クイズ$ラズリネア







ラズリー『えっと、今回の話は色んな人がいてややこしいから、名前の「じばく」を付けさせてもらいますっ!
・・・えっ?それを言うなら「字幕」?それやったら「戦闘不能」になっちゃう?そ、そうとも言うね!あはははは・・・
ってわけで、それが許せる人だけ下に進むって事で・・・ファイナルアンサー?』










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ラズリー『ってわけで、クイズ!わたしのこのアトリエから見えているのは、大阪のどこでしょ~~~かっ!!』




2033年、「錬成」の爾落人・エリクシアが起こした一連の騒動に終止符が打たれた、その翌朝。
一同の拠点となった、淡路島・岩屋に構えられたラズリーのアトリエ・・・そのバルコニーに繋がるリビングに、昨晩のラズリーとの酒飲み対決に敗北した結果、先にリビングで爆睡している翔子を除いた、騒動に関わった全ての女性が集められていた。
その理由は、ラズリーが元に戻ったバルコニーの東側から見える大阪・梅田のビル街の景色を見て、唐突に思い付いたクイズの観客役・・・ただそれだけであったが、1人だけクイズの回答者として呼ばれている者がいた。




ガラテア『・・・大阪、か。まだ銀河殿と数回行った事のあるだけの地、果たして私に分かるだろうか・・・?』




そう、「変化」の爾落人・ガラテアだ。
彼女は自分だけが回答者として呼ばれた理由を「キミならきっと出来るよっ!」の一言で済まされながらも、突然の要件にも関わらず自分達にアトリエを貸してくれたラズリーへの恩義もあり、素の生真面目さもあって今はラズリーからの問いの答えを、真剣に考えていた。




チェリィ『・・・ガラテアサン、すごくなやんでるデスね?』
世莉「と言うか、わざと一番日本に土地勘の無いガラテアに答えさせてるよな?私なら、一発で分かるんだけど。」
菜奈美「そりゃそうよ。『空間』の貴女を、場所当てクイズの回答者にするわけないでしょ?でも、あんなに困ったガラテアの姿って確かにレアかも・・・」
綾「私もそう思うわ。あの人にとってこのクイズ、手練れの爾落人より厄介な相手かもしれないわね。」
ラピス『超ベテランの爾落人にこんな勝負を申し込んじゃうなんて、ラズリーったらやるわね~♪』
華「まぁ、しんっじられないくらいアウェーな勝負なのは確かなんだけど・・・」
引田「ステラさんがその数回の記憶を、どれだけ思い出せるか・・・それが回答のカギね。」
穂野香「ガラテアさぁーん!頑張ってーっ!」
パレッタ『さぁ~て、ガラちゃんはちゃ~んと分かるかな?まっ、あたしは弟子のコンちゃんがいる所だからすぐ分かったけど☆』
翔子「・・・ZZZ」






ガラテア『・・・ラズリー殿、「テレフォン」を使ってもいいだろうか?』
ラズリー『ん~、さっそくライフラインですね~?いいでしょう!それでは「空港」のせりちゃん、テレフォンのよういっ!』
世莉「『空間』だ!」
ラピス『・・・コンマで突っ込みが遅れるなんて、流石は「空間」の爾落人ね・・・悔しいけど、あたしの負けだわ・・・!』
綾「いや、勝ち負けの問題じゃないと思うんだけど・・・」
菜奈美「ライフラインとかあったんだ・・・」
世莉「と、言うか・・・本当に『あいつ』のいる所と繋ぐぞ?いいのか?」
ラズリー『もんだいありません!ではでは~、今から30秒!テレフォンタ~イムっ!!』






