羽衣さん、夏島【初夏】
チェンジ
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「〜○☆→+%!!??」
「っ!!??ぐっぐるじいぃぃぃ」
「理解できる言葉で頼む、イッカク
あと、ベポを離してくれると助かる」
タヌキとベポの姿を見て慌てたクルー達だが、船長の問題ないという発言と、子グマと幼女の身振り手振りのポワポワした説明に緊急性はないと頭では理解した
が、心が付いて行かず大人しくできない者もいるようだ
その騒ぎが収まるのを待たずローはシュクラを乗せた
珍しい潜水艦の船をくまなくチェックするシュクラ
その横に立ちながら船内を案内するタヌキと診断を聞くロー
飛べるタヌキは、小さくなっても高さなどに困りはしていないようだ
シュクラもそんなタヌキに最初こそ動揺したもののここは偉大なる航海だと受け入れていた
「どうだ?」
「凄まじい航路だったな」
「ぁあ、こいつのおかげでここまでこれた」
「メインエンジンと蓄電池もみたい」
「わかった」
船の知識はもちろんのこと、機械に対する知識にはローも目を見張った
航海日記を見るように船の歴史を読み解いていくシュクラは腕のいい船大工だったのだろう
「これは…ッ」
「どうした?」
「素晴らしいエンジンだ
うちでもここまでのエンジンは見たことない」
「そうか」
いやに興奮したシュクラ
ハートの海賊団のエンジンは、ノースブルーの発明家が作ったものだ
ハートの海賊団結成当時いた島の発明家の話はタヌキですら知らない
この島の職人から見ても素晴らしいものだと褒められたローも満更ではない表情になる
「フム…エンジンには問題はない様だな」
しばらくエンジンを舐める様に見つめた後、周りの壁を見渡す
「…応急処置でいいなら1週間で直る」
「完治は?」
「見込めない
船底の基盤に損傷が見える…いくら直してもそこから腐食していくだろう」
「やはりな…」
「この船の船大工は?」
「いねぇよ…」
淡々と告げられたその言葉は重い
クルーの命を預かる船長であるローの決断は決まっていた
「わかったな」
後ろを振り向けば、一通り騒ぎ終えたクルーが診断を気にして全員いた
船長の判断を待つ
「船を変える
もうこれ以上こいつでは前に進めない」
それがローがくだした決定だった
すぐ後ろの冷たくひんやりとした凹凸のある鉄の壁に触れながら、ローは冷然とも思える判断を下した
船長としてローはそこに立っていた
重々しい空気に包まれる船内
ぐすんぐすんと鼻をすする音が涙腺をくすぐるクルーに、いつもの佇まいを崩さないロー
隣にいるタヌキは、瞳いっぱいに涙をためている
瞬きを一度でもすれば零れ落ちてしまいそうなその姿は綺麗だとシュクラは思った
この船はいいクルーをもった