羽衣さん、仲間になる
チェンジ
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賑わいから離れたところにタヌキはいた
『荼枳尼、大丈夫なの?』
「ぁあ…あいつ、しこたま酒を飲ませやがって…頭が猛烈に痛い」
どうやら鵺は荼枳尼に乱暴せず、大量の酒の力で捉えてたらしい
存外元気そうな姿にタヌキは安心した
「大変だったみたいね」
『まぁね』
「貴女が心配してたぬらりひょんは元気よ
愛する女の病気を治すために肝を使ったんだから」
『…そう』
「…で、ここへ来る時どうしてお仲間さんに本当のことを言わなかったの?」
操られていても記憶はあるらしい彼女はタヌキに聞いてきた
「なに?本当は彼らに…いいえ、彼に助けて欲しかったんじゃないの」
『……ちがうよ』
「フフッ…口では否定しても、貴女ってすぐわかりやすいから好きよ
ね、守られてばかりのヒロインになりたいんでしょ?」
甘く囁く荼枳尼にタヌキは否定できなかった
元々悪鬼だった彼女は唆かすのが上手く、タヌキは誤魔化す事を諦めた
『たしかに…私はもう終わったと思ってたんだ
運命から解放されて、もう違う自分になってもいいんだって…ヒーローでもヒロインにでもなれるんだって
でもそれは違った
わたしの根っからの悪役だった…仲間も止められず
結局、自分の欲の為にしか動けなかったよ』
「あら、しばらく会わない間にいじり甲斐がなくなっちゃったのね」
残念そうな荼枳尼に悪そうに笑みを浮かべる
『決められた悪事なんてつまらない…これからは自由に私のしたい悪役になるの』
「そんな顔どこで覚えてきたのかしら、流石羽衣狐様」
『違うわ
私はもう羽衣狐じゃない…私は海賊、ハートの海賊団のモコモコタヌキだから』
優しい風が彼女の髪を撫でる
遠くで聞こえる彼女の仲間の明るい声
本当にいい仲間をもったらしい彼女を止めることなんてもう出来ない
「髪、ボサボサじゃない
せっかくの門出…綺麗にしなくちゃね、海賊さん」
攻撃により一部だけが肩よりも短いところで切られ不揃いな形になっていた。確かにこのまま放置をしておくわけにもいくまい
別れの挨拶の代わりに荼枳尼はタヌキの髪を整えるのだった