羽衣さん、認められる
チェンジ
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『はい、出来たよ』
「さんきゅー!おお、元通りになってる!!」
昨日はあのまま雑魚寝してしまい体が痛かったが、クルーたちはもう慣れっこなのか日常に戻っていた
動き回るベポに私も何か出来ることはあるかと聞いたら
掃除、洗濯、裁縫…出来ると思ったらすごい押し付けてきやがった
まぁ、料理は出来ないけれど
ローやペンギンがいるとはいえ、男所帯の船内そこらへんが大雑把になるのも仕方ない
海賊団とはいえ、敵襲や悪天候などそんな毎日イベントがあるわけでもなく、大半を平和な海の上で過ごす
タヌキの羽衣狐の尻尾もしまったままだ
日照時間がまだまだ少ない中で、久しぶりの快晴に溜まっていた洗濯物を干す
仕事のないものは、各自本を読んでいたりトランプで賭け事をやっていたり、やりたいことやって男子高校生みたいだ
タヌキは賭けに負けて叫ぶシャチのその横を洗濯物を担ぎつつ通り過ぎた
タヌキはそのままベポに教えてもらった目的の場所へ向かう
船長室
ベポがシャチにお願いしていたが頑なに行きたがらなかったので、タヌキが手を貸したのだ
船長室では珍しくローにペンギンが声を荒らげ抗議をしていた
「俺は反対って言ってんです!
いくら今仲間を集めているからって女を船に乗せるなんて!」
「お前の意見なんざ聞いてねぇ」
「なっ…女なんて我々の足手まといです!
俺は、俺たちは貴方を海賊王にしたい!
船長だからこそ命を預けているんです!」
「足手まといね…で、ペンギン…何が言いたい」
「船長もわかってると思いますが、命と隣り合わせの旅ですよ!そんな中に女なんていたらッ」
『すみませーん、洗濯物乾きましたけどどちらに…あれ?お邪魔でした?』
ノックもせずに入ってしまったことをタヌキは後悔した
登場のタイミングに定評のある悪役・羽衣狐だが、どうやら今回は間違えたようだ
いや逆に悪役としては絶妙なタイミングなのかもしれない
気まずい空気が流れる
しかし、空気を読むことをしない男が1番してはいけない言葉をタヌキにかけた
「ちょうどいい時に来たな
タヌキ、ペンギンがお前を乗せることに反対だそうだ…弱い足手まといはいらないんだと」
「っ!船長!!」
いきなり本人に言うなんて!
ニタニタと楽しそうに言うキャプテンにペンギンは焦った
誰だってそんなこと言われたら嫌な気分になるに決まってる
この先タヌキが乗る乗らないにしても、しこりは残るだろう
『はぁ…じゃあ、その時はその時で』
しかしタヌキが見せたのはペンギンが思っていた反応だった
タヌキにしてみればこんなこと慣れっこだった
みんなは知らない
悪役のボスって何かと絡まれることを
自称正義もいれば、おれが本当の悪の親玉パターンまで
そんなやつらひとつひとつ相手にしてられないのだ
この手の絡みの対処法は反発すれば倍になってくる、暖簾に腕押し状態が一番いい
そのまま洗濯物はどちらになんてふの抜けた言葉が続く
【敵襲ーー敵襲ーー!!!】
船内に響き渡るその声にローが笑った
「初陣だ、手を抜くんじゃねーぞ」
『初陣って』
「ペンギンの言う通りこの船に乗る以上、足手まといはいらねぇ」
『いや勝手に乗せたじゃ』
「高みの見物でもさせてもらうか」
先の島で動揺していたとはいえ自分から心臓を取り戻したタヌキの実力を感じていたのは船内でローのみ
その実力の真意を知れると足音も軽くなる
ローが先にでて行くと、タヌキは洗濯物を先程ローは座っていたソファに置きながらペンギンをみた
『ペンギンさんの言うこと私は正しいと思います
キャプテンを思い、この船を想うのに邪魔者はいらない』
「邪魔者って…俺は別にそこまで…」
『だからペンギンさん…いつか認めたら教えてください
その時は美味しい酒を飲みましょうね』
タヌキはローの後を追った
期待の大型ルーキー…なんとも少年漫画っぽい
次の島で美味い酒でも買うか
ペンギンは帽子を被り直した