羽衣さん、ぱんくはざぁどの戦い【冬の陣 前半戦】
チェンジ
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「手ェ…貸すか?」
『余計なことしないで』
殺る気ないくせに
そう言えば、気づかれたかと出口の横にゾロは座った
皆立ち去った後ビスケットルームに残ったのはタヌキにモネ、そして後から来たゾロと呼ばれていた麦わらの一味の剣士
チョッパーたちとのやりとりを見てタヌキを敵ではないと知ったゾロは、見学を決め込み面白いそうにこちらをみる
「まっ、俺はそいつをここから通さなければいい
お前がやられたら俺がやる」
刀を3本携えたゾロの力に頼ればモネを倒す事も容易いだろう
尻尾を奪われたタヌキに力はない
それでもぽっと出の男に譲るほどタヌキのプライドは安くなかった
ここで引いたらこれからローの隣にいる資格なんてない
「正直…いつもの貴女には勝てる気がしなかったけど…今はそうでもないみたい」
モネの身体が雪へと変わっていく
彼女は自然系ゆきゆきの実の能力者だ
みるみる部屋は吹雪に塗れるが、タヌキは部屋の真ん中で表情も変えず突っ立っている
『そう?私はいつだって貴女に負ける気はしないけど』
「なんですって…?」
タヌキの周りのみならず、部屋全体が雪で埋まっていく
どんどんと雪に埋まるタヌキに、モネは先程の言葉はただの強がりかと笑った
「これ、いいでしょ?ローにもらった羽…フフッ」
“カマクラ十草紙”
モネは羽ばたき、タヌキの周りをぐるぐる回ると、雪がかまくらのように積み上がっていく
ついに十層になった出入り口のないカマクラがタヌキ…そしてゾロを巻き込み出来上がった
「貴女も貰えばいいのに
失礼、貰えなかったの間違いかしら…貴女が頼りなくて
雪兎(らびっと)!!!」
うさぎの形をした雪が逃げ場のないタヌキに襲いかかる
これで寒さで体温を奪えば勝利は私のもの
『私はもう貰ってるのよ』
「!?」
『とびっきりのハートを』
【一尾 勾玉】
タヌキの覇気が急激にあがり、雪兎はタヌキに届く前に粉々に散った
「なにっ!?貴様どこにそんな力が!!」
『…まさか、こんなところで使うとはね』
「ほう…」
【一尾 勾玉】は羽衣狐として生まれたばかりの頃、まだ力のなかったタヌキに息子、清明がくれたものだった
日頃から自らの力を溜めておくことで非常時に回復できる
初めは、その力を溜める前に人間に殺されてしまった
そのあとも、羽衣狐としての運命を全うしようとするとするタヌキは使うこともなかく、ずっとずっと持っていた
もはや御守りのようになっていたそれは、羽衣狐になって千年余り…タヌキが生きた証でもあった
一度使えば、向こう百年は使えないだろう
けど、尻尾の力を渡した時からタヌキは躊躇なくこの力を使うと決めた
ここで使う価値があるとタヌキは信じた
『さあ…ゆこうか…』
ローの思い描く未来に