羽衣さん、ろしなんてさんの昔話を拝聴
チェンジ
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タヌキはローに東の港から外れた瓦礫の中へと連れてこられた
そこには息を切らしたゴリラに乗った元元帥センゴクがいた
『!!、センゴク元帥…』
「元だよ、お嬢さん
私はもう一戦は退いた」
ゴリラから降り瓦礫に腰掛ける
穏やかで言葉通り敵意のない様子だが、どうしたらいいか分からずタヌキは困ったようにローを見た
「おかきを…どうだ?」
「いらねぇ…早く話せ」
『ロー、私も先に東の港へ』
「うるせぇ…黙ってろ」
同じ口調なのに声色だけタヌキの方が優しい
ローの手は変わらずタヌキの手を握ったまま離さなかった為、ローの隣についた
敵ではない…
かと言って味方というわけではなさそうな雰囲気だった
街の方からは、麦わらのルフィや彼らを逃すために動いた者たちが海軍と暴れていて騒がしい音が聞こえる
センゴクはおかきを食べながら、懐かしそうに話しだした
「…ある日海兵が1人死んだんだ
そいつは私にとって特別な男だった…」
出会った頃は、ボロボロで泣きじゃくっていた子どもだった
そいつは、正直で人一倍正義感を持ち…信頼のおける部下になった
そして、私の自慢の息子になった
名前は出なかったが、タヌキはすぐにそれがコラさんのことであるとわかった
コラさん…ローの大切な人…
「だが、彼は生涯に一度だけ私に嘘をついた」
ロシナンテが死ぬ時、なぜ自分に嘘をついたのかセンゴクはずっと知りたかった
自分は珀鉛病の少年を見捨てろと言った
ロシナンテもわかっていると言った
兄を止めることが何よりも優先することだからと…
しかし、それは全て嘘だった
やりきれない気持ちが溢れ出すが、センゴクはそれをおくびにも出さない
ローの表情も変わらず、静かにセンゴクの話を聞いていた
「あの日の事件で消えたものは4つ
“バレルス海賊団”“私の部下の命”“オペオペの実”」
ロシナンテが死んだ日を思い出しながらセンゴクはまたおかきを噛み砕いた
「そして…当時ドフラミンゴファミリーにいた“珀鉛病の少年”」
「あぁ…俺だ…」
センゴクが話し始めてローがはじめて口を開いた
タヌキの握られていた手が痛いとほど強くなった
タヌキは黙ってローに1歩寄り添った
言葉に出来ないから、そうするしか思い浮かばなかった
センゴクは、ロシナンテが守った少年から…そして少年が心を許した少女から目を離さなかった