ツナが蹴破った扉にいつもの穏やかな笑みを浮かべたアンジェロがいた

そして、アンジェロは局長と呼ばれた女性を見て驚いた様子を見せた

アンジェロの顔見知りのようだ


「君は本当に変わらないな…いつまでも美しいままだ」

「…あなたは変わってしまったわ…とっても優しい顔になった」

『アンジェロさん…知り合いなんですか？』


たぬきにも答えないで、アンジェロもまたいつも通り笑ったままだ

戦う意思のなさにたぬきの緊張感も少しだけとけていくが、頭の混乱はそのままだ


「そう…それなら話は早いですね
その娘を連れ戻しにきたのです…元の世界へと」

『！！！』


ずっとずっと心を底で疼いていた現実がたぬきの目の前へとやってきた

まさかこんな唐突にくるだなんて思いもしなかった

これが物語ならもっと前触れがあってもいいのに

物語なら読むのを途中で止めれるのに

読み飛ばすなんてことはもちろんできない

これは現実であり、今起こっていることなのだ

ついこのさっき会ったばかりの人が、自分に現実を突きつけてくる


「…期限は明日の子の刻…つまり深夜零時
詳しくは言えないけど、システム上それまでに貴女を元の世界へと連れて帰ります」





Life can only be understood backwards; but it must be lived forwards.
人生は、後ろ向きにしか理解できないが、前を向いてしか生きられない。





少女は早すぎる現実に理解が追いつかない