羽衣さん、戦う
チェンジ
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かちかち山へと向かう2人
遠くからカチカチッカチカチッと石を叩くような音が聞こえる
『かちかち鳥だ…もうすぐつく』
「ぬらりひょんと言ったな」
『えっ?』
「ぬらりひょんがいるはずだと犬神に聞いていただろ、どんな奴だ」
『……ぬらりひょんは私が知っている1番強い男だ』
「男?」
タヌキの表情が苦いものへと変わる
『犬神とも盃を交わしたはずだ
だから、この手のことはまずぬらりひょんに頼むはずだと思った』
「肝を失ったと言っていたが?」
『肝とは私たちの心臓
無くせば力が衰え死んでゆく
ぬらりひょんほどの男なら、肝を失い力もなくなっても数百年は生きるだろうが、もう第一線では戦えまい』
その表情は悔いているような…ローには判断しかねる表情だった
「お前はそいつを…」
“ぶわあぁああああ”
ローの言葉を煽るように不気味な雄叫びとでも言えばいいのか、とにかく耳をふさぎたくなる音が響き渡った
『いた!だいだらぼっちだ!!』
「っ!!、なんだあれは…」
一言で言えばバケモノ
大きさは見上げるほど大きく
姿は人型とでも言えばいいのか
頭から背中に多数の角を持ち、黒ずんだ半透明な体には泥のような固まりがところどころあり縞や渦巻き模様がある
ウネウネと動く模様は動く夜空にも見えた
“ぶわあぁああああ”
隣いたタヌキが飛び上がり、だいだらぼっちに攻撃を仕掛ける
『【二尾の鉄扇】』
だいだらぼっちの降りかかる腕を避けながらタヌキが放った一撃は、だいだらぼっちの肌を傷つけた
しかし、その傷も傷つけられたと同時に元に戻っていく
『やっぱり、“首”を取らなきゃダメっ…くぅ!【三尾の太刀】』
その一手一手が当たれば致命傷となるだろう
タヌキが浴びせる怒涛の攻撃もその回復力の前に意味を成さなかった
ローも隙を見て攻撃を仕掛ける
「room…amputate」
ローの一太刀で、だいだらぼっちの右の腕が…
“ぐぉおおおおお”
切れなかった
「なにっ!?」
だいだらぼっちの知能は低ぬ本能のままに攻撃してくる
振り回された右腕をとっさに避けるとその腕から生えてきた触手の攻撃を左手に受けたロー
慌てたタヌキがその触手を三尾の太刀で千切る
そしてそのままだいだらぼっちの首を狙うが弾かれてしまう
「クソっ!」
『だいだらぼっちは妖力の塊だ
ローは妖力を持たないから、普通にやっただけでは鬼哭の妖力じゃ駄目なんだ』
だいだらぼっちに物理攻撃は効かない
「じゃあどうしろってんだ!」
だらり…だいだらぼっちの触手を受けた左手が重りをつけたみたいに重くなった
ローはどうしようもできずローの太刀はだいだらぼっちを傷つけることすら出来ない
タヌキの言った通り、だいだらぼっちの妖力を上回る力がないといけないのだろうか
ふとローが気づいた
さっきのタヌキの攻撃を弾いた首…あいつは弱点を庇おうともしなかった…もしかすると“首”というのは総称で部位ではないのか?
ローの鋭い洞察力が冴えた
…きっと身体のどこかに隠し持ってるんだ
どこだ、どこを庇いながらあいつは戦っている
そんなローに気づいたタヌキが時間稼ぎにだいだらぼっちの注意を引く
まただいだらぼっちが雄叫びをあげた
“ぶわあぁああああ”