羽衣さん、変化
チェンジ
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ローは今日も変わりなく先日の定期健診の結果をチェックしていた
少し酒は減らした方がいいかもしれないクルーが何人かいるがそれも規定値内
特に問題もないようで、コーヒーを啜るローの目に1枚いつもと違う結果が飛び込んできた
「これは…ッ!」
その変化は突然現れた
血液型・S型
タヌキの血液型が変わった
あれだけ何回やっても不明という文字だったのに
ローはその長い足を存分につかい、食堂にいるはずのタヌキの元へ向かった
バタンッ
「タヌキ、再診だ」
『!!!』
ローの思った通り食堂にいたタヌキ
今まさに口に含もうとしていたガレットがこぼれ落ちた
苦手な定期検診を終え、ご褒美にと出してもらったいつもより贅沢にフルーツののったガレット
これからだというのに、ローはタヌキの意見も聞かず船長室へと引きずり込んだ
「いってらっしゃい〜」
ガレットはそのままベポのおやつになった
見せられた自分の血液検査の結果にタヌキは目をはためかせる
『けっ、血液型…?』
S型とはタヌキは聞いたこともない
なにか恐ろしい病気だろうかと少し怯えるタヌキだが、ローの様子からしてS型はこちらでは普通のようだった
「タヌキ、お前の血液型は今まで不明だった
それは“羽衣狐”だったからと思っていたが…違うのか?」
『え?』
そんなこと聞かれても困る
だけど、輸血パックにタヌキの採血をいつも多めにしていたのにはこんな理由があったからなのか
タヌキは採血が苦手だ
というより注射が苦手だ
ローに子供かといわれても、ペンギンに戦いの方が痛えだろと言われても、苦手なもんは苦手なんだ…と耳がでていたならパタリと伏せていたに違いない
「骨髄移植でもすりゃあ可能性はなくもないが、俺はそんな記憶はねえ」
医者としてこんなことは今までにないし、知識としても持ち合わせていなかった
ローの医者としての好奇心がやまない
やはりタヌキが“羽衣狐”という特殊な個体だからだろうか
悩むローに対しタヌキにはわかっていた
この世界に来る時言われたんだ
【ーーその世界の者と交わってしまえばどんな世界だろうとその世界から離れることはできなくなる】
そのせいだろう
でも、それをローに言うにはタヌキには少し恥ずかしい
貴方と交わったからだなんて
…でもそれと同じくらい注射がいやだ
その様子にローは怪しんだ
「おい…また俺に隠し事なんてどうなるかわかってんだろうな」
その一言で距離を詰められれば、タヌキに隠し事なんて出来ない
諦めたタヌキが全て話せば、ローの表情も怪しく笑う
「ほぅ…つまり俺のせいってことか」
『そんなには言ってないけど…まぁ』
「なら、本当にそうか確かめて見ないとな」
『確かめる?』
「何度やっても結果は同じか…な」
『えっと…それはどちらを?』
注射も嫌だし、交わるなんて
「どっちもだ」
言っても言わなくてもタヌキの運命は同じだった
“診察”になるか“お仕置き”なるか