羽衣さん、わの国戦記【はなの都の御祭騒ぎ】
チェンジ
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「もどった」
翌日、案外元気そうな姿でローは戻ってきた
ドレークの律儀な“正義”にタヌキは内心笑った
数日もすれば傷ひとつない姿になったが、ローは捕まったことも脱獄したことも麦わらの一味には話さなかった
「タヌキ、外の様子はどうだ」
『トの康が死んだよ、ロー』
ローがベポたちの解放に動いていたちょうど頃、花の都では1人の老人の処刑が執行されていた
おこぼれ町の住人でモモの助の実父・光月おでんと縁の深い人物であり、和の国の名だたる元・大名だったトの康改め康イエ
おこぼれ町でゾロの世話を焼いていた男だとローは記憶していた
作戦で作成した判じ絵がオロチたちにバレ、多くの“同志”が投獄されたことを知り、自ら犠牲となった
磔の刑の舞台となった花の都の騒然となったのは記憶に新しい
その犠牲のお陰で討ち入りの作戦は進み、今国中から“同志”たちが集まってきている
フランキーがその全員が乗れる船を大急ぎで作っている
タヌキから伝えられるローが捕まっている間の出来事をゆっくりと整理していく
作戦は首の皮一枚で繋がった
これから麦わらたちと侍が作戦会議だが、その話を聞いてもローはそうかと連絡の電伝虫もとらない
『…あと、“カイドウ”と“ビック・マム”が手を組んだ
一応、“同盟”とは名乗ってるみたいだけど』
「!!、そんなことになりゃあ世界がまた変わるぞ!」
『でも、喧嘩ばかりで不安定な情報だし、新たな情報もないから…いつ決裂してもおかしくないと思う』
私の主観だけど
「……注視する」
また憂慮することが増えたと頭を抱えたローに、これ以上はローの負担になるとタヌキはそっと立ち上がった
『私も気にかける
伝えなきゃいけないことがあったらまた来るから、ローは安静にね』
そう言いタヌキは船長室から出た
「キャプテン、どうだった?」
『心配なさそう
包帯も今日で終わりだって』
「俺たちのキャプテンだ!当然だよな!」
明らかにホッとした様子で、ペンギンはみんなに伝えるべく去っていった
ポーラータングの小さな窓から見上げた夜空に映える膨らんだ月は十三夜
討ち入りの日には、綺麗な満月が出そうだ
『………』
タヌキはハートのクルーたちの元へは向かわなかった
「俺に内緒でどこかいくのか」
『!!』
音も立てずに、ポーラータングの甲板のドアを開けようとしたタヌキをローが呼び止めた
「今から行っても、おこぼれ町の奴らを助けられるとは限らねぞ」
『…バレてた?
いつから?』
「麦わら屋が勝手におこぼれ町の奴らに食べ物を与えてから」
それじゃあ、最初からじゃないか
おこぼれ町の子どもが泣いてりんごを食べる姿を見る、タヌキの顔をローは見逃さなかった
ローに声かけられ、タヌキは咄嗟に止められると思った
「急ぐぞ」
『えっ』
バレたら面倒だからなとどこかで見たことのあるつけ髭とサングラスをつけて、ローはタヌキの前を歩き出した
「麦わら屋たちにバレたらまた馬鹿騒ぎになる」
『うん!』
タヌキも部屋で眠っていた金髪ショートのかつらを被り、ローの後ろをついていった
…次の日、おこぼれ町が焼かれたというのに住人たちが1人残らず姿形、遺体すらなくなった事件が起きた
この出来事はトの康の呪いと国中に広まった
そしていよいよ決戦当日となる…