???『・・・あっ、本当に繋がった!セリ~!ほんっと久しぶり~!』
世莉「あ、あぁ。久しぶり、ラウラ。」
ラウラ『と言うかセリ!何であれからクレプラキスタンに全然来てくれないの!?何か、セリの「G」が今はもっと凄いのに変わったから、こうやって別々の場所でも繋げられるんでしょ?なら、早く会いに来てよ~!』
世莉「いや、お前はもうそろそろ国王になる身なんだから勝手に会うのはまずいだろ!そんな事より・・・」
ラウラ『と言うか、トーヤとはあの後どうなったの?プロポーズされた?それともセリからしたとか?キスくらいはもうしてるよね?』
世莉「全部まだ・・・って、そうじゃない!それより時間が無いから、早くクイズに答えてくれよ!」
ラウラ『あっ、そう言えばそうだった・・・てへぺろ☆』
世莉「その古過ぎるネタはいいから、あそこから見える『大阪』の地名を答えてくれ。」
ラウラ『「オーサカ」?それって、テニスの「ナオミ」の事?あの子は本当に凄かったわね~。』
世莉「ちがぁう!そっちの『大坂』じゃない!日本の地名の方!スマホとかパソコンとか使って調べてもいいから、早くやってくれ!」
ラウラ『そうなんだ?じゃあ・・・あっ、スマホ私の部屋に置いてきちゃった!取って来ないと・・・』
世莉「なんで、持ち歩いて無いんだぁ!そんな時間なんて無・・・」






ラズリー『・・・そこまで!』
世莉「なっ!?もう時間か・・・!ラウラの奴、私に質問するばかりで何の役にも立たなかったじゃないか・・・これなら、あのハイダとか言う爾落人をどうにか捕まえておくんだった・・・!」
引田「・・・さっきの人、もしかしてクレプラキスタン王女のラウラ・クレニスタ様じゃない?」
華「じゃああの子、一国の王女様を役立たず呼ばわりしたって事?私からしたら、世莉ちゃんの胆力もラウラ様の砕けまくりな性格もしんっじられないわ・・・」
穂野香「海外の凄い知り合いを連れて来て、ってラズリーは言ってたらしいけど、本当に凄い知り合いね!流石は『空間』!」
綾「縁が出来たのは6年前の『GROW』壊滅事件の時だって聞いたけど、それでも近々国王になる話も出ている王女様をクイズの質問役として軽々と呼ぶなんて、これが『事務所』の一員・・・って事かしら?」
パレッタ『クレプラキスタンって、あの「ブルーストーン」があったとこだよね!?あそこには他にも「G」関連のモノが色々あるかもって睨んでたから、今度世莉ちゃんにラウラちゃんを紹介して貰おっかな~☆』
ラピス『じゃあ、あたしも一緒に王女様にコネ持っちゃお♪』
引田「パレッタさんもラピスさんも、四ノ宮さんの負担を増やさないで頂戴ね?」
チェリィ『ラウラサン、おうじょサマなのに「情熱的」で、いいかんじデスねぇ・・・!』
菜奈美「貴女も欲望むき出しな事言わないの、チェリィ。それにしても・・・『てへぺろ☆』なんて、いつ以来聞いたっけ?」
翔子「・・・Zzz」




世莉「・・・えっと、ガラテ・・・」
ガラテア『・・・ラズリー殿、「50:50」を使ってもいいだろうか?』
世莉「・・・だよな。」
ラズリー『おっと、もうライフラインを二つも使っちゃって、いいんですか~?』
世莉「いや、一問だけなんだから全部使っても問題無いだろ。」
ラズリー『では、「50:50」を使いますが・・・その前に、CMをどうぞっ!』










[CM]



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ラピス『淡路島にお越しの際は、「岩屋温泉・淡海荘(たんかいそう)」に是非お立ち寄り下さい♪淡路IC・道の駅あわじより徒歩数分、ラズリーのアトリエからは約10分!明石海峡大橋や神戸の夜景を一人占めしながら、淡路で採れた新鮮な海の幸や岩屋温泉を、満足行くまでご堪能頂けます♪
淡路で泊まるなら、「淡海荘」!』










ラズリー『さて、それじゃあ・・・フィフティー、フィフティー!』






①大阪・ウメダ
④大坂・ナオミ




世莉「いや待て!なんで④がラウラに引っ張られてるんだ!」
華「しんっじられないくらいのサービス問題になったわね・・・」
穂野香「ガラテアさぁ~ん!これで二択ですから、当たって砕けろ精神で行っちゃいましょ~!」
引田「うーん、これで分からないと日本に土地勘が無いどころじゃなくなるのだけれど・・・」






