羽衣さん、遊戯
チェンジ
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シャチが、100数え終わるとそこにもうタヌキはいなかった
甲板、見つからない
食堂、見つからない
倉庫、見つからない
測量室、見つからない
診察室、まだ見つからない
手術室、まだまだ見つからない
「くそ!あいつどこに隠れてやがる!!」
「あれ?シャチ、今日は洗濯当番じゃ」
「あっいけねっ、洗濯!…洗濯物?」
「どうしたの?」
「ナイスだ!ベポ!」
「???」
廊下ですれ違ったベポの言葉に、閃いたシャチは急いで洗い場に行きあるものを手にベポに迫った
「これでタヌキがどこにいるか教えてくれ!」
「ぇえ!これ、タヌキのツナギでしょ?
ダメだよ、勝手にとったら」
あろうことかタヌキの洗濯物のツナギを渡したのだ
下着などは流石に自分でやるタヌキだが、ツナギはみんなと一緒だ
理由はただただ面倒くさい
千年世話されてきたタヌキは、そこら辺の羞恥がない
ローが見兼ねて、自分のものと一緒にクルーのとは絶対に分けるように言い渡されている
「いいから!俺の運命がかかってるんだ!!
頼むぞ名熊!!」
ブラシを抱きしめながらいうシャチにベポも戸惑った
「もー、こんなことしなくても俺タヌキがどこにいるか知ってるよ」
「まじか!!」
「うん、さっき見たもん」
「っしゃ!ベポ、連れてってくれ!!」
そしてベポが連れてきたのは船長室だった
「ベポくん?…本当にここにタヌキがいるのかい?」
「うん、だってさっき入ってくの見たもん」
シャチの動揺も気づかず、ベポは船長室のドアを開けた
「どうした」
「アイアイ、キャプテン!
シャチがタヌキに用があるだって」
「タヌキに?」
「ばっ馬鹿!」
ベポを止めようとシャチも一歩部屋に踏み込むと、そこにはロー腕の中にすっぽりと入りスヤスヤと眠るタヌキがいた
ローは気にせず本を読んでいる
卑怯だぞ!タヌキ!!
シャチの全身は震え上がった
「なんのようだ…?」
「ひぃいい!なんでもないですぅ!後で本人いうんで!おら、ベポ行くぞ!!」
「えっ、でもタヌキに用があるんじゃ」
「おい、シャチ」
「はいぃいい!」
「その手持ってるもんはなんだ」
「えっ…?」
シャチの手にはベポに嗅がせるはずだったタヌキのツナギとタヌキの尻尾を梳かすはずだったブラシが握られている
「よほどバラバラにされたいらしいな…room」
タヌキを起こさないように、いつもより小さな声で発せられたそれにシャチの視界は切り替わる
一瞬で甲板に投げ出されたシャチの身体はバラバラになっていた
そしてそこから半日かけて、何十個にもバラバラにされたシャチがベポたちの手によって元に戻されるのだった
「なにをしたらこんなになるんだ」
「ぅうう…」
ペンギンの説教を受けるその手にはまだブラシが固く握られていた