羽衣さん、帰省する
チェンジ
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朧車の中は揺れも少なく落ち着いていた
「なんだ…」
「いえ…詳しいことはあちらについたら犬神が教えてくれるわ」
荼枳尼のタヌキを見る熱い視線にローが反応した
ローが話しかけても荼枳尼はタヌキから目を話すことはなかった
タヌキは一言も話さず窓の外を見ていた
ローもそれ以降一言も発することはなかった
空をかけ雲を抜けるとそこには見たこともない景色が広がっていた
「うわっ」
「すげー」
後ろからついてきたクルーの目が輝く
薄暗く、空気はひんやりとしていて寒気がするほどだ
そして提灯の明かりと太鼓の音
「活気あるな」
「今は年に一度の祭りの日だ
今日から三日三晩続く一年で一番盛り上がる日なんだ」
盂蘭盆
この季節になるとタヌキもこちらの世界に来ていたことを思い出す
元々あの世とこの世の境目は曖昧だった
近年はだいぶ整備されてきたが、妖怪たちにとって平安の世はまだまだその境目もないも同然で気軽に行き来出来た
タヌキの身体は人間だから長居は出来ないが祭りの時だけ遊びに来ていた
盂蘭盆の祭りがあると知って、タヌキはいち早く狂骨に行きたいとわがままを言ったのだ
黄泉がえった時にはほぼ毎年来ている
平安の世を怯えさした羽衣狐の顔は黄泉の国でも轟いてここでも有名人だ
まさかまた来れることとなるとは
タヌキがのぞいていた窓から荼枳尼が朧車からでて屋根へ登り笛を鳴らした
そうするとどこからか人型の烏…烏天狗がやってきた
窓から見える者も、全て見たこともない姿でここが先程いたノースブルーとは違う世界だということが実感できる
「約束通り」
「ぁあ…荼枳尼天、なにか余計なものがいるようだが」
「重大な任務には多少の犠牲やおまけは憑き者だろう
お前たちが望んだ通り、羽衣狐はきちんとここにいるだろう?」
「羽衣狐…?」
聞いたことのない単語にローが聞き返せば、がくりと車内が揺れた
「っ!?」
「着陸態勢に入った
どこか捕まっておれ…この朧車は免停明けだっうわ!」
荼枳尼がいうが早いが、乱気流に巻き込まれたごとく大きく揺れ、荼枳尼が振り落とされてそのまま落ちていった
「っおい!尼頭巾屋!っぐ、これじゃあ着地というより不時着じゃねーか」