ガラテア『・・・ラズリー殿、「オーディエンス」を使ってもいいだろうか?』
一同「「「「えっ?」」」」
パレッタ『ガラちゃんったら、慎重だねぇ~。あたしだったらライフライン使わずに、一千万円ゲット出来たのにな~。』
引田「一千万円は15問正解したらの場合よ、パレッタさん。」
チェリィ『ワタシもいつも「反物質世界」にいるので、じつはわからないデス・・・』
華「そっか・・・じゃあ、もしかしてガラテアさんも本当に分からないとか?」
綾「いつも銀河さんと世界中を旅してるから、全米テニスは見てなかった・・・有り得なくは無いわね?銀河さんって、色々極端みたいだし。」
菜奈美「いえ、流石にガラテアも何回かは日本に来てるから、全く分からない事は無い筈だけど・・・多分、確実性を取ったのよね?」
世莉「私達も、①に票を入れればいいだけだからな。」
穂野香「ん~!私達はみんな答えが分かってるのに~!もどかしいわ・・・!」
ラピス『まっ、これでガラテアさんでもチェリィちゃんでも分かるようになるわ♪ラズリー、あたし票の準備しとくわね?』
ラズリー『おねがい、お姉ちゃん!ってわけでガラテアさん、今の「しんきょ」は?』
ラピス『「心境」ね、ラズリー。』
ガラテア『私と銀河殿の新居が知りたいのか?今は・・・』
菜奈美「ストップ、ガラテア!『新居』じゃなくて『心境』!それにそれ、不用意に言ったらまずい個人情報よ!」
ガラテア『そうか、すまないなナナミ殿。心境の方だが・・・正直言って、まさか武術や能力を交えずに、ここまで心理的に追い詰められる事があるとは。これが頭の勝負・・・「クイズ」なのだな。ラズリー殿、参考になった。』
ラズリー『え、えっへん!これぞ、「天がわたしに授けた才能の牙」だよ!』
ラピス『ラズリーったら、調子に乗らないの。貴女に授けられた才能はクイズじゃなくて「動体視力」でしょ?さっ、そう言うわけでみんなからの投票結果を・・・』






翔子「・・・大阪の梅田。」
一同「「「「『!?』」」」」」
翔子「大阪の梅田が正解だ、ガラテア。間違っても一応日本人のプロテニスプレーヤーの方じゃないからな?」




・・・と、投票結果が開票される前にラズリーからの問題の解答を口走ったのは、今まで沈黙を保っていた翔子であった。
普段の顔色に戻った、酔いはとっくに冷めている筈の翔子からの爆弾発言に、今度は一同が沈黙する。




ラズリー『ちょ、ちょっと!?何いきなりネタバレかましてるのさ!おばさん!』
翔子「だから、私がおばさんならお前も同じだって言ってんだろうがぁ!ったく、起き抜けにだいぶ昔に流行ってた下らんクイズ番組もどきが始まったから、巻き込まれんように狸寝入りを決め込んでいたら、いつまでもいつまでも・・・だから、オーディエンスとして答えてやったってわけだぁ!これで茶番は終わりだ、早く円藤と一緒に事務所に戻るぞ、世莉!」
世莉「いや、そのクイズ番組もどきの為にこっちはラウラまで呼んだんだぞ!」
翔子「その辺りは聞いていたさ。遠路はるばるあの娘をいきなり呼ぶとは、随分「空間」にも慣れて来たな?」
菜奈美「そう言う問題じゃないでしょ!」
綾「・・・もしかして北条さん、昨日ラズリーさんとの酒飲み勝負に負けた事、少し根に持ってませんか?勝負の前に『大人の厳しさ教えてやろうか』、とか大見得切ってましたし・・・」
翔子「・・・いや?」
華「『いや?』って言ってるけど、それまでの微妙な間!あの人、確実に根に持ってる・・・!」
穂野香「ズルいですよ、北条さん!せっかくガラテアさんがラズリーとクイズで直球勝負してたのに!」
翔子「場所当てクイズなぞ、LINEでも使ってやってろ!私らを巻き込むな!」
ラズリー『も~っ!!わたしのクイズを、わざと「だいなし」にするなんてぇ!!みのタメとか「ファイナルアンサー?」とか、やりたかったのに~!!わたし、もう「怒り新党」だよっ!!』
ラピス『「怒り心頭」ね、ラズリー。それもだいぶ昔に流行ったテレビ番組になっちゃうわよ?』
ラズリー『そんなの知らないよぉ!こうなったら、もう一回お酒で勝負しよっか?お・ば・さ・ん!!』
翔子「望む所だ、小娘!起き抜けから飲む辛さを、お前は知らんだろう?敗北の味と共に教えてやるよ、ちびっ子が!」
引田「ちょっと、2人共!それはわたしが絶対に許さないわよ!お互いに30過ぎのいい大人なんだから、新社会人みたいな事を言うのは止めなさい!めっ!」
翔子、ラズリー「『!』」




