羽衣さん、お迎えが来る
チェンジ
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荼枳尼は夜また迎えに来ると言って、また霧の中へと消えていった
すると、霧は晴れて目の前に目的の島が現れた
ハートの海賊団は船を一旦島に付けることにした
『ねぇ、本当に来るの?』
「何度も言わせるな」
未だ不機嫌そうにローは答えた
『いや… でも下手したらロー達も危ないかも』
「次、この船を降りると言ったらばらばらにしてやる」
『ッ!、わかった』
タヌキが降りると言ったことを根に持ってるらしい
しかし、タヌキは先程止めきれなかったことを後悔しはじめていた
やっぱり危険すぎる
「俺を誰だと思ってる
お前は俺の横にいろと言ったはずだ
この船にいる以上俺のいうことは絶対だ、いいな」
「アイアイ!タヌキ!タヌキのことは僕が絶対守るからね!」
『ベポ…』
空気にシュッシュッとパンチをうつベポの押しのけるように他のクルーたちもタヌキに近づく
「ベポにばっかいいとこ見せるかよ!
タヌキ、俺だってやってやるからな」
もういく気満々なクルーたちにタヌキは止めることをやめた
『ロー』
「なんだ」
『ごめんなさい』
「わかりゃあいい」
「で、タヌキ
眼鏡の姉ちゃんは迎えに来ると言ったがお前の島はどういう島なんだ?」
ペンギンの質問におずおずとタヌキは上を指した
「上…ってことはあの空島か!?」
噂に聞いたことがある
グランドラインには空に浮かぶ島があると言う
ローですら驚きで目を見開いていた
しかし、その答えにタヌキは首を振った
『多分違う…みんなが思ってるよりもっと上』
「もっと上…?」
『そう…みんなはヨモツクニって言ってた』
「よもぎ?つくね?」
『黄泉の国(ヨモツクニ)…つまり、あの世だよ』
黄泉の国…人間ならざるものの国
妖怪たちも住む国
「「「「「なっなにーーー!?」」」」」
「馬鹿っ!なんでそんな大切なこと先に言わねぇ!」
『だって聞かれなかったから』
「聞かねぇよ、あの世の人ですかって!」
『…やっぱり行きたくなくなった?』
「逆だ、面白そうじゃねーか、あの世ってのは」
そう喉を鳴らしたロー
黄泉の国…それこそ絵本の話だ
まともな本じゃ取り扱ってるものすらない
悪魔の実の幻獣種のモデルもそこには実在しているとかいないとか
「なあ!その国のやつらはタヌキみたいに尻尾が生えてるのか?」
『いや多種多様かな…耳の生えてるもの角の生えてるもの何もないもの色々いるよ…でも生きてるニンゲンはいないかな』
「…本で読んだことがある…幻獣か?」
『そういう人もいる』
「そこには…死んだ人間も行くのか?」
『うん…黄泉の国は広いから死者がいるところはまた別で出会ったことはないけど』
「そうか」
深く帽子を被り直すロー
死者との対面を望む者は少なくない
失った両親や兄弟、友人…ローにもきっとそんな人がいるのだとタヌキは思った
しかし死者と生者の輪廻は違う
簡単に会うわけには行かないのだ
タヌキにそんな能力も権限もない
浮かれているクルーにタヌキはまた不安げでみんなに告げた
『ひとつだけみんなに絶対に守ってほしいことがある』
「守る…?」
『あっちについたらなにも口に入れないでほしい』
「えっ、なにも?」
「水もか?」
『そう、共食っていって黄泉の国の住人になるためにする儀式がある
黄泉の国の食物を食べると、もうこっちには帰って来れない決まりだから…こればっかりは私にはどうすることもできないの』
「へぇ」
あの世から帰ってこれない
その言葉にロー以外の者は凍りついた
『ねぇ、ロー
本当に来るの?』
タヌキはもう一度問いかけた
「当たり前だ、くだんってやつを叩っ斬らなきゃいけないからな」
『………』