゃう?一線超えちゃう?多分この砂浜に他に人はいないし、ヤらなくて後悔するよりヤって後悔した方がいいって言うし、女同士ならノーカウントだし、こう見えてあたくし古手華なんかよりよっぽどナイスバディだし、ジュリア様なら何だかんだ上手く丸め込んだら許してくれそ・・・




『・・・あんまり、はなにイジワルしちゃダメだよ?わたし、しってるんだから。』










・・・ゑ?




『だれもいないとこで、はなのわるぐちをブツブツ言ってるの、たまに見てるよ。はなは何にも言わないけど、わたし分かってるもん。』






・・・え、ゑっ?




『そんなにイジワルばっかりしてるから、体もカチカチなのかな?はなはすっごくやさしいから、むぎゅ~!ってするととってもきもちいいのに・・・だからわたし、はなにイジワルするカチカチのろーりになんか、もうぜったいぎゅ~、ってしてあげないよ!』








・・・ゑゑゑゑゑゑーーーーッ!!?






『おっ、ジュリアちゃん発見!』
『あっ!えかきのおねぇちゃんだ~!いらっしゃ~い♪』
『わっ、と・・・相変わらず、ジュリアちゃんは全身を使っての熱烈歓迎だね☆まぁ、ジュリアちゃんのハグって人をダメにするアレな感じだから、あたしは全然いいけどね~♡』
『ねぇねぇ、またいろんなとこに行ってきたの?きかせてきかせて~♪』
『アイアイサー!ん~っとね、最近行ったのは一年前にイリスって言うヘンだけどフシギな巨大「G」と、謎のロボになった「サンジューロー」が戦ってたエジプトのピラミッドとか、「時間」を司る女の子と何故かあたしのドッペルゲンガーがいるらしい、ってコンドウ君が言ってた御浜って町とか・・・』
『すっご~い!わたし、どっちも気になる~!!』
『ま~ま~、せっかちは悪い事じゃないけど落ち着きなさいな!あ、ジュリアちゃんからは噂の「エレキング」について聞いちゃおっかなぁ?』
『いいよ!エレキングってね、さいしょは「リム」って言うちっちゃくてかわいい、ぬいぐるみみたいなかんじだったんだけど・・・』








『・・・・・・
嗚呼、ジュリア様が・・・遠い・・・
ジュリア様に嫌われて・・・屋敷のメイド達が必ず受ける洗礼であるジュリア様のハグを、二度としないと断言されて・・・なのに最近島に来る、訳の分からないソフィとか言う自称芸術家の女には即座にハグして、見せ付けられて・・・古手華に、完敗した・・・!
そんなイケナイあたくしに、ここにいる資格はない・・・天使のような眩しい微笑みと・・・悪魔のような魔性のろりきょぬーと、あの肉感と、感触と、むっちりさと、やわらかさと、(自主規制)と・・・
そして、ジュリア・R・グレイスと言う存在そのものに・・・さようなら。









・・・ジャスタウェイッ!!










その後、彼女の行方を知る者は誰もいなかった・・・とさ。



完 婆羅陀魏
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