羽衣さん、わの国戦記【えびす町の馬鹿騒ぎ】
チェンジ
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『ロー、私が止めようか』
四六時中おこぼれ町にいれるわけでも、民たちを守れるわけでもない
それなら、今この“いい事”を無かったことにした方がいい
水をぶちまけて、食料も燃やし尽くすせば、この儚い希望を希望のまま終わらせられる
飢えより苦しいことがあることを、民たちは知らなくてすむ
侍たちとの作戦も“最悪”は起こらない
ローのことも裏切ったふりをして、1人で泥をかぶれる
『私、やれるよ』
今ならまだ間に合う
「…やるな」
ローの答えはNOだった
「水だ!!」
「何年振りだ!
こんな大量の飲み水!!」
『………』
われ先にと食料を食べる民衆
“おこぼれ”ではない食料を食べたとなれば、カイドウたちは民衆に何をしてもいい理由になる
その時、タヌキもローも…ルフィたちだってきっと守れない
この町は近いうちに消え去る
騒がしい町で、2人の間だけ静寂のようだった
「タヌキ、俺たちはカイドウを倒しにきたんだ
ここの民を救いに来たんじゃねぇ」
その通りだ
自分たちは海賊で、ヒーローでも善人でもない
「ふぁああああ!
りんご…!!」
「おい!肉は俺にもよこせ!!」
ドキドキとタマが林檎を頬張っている
小さな子どもがリンゴひとつで心の底から笑っている姿に、“いい事”をして気分が良くなったように感じるのも今のうち
暴れに暴れまくったルフィたちに本格的に追手がかかるのも時間の問題だ
それが、この国の現実だ
『ロー…』
「とにかく移動する
“おでん城跡地”、あの山頂だ」
『…わかった』
タヌキの言葉を遮ってローは歩みを進めた
苦渋も辛酸も飲み込んで町から離れる
ルフィもワノ国の残酷な現実を知ることになるだろう