羽衣さん、繋がる
チェンジ
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「あいつは帰りは来ないんだな」
『荼枳尼のこと?盂蘭盆ははしゃいだ分終わってからの片付けが大変だからね』
朧車の中から、見納めるように外を眺める
これから片付けだという奴らがみえる
『行きは急いで愛しい人のところへ行って欲しい
帰りはのんびり愛しい人を馳せながら帰ってきてほしい…だから、ウマとウシなんだ
帰りは長いから…少し昔話を聞いてほしい』
「…あぁ」
『…私は羽衣狐として、産まれた時からやらなくてはいけないこととわかってことがあった
闇の世界の樹立と、その象徴となる「鵺」を産み出すことだ
そして、それは達成することなくある男に切られることだ』
「…ぬらりひょん、か」
『…うん…あいつと初めて奴と出会った時、正義のヒーローってこういう奴のことを言うのかと思ったよ
颯爽と現れて攫われた姫を奪還していったよ…私を斬りつけてね』
「ほう」
『あの時は死んだと思った
その時初めて、自由に焦がれていたのを知った
自分がやられると分かってやってた悪役はつまらなかった…なのにあいつらは生き生きとしてて、ずっと羨ましかった
でもローやみんなといて海賊なのに自由で…悪役も悪くないなって思った』
「そうか」
『荼吉尼が惚れた女が不治の病にかかって、それを治す為に自分の肝をやったと言っていた…全くどうしようもなく自由でムカつく奴だよ
私がどれだけ苦労して肝を取らなかったか…』
「…お前がその女だったら嬉しいか?愛する者のため命を変えてまで助けるのは」
『…嬉しくはない、馬鹿だと思う』
「なに?」
『そんなことして、女が喜ぶと思っている男の性根が気に喰わない』
「…!!」
タヌキらしい答えだと思った
助けてもらってまさか怒るとは
『死んでも何も変わらない…でも生きて変わるものもある…だから最後まで悪あがきをさせてほしい…せっかく愛してる男と出会えたんだから』
何度も死んで生き返ったタヌキだからでた言葉だった
一度の生に出会えるかも分からない運命の人…1分1秒でも共にいたいというのがタヌキの願いだった
その姿にロー綺麗だと思った
鵺と戦った時もそうだが、凛とした佇まいが彼女にはよく似合う
いつもの気の抜けた雰囲気もからかい甲斐があって十分楽しいが
『…これからは、とりあえず探すことにする…ローやみんなみたいに
やりたいこと、知りたいこと…この世の果てまで行けば見つかる気がするよ』
「いい心がけだ
他人の目なんざ関係ねぇ
俺たちはやりたいようにやる、それが海賊だ」
ローの強い言葉にタヌキも大きく頷いた
「タヌキ、俺たちはこれからグランドラインに入る
俺はもっと強くなる
七武海にも四皇にも負けねぇ
だから、てめぇは俺の横にいろ」
ローの目が強く光る
そうだ
この目だ
出会った時も
こんな目だった
自由にしていいとは難しい
運命というレールの上を進んできたから
でも、この世界は
みんな自由だ
やりたいことをやり
欲しいものは手に入れ
己の信念に忠実に
その目に、とくりと心臓がないた
『あいあいキャプテン』
誤魔化すように言えば
「そうじゃねーだろ、ローって呼べ」
『えっ?』
「言ったろ、欲しいもんは奪うって
…俺はお前が欲しい」
『キャプテン、冗談はいい加減に…ひっ』
「これでも冗談にみえるか」
ほんの数十センチまでローの顔が迫る
「逃げても無駄だ、俺は海賊だからな」
欲しいもんは手に入れる
背中に回る手
本気で嫌がれば、ローは離してくれるとわかっていたがタヌキにはそれが出来なかった
抵抗しないタヌキにローはさらに近づけた
「お前は俺のもんだ」
ーーその世界の者と交わってしまえばどんな世界だろうとその世界から離れることはできなくなる
あの時言われた言葉が頭に響いた
けれども、タヌキはあと数センチの隙間を自分でなくした
ローに応えるように、タヌキもまた背中に手を回した
もうあの目からは逃げられないとタヌキは悟ったのだ
『んっ、ロー』
「クックク…帰ったら覚悟しとけよ」
「あのぉ、人のからだのなかで…」
『朧車、聞いていたのか!』
「いいじゃねーか、聞かせておけば
他人は関係ないんだろ」
『んぁ、ロー!』