羽衣さん、わの国戦記【はなの都の御祭騒ぎ】
チェンジ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
えびす町のはずれ、空き家が並ぶ地域にタヌキは来ていた
タヌキは静かに時を待った
そして陽が傾いたころ目的の人物は現れた
『おかえりなさい』
「ッ!!貴様は九尾!?
なぜここがッ!」
えびす町で“情報収集”をしている時に、運良く彼の電伝虫の会話を拾った
こんな廃れた町はずれに彼がいるなんて誰も気づかないはずだ
まさか海兵が海賊をやっているなんて驚いた
町内にいたとは本当に運がよかった
なにせ内容まで聞き取れたのだから
『交渉といこうよ、“飛び六胞”X・ドレーク
いや…“sword”X・ドレーク』
「…中に入れ」
ドレークの言葉にタヌキは笑った
『知っての通りうちのキャプテンが捕まったの
逃してほしい』
「対価はなんだ
俺も味方を欺くリスクがある」
『貴方正体をバラさないっていうのは?』
「俺は海賊風情の言葉など信じん」
『そう』
言葉とは裏腹に喋られては困るのがヒシヒシと見て取れる
あとは決め手があればいい
ガサガサと尻尾から取り出したのは、パンクハザードで手に入れたシーザーが隠し持っていたメガパンクの資料
「っ!?」
『2つに1つ
どっちにする?』
バッとタヌキの手に持っていた資料を奪い取る
「…本物だ」
タヌキはクスクスと笑いながら話を進める
『じゃあ、喋ってもいいわけだ』
「はかったな九尾!!
最初からそれが目的か!!」
『2つともってのは欲張りだよね
ねぇ…なにか見返りがないと』
海賊の言葉なんて信じられない
だが、絶対にバレてはいけない任務
その約束をしないわけにはいかない
ドレークは項垂れた
『理解が早くて助かる
これで、ローの救出と貸しが1つ…ハートの海賊団がピンチの時はよろしくね』
にこりと笑うタヌキ
この程度の情報で頷いてもらえるなら上手い話だ
それほどX・ドレークは知られたくないらしい
『私も捕まえるならどうぞ?
今の私なら簡単に口を割る』
「………」
そう、ドレークにとって“九尾”が捕まるのも避けなければならない
『沈黙は肯定ととるけど?』
「………ッ」
『交渉成立
貴方が裏切ったら、“うっかり”色んなこと喋っちゃうかもね』
俺が海軍であることを抜き出す諜報力…まだ九尾は何か隠し持っている
いったいいつどこから情報は漏れた
ドレークは汗が止まらない
【その羽衣は白くて黒くて赤くて青くて黄色くて
透明で美しい
だけど間違えてはいけない
その羽衣は決してキレイじゃない
確実なのは焼き餅は狐色ってことなのら】
白の国のプリンセスが式典で歌うように講演していたのを思い出す
着ていた羽織のことを言っているのかとあの時はピンと来なかったが、あのプリンセスは“九尾”のことを言っていたのかと納得した
同時期に周辺でトラファルガー・ローの懸賞金が爆上がりした新聞を読んだと記憶している
不気味で禍々しい雰囲気、しかし凛と美しく
いや、確かにこれは“キレイ”なんかじゃない
奴はいくつもの修羅を超えてここまでやってきた
『じゃあ、お願いね』
なぜこいつはトラファルガー・ローの下に降っている
『あっそうそう
この交渉は私と貴方だけの秘密ね』
ローには内緒
しーと子どもにやるように口元に人差しを立て怪しげに微笑む姿にドレークは背筋が凍った