世莉「翔子が、止まった・・・」
菜奈美「あれがパレッタも恐れる、引田深紗の『天下の宝刀』なのね・・・」
パレッタ『みぃちゃんのあれ見ると、何でか心の底がブルブルしちゃうんだよねぇ・・・』
華「朝から酒飲みなんて、私もしんっじられないわ・・・朝から飲むなら、特濃4.5牛乳でしょ?2人共、カルシウムが足りてないわね?」
綾「確かに酒よりは体に良いけど、そう言う問題なの?古手さん?」
穂野香「朝から体にいいのは、やっぱりラジオ体操ですよ!きれいな砂浜もすぐ下にあるし・・・よーし!次はみんなで、ラジオ体操やるわよーっ!!」
世莉「えっ?夏休み中の小学校かよ・・・」
綾「四ノ宮さん、ちゃんとした会社でも大体は毎日始業前にラジオ体操をするものよ?」
菜奈美「私はどっちも経験した事無いから、なーんか羨ましいわ・・・私もやろっかな?」
華「私も、ラジオ体操は悪くないチョイスだと思うわよ?穂野香ちゃん。」
ラピス『じゃあ、あたしのガンドコ式ラジオ体操でもしちゃおうかしら♪』
ラズリー『へえええっ!?そ、それはやめといた方がいいよぉ・・・』
引田「ここでまた大量に飲酒するよりは、よっぽどいいわ。北条さんも・・・」
翔子「私はお断りだ。世莉、円藤に私は先に戻ると伝えておけ。じゃあな。」
世莉「なっ、ズルいぞ翔子!」
ラズリー『あ~っ!あのおばさん、いなくなった~っ!!』






ガラテア『・・・翔子殿、私は出来れば自力で答えたかったのだが・・・』
チェリィ『じゃあ、ラジオたいそうがおわったらワタシと「場所当て」クイズ、やりますか?』
ガラテア『そうだな・・・チェリィ殿、お願い出来るだろうか?』
チェリィ『はい!やってやるデス!』










『ラジオ体操、だいいちーーーっ!!』




こうして、「転移」で先に東京に戻ってしまった翔子を除く女性陣によるラジオ体操が、ラズリーのアトリエ前の砂浜で始まり・・・





瀬上「・・・なんで、女共でラジオ体操してんだ?」
験司「今、夏じゃなくて春だよな?」
隼薙「ラジオ体操は、初之家朝の恒例行事なんだよ。相変わらず、精一杯体を動かす穂野香は可愛いの一言に尽きるぜ・・・!」
アーク『しかしまさか、その恒例行事に創造主・パレッタ様も混ざっている姿が見られるとは・・・』
凌「よく見たら、綾さんまでいるし・・・綾さん、よくやるなぁ。」
桐哉「隣に世莉もいますね。翔子さんは・・・いないから、「転移」で逃げたっぽいです。小学生くらいの頃の事、色々思い出すなぁ・・・」
銀河「ガラテアの奴、これで変に日本の学生のめんどくさい文化に染まらなきゃいいけどな?」
一樹「夏休みの朝から学校のプールで泳がされたりとか、ね・・・あー、ヤダヤダ!オレ見てるだけでイヤんなるわ、ああ言うの!」
八重樫「だが、ラジオ体操が洗練された柔軟体操なのも事実だ。蘭戸、ガラテアとの鍛練の前に俺達もしておこう。」
弦義「了解した。」
クーガー『・・・ふむふむ、ナナミさんが存外楽しく体操をしているのは、意外ですねぇ?』




男性陣は大半の者が疑問符を浮かべながら、バルコニーから砂浜で汗を流す女性陣を見つめていた・・・
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