羽衣さん、見送る
チェンジ
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倒れた鵺を確認し鬼纏をといた
その時、ローの体に倦怠感が襲う
なるほど、これほどの力を使ったのだ凄まじい体力消費だ
「…タヌキ」
『…トドメは私が刺さなちゃいけないから』
虫の息ほどの鵺にタヌキが近づき、膝の上にのせた
「…ははうえ……ははうえ」
最後の力を振り絞り、鵺は鳴いていた
その姿はいつの日かの自分を見ているようだった
渇愛
届かない愛を求め必死にもがくさまは、卑しく滑稽で実に人間らしい姿だった
いつの日だったか自分もそんな風に愛に飢えていた
「ははうえ…ははうえ…」
“コラさんッ…コラさんッ!!”
『…晴明』
“…ロー”
それは優しい優しい声だった
知ってる
自分にもこんな声で名前を呼んでくれた人がいた
『おやすみなさい…晴明、良い夢を』
ひと言彼女が漏らし、鵺の懐から取り出しだ鈍刀で胸を突き出した
そいつは笑って跡形もなく消えていった
霧が晴れ日に照らされたその姿はまるで聖母のようでもあった
あの人も死ぬときこんなふうに自分を想ってくれただろうか
思い出されるのは自分に笑いかける顔ばかりだった
タヌキがなにを思っているのか誰もわからない
しかし、とても自分には似つかわしくない気がしてこの場を離れたいと思うのもまた事実だった