「小紫！！！」


オロチがそう呼んだ女性の名をタヌキも耳覚えがあった

ワノ国一の美人の花魁でオロチが大層に気に入っているとワノ国なら誰でも知っている有名人だ

どんな悪女かと思ったら、その佇まいは凛と美しく弱き者を守っている


「殿、まだ幼子でありんす！」

「黙っていろ！」


お気に入りの小紫の静止も聞かず、オロチはおトコに切りかかった


「ご容赦を！！」


パシリ…いやバチンッと小紫は強くオロチをはたいた

場は一瞬の内シンと静まりかえり、更に騒然となる


「なっなにをやってるんだ！？小紫！！！
頭が床にめり込むほどにオロチ様に土下座しろ！！」

「いやでありんす！わちきは誰にもヘリくだらぬ！」


驚いた

まさか花魁が将軍に手を挙げるとは


「弱き女が御所望ならどうぞ切り捨てなさいまし！！
わちきは武士の娘！無様に生きはしない！！」


…そういえば小紫の出生は知らなかったな

武家の娘か

そんな情報はどこにもなかったと思うけど


「遊女風情が生意気に武士を語るな！！
こむらさきぃぃいいい！！」


オロチが怒りのまま姿を変えていき、悪魔の実ヘビヘビの実・ヤマタノオロチの姿になった

八つの頭が宴の間を狭しと蠢いている

ひぃと声を上げる花魁もいたが、小紫は瞬きもせずキリリとオロチを見据えた


「お前の頭を噛み砕きたくはない！謝意を！！
小紫、心より命を乞えば罪を軽くしよう！！」

「…惚れるが負けと申しんす！
わちきは命を乞いはせぬ！」


その言葉にオロチは小紫の体に噛み付き、小紫の体が浮いた