羽衣さん、診られる
チェンジ
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その夜
コンコン…
ローの部屋のドアが控えめにノックされた
こんな控えめなノックをする奴はこの船にいただろうか
…いや、1人いたな
「はいれ」
ローの言葉に反応するように、これもまたそっと開かれたドアにベポから渡された寝巻きを持ったタヌキがいた
昼間ノック無しで入ったことをちゃんと学習しているらしい
「どうした?夜這いか?意外に大胆なんだな」
『ち、違う!お風呂…かりに来ました』
「くくっ、そうか
そこの右の扉だ…いっしょにはいるか?」
『はっ、入らない!!』
ばたんと強く扉を締めたタヌキの反応にニヤける口元を隠そうともせず響き出したシャワーを聞いた
シャワー室に入ったタヌキはそんなローとは違う悩みを抱えていた
尻尾洗いたい!
昨日は宴でそのままベポをベッドに寝てしまったタヌキ
いくら出してなくて汚れていないとはいえ…気持ちの問題だ
ドア一枚挟んで、ローがいると思うと軽率な行動は出来ない
乾かすのは一人では大変だし
どんな質問をされようとも、タヌキはこの尻尾のこと…羽衣狐のことを言わなかった
タヌキは否定されてることを恐れていた
この尻尾が特殊なことはタヌキが誰よりも知っていた
漫画のような尻尾だと喜んでいたのも遥か昔
増える尻尾が妬みを買い好奇の目にさらされ自分が異端の羽衣狐だと言うことを痛感する
彼らのことをまだ何にも知らないのに嫌われたくないと思っている
タヌキはきゅっとシャワーを締めた
『お先にいただきました』
「そうか」
タヌキが上がったのを見るとローは読んでいた本をパタリと閉じた
「…俺が出てくるまでここで見張ってろ」
ソファに積み上げられてあったタオルを1枚乱雑にタヌキに投げ、シャワー室へと入っていく
それを受け取り、そういえば海に嫌われていると言っていたのをタヌキ思い出した
シャワーとかも駄目なのか
『ふぁあ…疲れた…』
お風呂上がりで火照ったタヌキをローが他の男に見せないようにするためだなんてつゆ知らず
「…おい、いるのか?」
能力者であるが故パパっとシャワーを終えると、あまりに静かな自室にローはタヌキが勝手に出ていったと思った
しかし部屋に戻るとローの予想は外れ、疲れたのか髪も生乾きの状態ソファーで寝ているタヌキが見えた
あまりに無防備なその姿にその髪をなでた
やっぱりこれからしばらく退屈せずにすみそうだ
ローは自らのベッドにタヌキを運び込むと、そのまま電気を消した
「…おやすみ、タヌキ」
こんなに早く寝るのは久しぶりだ
翌日、ローの期待通りの反応をタヌキは見せてくれた