羽衣さん、夏島【初夏】
チェンジ
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「そこまでだ、ドーリィ」
「シュクラおじさん…」
「迷惑をかけたね…海賊かい?」
「あぁ」
声の主は垂れ目の目尻にシワを寄せた老人…にしては背筋を伸ばした男だった
一目でローたちを海賊と見極めたシュクラと呼ばれた男のほうが話がわかると踏んだローはそちらに顔を向けた
タヌキとベポの姿を見てシュクラは何があったかわかった様だった
「その姿…キテの仕業だな
この島の者ならドーリィの様な子供でも知っている
その上のクマさんのこともな」
「ッ!シュクラおじさんもクマさんを疑うのかよ!!」
ダッと外へ出て行くドーリィを誰も止めなかった
シュクラはまたかと吐いた
わんぱくなドーリィにはよくある事らしい
「許してやってくれ…ドーリィとクマはきょうだ…いや本当の親子のように慕っているんだ」
「別に…興味もない」
「…そうか、海賊のあんたらには野暮な話だったな」
ハハッと笑い声を漏らしながら、シュクラは店の扉に【本日休業】と看板を掛けた
「休みにしていいのか?」
「たった今従業員にストライキされてしまったからね」
「なあ、海軍はどうしてるんだ?そのキテってやつを捕まえてもらえばいいじゃないか」
「…知らんよ、海軍なんて
町のゴロツキくらい自分たちでなんとかしろと」
「それだけか?」
「それだけさ海軍様は忙しいんだそうだよ…さぁお前さんたち、ここには修理にきたんだろ」
「あぁ」
「ここに来るやつは十中八九そうだ…そうじゃないやつは1つ前の島でログを書き換える
この島がたどるログは海軍支部を通るからな」
「船を直しにきた」
「船を…?
悪いが船ならW7の方がいい
ここから少し遠いがきっとお前さんたちの満足のいく…」
「潜水艦だ」
「!…なるほどそういうことだったか」
「この街でいけるやつはいるか?」
「いいだろ…わしが見よう」
「あんたが?」
「丁度店が休みになったからな」
「じいさん、大丈夫なのか?」
「婿養子になって今はこの酒場の店主だが、元は船大工だ
腕と目だけは自信がある」
わかったと間もおかずに頷くローに抗議の声が上がる
『どうして、りょー!はやくクマしゃん、たおしにいこうよ!
ふにぇのしゅうりには、どうしぇじかんがかかりゅんだし』
「そうだよ、きゃぷてん!!」
足元できゃっきゃっとはしゃぐのを、気にした様子もなく黙ってベポを持ち上げた
ずるいっとタヌキが言う
ローがずるいのか…ベポがずるいのか…
ペンギンにはわかりかねた
「船長、しばらく楽しむ気だな」
「だよな」
見てわかるくらい慌ててスキャンしてたのに、問題ないとわかった時点でこれだ
「おい、もたもたするな
行くぞ」
空いた腕でタヌキも胸の前で抱え込み、反対側の脇に白いかたまり
その声色も表情も普段と変わりない分、それがシャチには恐ろしく思えた